【断る勇気】発達障害は仕事で無理を言われても断れなくて辛い【ADHD・ASD】

職場で「これお願いできる?」と頼まれたとき、つい「はい、大丈夫です」と反射的に答えてしまった経験はありませんか?
特に発達障害のある方の中には、「頼まれると断れない」という悩みを抱えている方が少なくありません。

今回は、「発達障害の人が仕事を断れない理由」と「上手に断る方法」について、わかりやすく解説していきます。断ることは決して悪いことではなく、自分の心と体を守るために大切なスキルです。ぜひご自身の働き方を見直すきっかけにしてください。


なぜ、発達障害の人は仕事を断れないのか?

まずは、発達障害のある方が仕事を断れない理由について、代表的な4つのポイントを紹介します。

1. 衝動的・反射的に「OK」してしまう(主にADHD傾向)

ADHD(注意欠如・多動性障害)の衝動性が強い方は、相手の言葉に対して深く考えず、つい反射的に「大丈夫です!」と答えてしまいがちです。

その瞬間は問題ないように感じても、後からよく考えると「今の自分のスケジュールでは無理だった」「もっと考えて返事をすればよかった」と後悔することも。こうした衝動的な受け答えは、断れない原因になるだけでなく、他の業務上のトラブルにもつながる可能性があります。

2. 優先順位付けや時間管理が苦手(主にADHD傾向)

ADHD傾向のある方は、自分が今どれくらいの仕事を抱えているのか、どれがどのくらい重要で、いつまでに終わらせなければならないかといった「タスクの見通し」を立てるのが苦手な傾向があります。

そのため、「今、受けて大丈夫な仕事なのかどうか」が判断できず、とりあえず引き受けてしまうケースが多くあります。結果的に仕事が積み重なってパンクし、後から「やっぱり断ればよかった…」と後悔することになるのです。

3. 他人の評価を気にしすぎる

「仕事を断ったら嫌われるのでは?」「使えない人だと思われたくない」といった不安から、無理をしてでも仕事を引き受けてしまう人もいます。

発達障害のある方の中には、過去に人間関係で傷ついた経験を持つ方が多く、自分の評価や他人からどう見られているかに敏感になってしまう傾向があります。このような背景から、「とにかく断ってはいけない」と思い込み、自己犠牲的に働いてしまうのです。

これは「過剰適応」と呼ばれ、本来の自分の気持ちを押し殺し、相手の期待に応えようとしすぎる状態です。長期的に続けると、精神的にも肉体的にも大きな負担になります。

4. 自己表現が苦手(主にASD傾向)

ASD(自閉スペクトラム症)の中でも、特に「受動型」と呼ばれるタイプの方は、自分の意思や気持ちを言葉にして伝えることが苦手で、頼まれたことをそのまま受け入れてしまう傾向があります。

一見、素直で協力的に見えるため、周囲から仕事を頼まれやすくなりますが、自分の中では限界を超えていても、それを表現できずにどんどん業務を抱え込んでしまいます。


上手に断るための2つの方法

仕事を断るのが苦手な方でも、ちょっとした工夫で上手に伝えることができます。ここでは「すぐに返事をしない」「クッション言葉を使って断る」という2つのポイントをご紹介します。

1. すぐに返事をしない

「ぱっと反射的に答えてしまう」方は、まず「すぐに返事をしない」ことを意識してみましょう。

たとえば、「この仕事お願いできる?」と言われたときに、「今抱えている業務のスケジュールを確認してからお返事してもよろしいですか?」と、一度返答を保留するようにします。

このように間を置くことで、冷静に「今の自分にできるかどうか」を判断する時間ができますし、無理に引き受けるリスクも減ります。仮に自分で判断が難しい場合は、上司や同僚に相談しながら業務量を調整してもらうのも良いでしょう。

2. クッション言葉を使ってアサーティブに断る

断るときには、「申し訳ありませんが」「恐れ入りますが」などのクッション言葉を使って丁寧に伝えることで、相手の気持ちを傷つけずに自分の気持ちを伝えることができます。

たとえば、

「申し訳ありませんが、現在いくつかの案件を進めており、新たに対応する余裕がない状況です。」

というように、「なぜ断るのか」という理由をきちんと添えることで、誤解を避けることができます。

さらに、

「明日であれば対応可能ですが、いかがでしょうか?」

というように、代替案を提示すると、相手にとっても建設的な提案となり、信頼を損ねることなく断ることができます。


無理を続けると、いつか限界が来てしまう

仕事を頼まれても断れず、つい無理をして引き受けてしまう…。それが続いてしまうと、精神的にも肉体的にも限界がきてしまいます。ひどい場合は、うつやバーンアウトなど、長期的に働けなくなる事態を招く可能性もあるのです。

仕事を引き受けることは大切ですが、自分のキャパシティを超えてまで頑張りすぎる必要はありません。評価や周囲の目を気にしすぎるのではなく、「今の自分ができること」と「自分の健康・生活とのバランス」を大切にしましょう。


まとめ:断ることは「逃げ」ではない。自分を守る大切なスキル

「仕事を断ること=悪いこと」と考える方も多いかもしれませんが、実は断ることは、自分を守るための大切な手段です。

発達障害のある方は、断ることへの苦手意識を持っていることが多いですが、自分を追い込みすぎず、周囲と良好な関係を築くためにも、「上手な断り方」を身につけることがとても大切です。

無理をしないで、でも誠実に――そんな働き方を目指して、少しずつ「断る練習」をしていきましょう。自分の気持ちを大切にできるあなたでいてください。