朝起きたときに、「どうしても今日は仕事に行きたくない……」と感じたことはありませんか?特に、発達障害の特性を持つ方にとって、このような気持ちは頻繁に起こり得るものであり、その背後には複雑な理由が潜んでいます。このような状態を放っておくと、心身の不調につながる恐れもあるため、早めの対処が重要です。
本記事では、発達障害とはどのような障害かを簡単に説明したうえで、仕事に行きたくなくなる代表的な理由とその具体的な対処法について解説します。
発達障害とは何か
発達障害は、生まれつき脳の一部の機能に偏りがあり、生活や仕事の中で特定の困難さを抱えやすい状態を指します。主に以下の3つのタイプに分類されます。
ADHD(注意欠如・多動性障害)
不注意、衝動性、多動性といった特徴があり、集中力が続かなかったり、思いつきで行動してしまうことがよくあります。
ASD(自閉スペクトラム症)
人間関係の構築やコミュニケーションが苦手で、曖昧な表現の理解や空気を読むことが難しい場合があります。また、特定の物事に強いこだわりを持つ傾向も見られます。
LD(学習障害)
読む・書く・聞く・話す・計算するといった特定の能力の一部に著しい困難があるタイプです。
仕事に行きたくないと感じる主な5つの理由
1. 人間関係がうまくいかない
発達障害を持つ方の多くは、対人関係やコミュニケーションに課題を抱えています。ASDの方は相手の気持ちを読み取ることや表情から意図を察するのが苦手であり、ADHDの方は衝動的に発言してしまうことでトラブルになることがあります。

その結果、上司や同僚と円滑な関係を築けず、職場に行くこと自体が大きなストレスになってしまいます。「仲良くなりたいのに、うまくいかない」という葛藤を抱える方も多く、仕事に対するモチベーションを維持するのが難しくなる要因の一つです。
2. 仕事量が多い、または仕事が合っていない
発達障害のある方は、マルチタスクが苦手であったり、集中力が持続しにくいことがあります。そういった方が仕事量の多い職場に就職してしまうと、業務の負担が大きくなり、疲弊しやすくなります。
また、仕事の内容が自分の興味や得意分野と一致していない場合、やる気を失いやすく、ミスが増えたり、周囲と比較して落ち込んでしまうこともあります。完璧主義の傾向が強い人も多いため、自分で自分を追い詰めてしまうケースも見られます。
3. ストレスを溜めやすい
発達障害の方は、ストレスに対して敏感で、うまく発散することができない傾向があります。ADHDの方は「過集中」状態になりやすく、気づいたら何時間も休憩せずに作業を続けてしまい、心身が疲弊してしまうことも。一方、ASDの方は強いこだわりがストレスの原因になることがあります。
さらに、感覚過敏の症状(音・光・匂いなど)もストレスの大きな要因になり得ます。小さな刺激でも強い不快感を覚え、集中が難しくなることがあります。
4. 頑張っても評価されないと感じる
発達障害のある方は、他人から認められたい、評価されたいという思いが強い傾向にあります。しかし、自分の強みをうまく活かせない環境ではその能力を発揮しにくく、周囲に理解されないまま頑張っても、適切に評価されないと感じてしまうことがあります。
その結果、「頑張っても意味がない」と感じてしまい、出社する意欲が失われてしまうのです。
5. 体調不良が続いている
ストレスや人間関係の悩み、過重労働などが原因で、精神疾患(うつ病、適応障害、パニック障害など)を発症することも少なくありません。精神疾患による症状として、睡眠障害、食欲不振、腹痛、吐き気、めまいなどが現れ、それらが仕事への影響を及ぼします。
これらの症状が続くと、自然と「仕事に行きたくない」という気持ちが強まり、出社が困難になることもあります。
「行きたくない」と感じたときの5つの対処法
1. 休日にストレスを解消する
ストレスを蓄積しないよう、休日は意識してリラックスする時間を設けましょう。運動、趣味、散歩、映画鑑賞、旅行など、自分が楽しめることを見つけるのがポイントです。他人と比較するのではなく、自分に合った方法でリフレッシュすることが大切です。

2. 苦手なことを周囲に伝える
自分の苦手なことを伝えるのは勇気が要りますが、無理に我慢し続けると大きなストレスになります。信頼できる上司や同僚、または専門家に相談し、業務の調整や配慮を依頼することが、働きやすい環境づくりの第一歩となります。
このとき、苦手なことだけでなく、得意なこと・強みも一緒に伝えることで、相手にも前向きに受け取ってもらいやすくなります。
3. 完璧を目指さない
完璧主義が強すぎると、業務に必要以上の時間がかかり、結果的に自分も周囲も疲れてしまいます。60点でも70点でも良いので、まずは「終わらせる」ことを意識しましょう。後から修正する機会はいくらでもあります。
4. 信頼できる人に相談する
抱え込みすぎず、信頼できる人に悩みを話すことが重要です。友人、家族、職場の同僚、上司、あるいは就労支援スタッフや医師など、話を聞いてくれる相手を見つけてみましょう。相談することで、問題の整理ができたり、アドバイスをもらえたりして、気持ちが軽くなることがあります。

5. 休職や転職を検討する
どうしても今の環境が合わないと感じた場合は、休職や転職を検討することも選択肢の一つです。まずは医師に相談し、診断書をもらうことで会社に配慮を求めることができます。ひとりで抱え込まず、就労支援事業所や転職エージェントなど、頼れる機関に相談してみましょう。
おわりに
発達障害を持つ方が「仕事に行きたくない」と感じるのには、多くの理由があります。人間関係、仕事の内容、ストレス、評価の問題、体調の不調など、それぞれの理由にはご本人の特性が深く関係しています。
大切なのは、自分自身の気持ちに正直になり、適切な方法で対処することです。我慢し続けず、誰かに頼る勇気を持つことで、少しずつ働きやすい環境を整えていくことができるでしょう。