寒さが増してくると、なんとなく気分が落ち込み、やる気が出なくなる。毎年冬になるたびに「どうも調子が悪いな」と感じる方はいらっしゃいませんか? もしかするとそれは、単なる気のせいではなく、「冬季うつ(季節性情動障害)」という心の病かもしれません。
特に発達障害の傾向がある方にとっては、冬季うつの症状が現れやすい傾向があることがわかってきています。本記事では、「冬季うつとは何か」、そして「発達障害との関係性」、さらに「対処法」について丁寧に解説していきます。

冬季うつは、正式には「季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder)」と呼ばれる病気で、秋から冬にかけて抑うつ症状が現れ、春になると回復するという特徴を持っています。毎年同じ季節に症状が出ることが多く、周期的に繰り返すのが特徴です。
冬季うつの原因として最もよく挙げられるのが「日照時間の短さ」です。冬になると日光を浴びる時間が自然と減少し、これが脳内の神経伝達物質(特にセロトニンとメラトニン)のバランスを崩す要因となります。セロトニンは気分を安定させる働きを、メラトニンは睡眠を促す働きを持ちますが、これらのホルモンが不安定になることで、体内時計が乱れ、心身の不調を招いてしまうのです。
冬季うつの主な症状は、一般的なうつ病と類似しています。気分の落ち込み、意欲の低下、集中力の減退、倦怠感などに加えて、冬季うつ特有の症状として「過眠」「過食」などが挙げられます。
発達障害のある方は、社会的な生きづらさや環境変化への敏感さなどから、ストレスや精神的な負荷を感じやすい傾向にあります。そのため、二次障害としてうつ病やパニック障害、不安障害などを併発することが少なくありません。
この傾向は冬季うつにおいても例外ではありません。発達障害の特性と、冬特有の環境変化が重なることで、より冬季うつが発症しやすくなると考えられています。以下の3つのポイントが、特に発達障害の方が冬季うつになりやすい理由として挙げられます。
発達障害のある方は、もともと睡眠に関する問題(寝つきが悪い、眠りが浅い、昼夜逆転など)を抱えている場合が多く、体内時計が乱れやすい傾向にあります。これに加えて冬になると日照時間が短くなり、体内時計を調整するための「朝の日光」が不足するため、さらにリズムが崩れやすくなります。これが心身の不調につながり、冬季うつを引き起こしやすくなるのです。
発達障害には「感覚過敏」と呼ばれる特性がある方が多く、光や音、気温の変化などに敏感です。冬は日照不足や寒さなど環境が大きく変化する季節です。その変化に適応できず、感覚的なストレスが蓄積されることで、精神的な不調を招くリスクが高まります。
寒さや天候の悪化により、外出や人との交流が減りがちな冬は、誰にとっても孤独を感じやすい季節ですが、発達障害のある方にとってはその影響がより大きく表れることがあります。季節行事(クリスマスや年末年始のイベント)に参加しにくい、他人との関わりが減るといったことが、孤独感や疎外感を強め、うつ症状を悪化させる原因になるのです。

それでは、冬季うつを予防・改善するためにはどうすればよいのでしょうか?以下に、取り組みやすい対処法を3つご紹介します。
冬季うつの大きな原因である「日照不足」を補うために、意識して日光を浴びることが大切です。朝起きたらすぐにカーテンを開ける、通勤時に日なたを歩く、休日は短時間でも散歩をするなど、日光に当たる機会を生活の中に取り入れてみましょう。
難しい場合は、「光療法」と呼ばれる治療法も選択肢になります。専用のライトを使って人工的に日光に近い光を浴びることで、体内リズムを整える効果が期待されます。
運動には、セロトニンの分泌を促し、気分を安定させる効果があります。ウォーキングやストレッチなど、無理のない範囲で構いませんので、定期的な運動を習慣化することが効果的です。特に朝の時間帯に運動することで、生活リズムの改善や日光を浴びる機会の増加にもつながります。
「冬だけ調子が悪い」と軽視せず、症状が強いと感じた場合は早めに医療機関を受診しましょう。冬季うつはうつ病の一種であり、れっきとした治療対象となります。薬物療法や認知行動療法、光療法など、科学的に効果が認められている治療法がありますので、専門家に相談することで改善の道が開けます。
冬になると体調を崩したり、気分が落ち込んだりする方は少なくありません。特に発達障害の傾向がある方にとっては、季節の変化は見過ごせない影響を及ぼすことがあります。冬季うつは適切に対処すれば予防や改善が可能です。
「最近どうも調子が出ないな」と感じる方は、まずはご自身の生活リズムや日光の量を見直してみてください。そして、必要であれば周囲の支援や専門家の力を借りながら、無理のないペースで心と体のバランスを整えていきましょう。