更年期うつ病を引き起こす4つの出来事

はじめに:更年期障害について

 更年期とは、子どもを産むことができる身体から、そうでなくなる50歳前後の時期を指します。女性の場合、45歳頃から卵巣からの女性ホルモン分泌が減少し、50歳頃に閉経を迎えます。中には、女性ホルモンが急激に減少し、全身のホルモンバランスが乱れることがあります。

その結果、脳の自律神経を制御する部分に不具合が生じ、動悸や発汗など自律神経失調の症状が現れます。これを「更年期障害」と呼び、約2割の女性に見られると言われています。一方、男性の場合、男性ホルモンは50歳から60歳にかけてゆっくりと減少していくため、更年期障害はほとんど見られません。

 女性ホルモンであるエストロゲンは、脳内のセロトニン分泌を促す働きがあり、セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれています。セロトニンが不足すると、うつ病や慢性的な痛みを引き起こします。更年期には、エストロゲンの減少に伴いセロトニンも少なくなり、不安やうつ、イライラ、不眠、肩や腰の痛みが生じやすくなります。このような更年期に起こるうつ状態を「更年期うつ病」と呼び、多くの場合、更年期障害がその背景にあると言われています。

更年期うつの原因

更年期うつの原因

更年期うつ病の原因は、単にホルモンの変化だけではありません。この時期は人生の大きな変化が多く、例えば管理職への昇進、子どもの独立、親の介護や死別、大きな買い物など、非常にストレスフルな出来事が重なることも要因となります。

以下では、更年期うつ病に影響を与える主要な4つの出来事について説明します。

空の巣症候群

かつて子どもで賑わっていた家庭も、子どもの独立と共に静かになってしまいます。たとえ老後は子どもに頼らないつもりでも、実際に子どもがいなくなると、心に大きな空虚感を覚えることがあります。この感覚を「空の巣症候群」と呼び、特に、子どもが去った後に孤独感が深まります。こうした喪失感や孤独感が、うつ病の引き金になることがあります。

夫がいても、仕事で長期間家庭を離れていた場合、家庭での存在感が薄いことも多く、孤独感を感じやすくなります。子どもには親の感情を理解してもらい、連絡を頻繁に取るよう心がけると良いでしょう。また、夫も妻が孤独を感じないよう、病気を理解し支えることが重要です。

親の介護や死別

更年期に差し掛かる頃、親が病気がちになり、介護が必要になることがあります。特に認知症の介護は精神的にも肉体的にも負担が大きく、介護が長引くと心が疲弊し、うつ病を引き起こすことがあります。介護は一人で抱え込まず、介護保険などの制度を利用して支援を受けることが大切です。また、親の死別も喪失感からうつ病の原因となることがあります。

健康への不安

更年期うつ病の特徴は、身体的な症状が多いことです。動悸、発汗、疲れやすさ、肩や腰の痛みなどが現れ、その症状がうつ気分を悪化させ、体の症状をさらに悪化させ、悪循環に陥ることがあります。体調不良を深刻な病気と誤解して不安になることもあり、こうした不安に対しては、抗不安薬などが効果的です。インターネット上の情報には、安定剤は依存症になる、睡眠薬は認知症になるといった根拠のない正しくない記事に惑わされず、医師と相談しながら適切に治療を進めることが大切です。

美容の衰え

更年期は、顔にシワやたるみが目立つようになり、美容への関心が高まる時期でもあります。外見の変化を受け入れられないことが大きなストレスとなり、更年期うつ病の一因となることもあります。美容皮膚科や美容外科を利用し、見た目の改善を図るのも一つの方法です。

おわりに

おわりに

 更年期うつ病は、慢性的な痛みや不定愁訴などの体の症状が多いため、最初は整形外科や内科を受診することが多いですが、検査の結果、問題なしと判断された場合は、婦人科を紹介されます。婦人科では、更年期の治療が行われます。心の症状が強い場合は精神科を紹介されます。精神科では、抗不安薬や抗うつ薬が処方されます。心理的原因を考慮して心理療法も行われます。

更年期は人生の転換期であり、家族のサポートと理解が不可欠です。家族全体で病気を理解し、協力して支え合うことが更年期うつ病の改善に繋がります。