「もしかしてADHDかも?」と感じたときに知っておきたい職場での対応と理解
「この人、もしかしてADHDかもしれない…」そんな風に感じたことはありませんか?
近年、ADHD(注意欠如・多動症)という言葉は少しずつ広く知られるようになってきました。しかし、「名前は聞いたことがあるけれど、実際にどういう特徴があるのか」「職場でどう接すればいいのか」といった点では、まだまだ理解が追いついていないことも多いのが現状です。
今回は、「職場におけるADHDの特徴と対応方法」について、わかりやすく丁寧に解説していきたいと思います。ADHDの基礎的な知識から、職場で見られる具体的なサイン、そして周囲がとるべき適切な関わり方まで、順を追ってお話ししていきます。
ADHD(Attention-Deficit / Hyperactivity Disorder:注意欠如・多動症)は、発達障害の一種であり、主に「不注意」「多動性」「衝動性」といった特性が見られる障害です。生まれつき脳の働きに偏りがあり、本人の意思や努力とは無関係に、特定の行動や思考に難しさを抱えることがあります。
主な特徴は以下の2つに大別されます。
ADHDかどうかは、医療機関での正式な診断を受けなければわかりません。しかし、職場で関わる中で「もしかして…?」と感じるような行動パターンがあります。ここでは、その代表的なサインを5つご紹介します。
1. 同じようなミスを繰り返す

ADHDの方は、集中力を持続するのが苦手な傾向にあります。そのため、うっかりミスやケアレスミスを繰り返してしまうことがよくあります。ミスを指摘されて「次は気をつけよう」と思っても、集中力の波によって再び同じミスをしてしまうこともあります。
2. 計画的な行動ができない
スケジュール管理やタスク管理が苦手で、期日までに業務が完了しない、予定を忘れる、準備が間に合わず遅刻する――といったケースが目立つ場合もあります。計画を立てること自体が難しかったり、計画を立てても実行に移せないことが多いのです。
3. いつも探し物をしている

忘れ物やなくし物が多いのも、ADHDの不注意傾向によるものです。デスクの上が整理されておらず、何がどこにあるのかわからなくなってしまったり、必要な資料を家に忘れてくるといった行動が頻繁に見られます。
4. 話を最後まで聞けない
話を聞いている途中で別のことを考えてしまったり、相手の話を遮って自分の意見を話し始めるなど、会話のキャッチボールがうまくいかないことがあります。これは不注意や衝動性の影響です。会議中などに集中が切れてしまい、話の内容を覚えていないということもあります。
5. 活動的だが飽きやすい
ADHDの方には、エネルギッシュで行動力にあふれている方も多く、アイディアをすぐに形にできるという強みもあります。一方で、単調な作業や繰り返しの業務には飽きやすく、継続するのが苦手という面もあります。また、突発的に行動してしまい、それが結果的にトラブルにつながるケースもあります。
「もしかしてADHDかも」と感じたとき、周囲の対応が適切でないと、本人を深く傷つけてしまうこともあります。以下に、避けるべき対応を3つご紹介します。

1. 障害だと断定する
たとえADHDの特徴に当てはまっていたとしても、医師による診断がない限り、障害と決めつけることはできません。ましてや本人に「君、ADHDなんじゃない?」などと伝えるのは非常にデリケートな問題です。無責任な断定や噂は、職場の人間関係を壊す原因になります。
2. 「できない人」と決めつける
発達障害は「できること」と「できないこと」の差が大きい、いわゆる“でこぼこ”の障害です。一部の業務では困難がある一方で、得意分野では高いパフォーマンスを発揮することもあります。苦手な面ばかりに注目せず、「どのような仕事なら力を発揮できるか」に目を向けることが大切です。
3. 感情的に叱る
ミスを叱責することが問題を解決するとは限りません。ADHDの特性によって繰り返しミスをしてしまうことは多々あります。「何度言ったらわかるんだ」と怒っても、根本的な解決にはならず、むしろ本人を追い詰めてしまいます。長期的にはメンタルヘルスの悪化や離職につながる可能性もあるため、冷静に支援する姿勢が求められます。
では、職場で「ちょっと気になるな」と思った場合、どのように接するのが良いのでしょうか。3つのステップをご紹介します。
1. 本人の困りごとを聞く
まずは、「最近仕事で困っていることはない?」と優しく声をかけてみてください。もしかしたら、本人も自分の特性に悩みを抱えているかもしれません。「手伝えることがあれば言ってね」といった一言が、本人にとって大きな安心になります。
2. 一緒に解決策を考える
「困っていることがある」と打ち明けてくれたら、今度は一緒に具体的な対策を考えていきましょう。例えば、タスクの見える化、リマインダーの活用、こまめな声かけなど、実行可能な工夫を少しずつ取り入れていくことが大切です。
3. 必要に応じて受診を勧める
信頼関係が築けた上で、症状が強く仕事に支障が出ている場合には、「一度専門機関で相談してみるのも手かもしれないね」と、さりげなく医療機関の受診を促すのも良いでしょう。診断を受けることで、自分の特性を正しく理解し、適切な支援につながるケースも少なくありません。

ADHDは本人の努力不足ではなく、生まれ持った脳の特性によるものです。そして、それぞれの特性に合った対応や配慮をすることで、十分に職場で力を発揮できる可能性があります。
大切なのは、「理解しよう」とする姿勢です。
一人ひとりの特性に向き合い、共に働きやすい職場環境を作っていくために、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。