朝起きるのがつらい、気づいたらまた遅刻してしまった――そんな悩みを抱えているADHD(注意欠如・多動症)の方は少なくありません。
本記事では、「ADHDの人の朝の特徴」から始めて、遅刻しがちな方でも実践しやすい「遅刻しないための具体的な対策」まで、丁寧にご紹介します。自分に合った朝の過ごし方を見つけるヒントになれば幸いです。
まず、ADHDの方が朝にどのような困りごとを抱えやすいのかについて整理してみましょう。大きく分けて、次の2つの特徴があります。
1. 朝、起きられない
ADHDの方の多くが「朝、なかなか起きられない」「寝ても疲れが取れない」といった悩みを抱えています。その背景には、いくつかの要因が複雑に関係しています。
・夜更かしの傾向
衝動性や多動性の特性が強い方は、やりたいことをつい優先してしまう傾向があります。たとえば、ゲームや動画視聴、趣味などに夢中になり、「あと少しだけ…」が気づけば深夜、という経験がある方も多いのではないでしょうか。
・過集中になりやすい
ADHDの方は、一度集中すると時間を忘れて没頭する「過集中」の状態に入りやすい傾向があります。仕事や趣味に夢中になり、夜更けまで手が止まらず、結果として睡眠時間が確保できず朝がつらくなるというケースがよく見られます。
・仕事への不安・考えごとが頭から離れない
日中の仕事での失敗やプレッシャーを引きずり、家でも仕事のことが頭から離れず眠れない、という方もいます。プライベートと仕事の切り替えが苦手な方は特に、就寝前に頭が冴えてしまい、なかなか寝つけないことが起こりやすいです。
・睡眠障害との関連
ADHDと診断された人のうち、3割以上が何らかの睡眠障害の診断を受けたことがあるという調査結果もあります。入眠困難、中途覚醒、昼夜逆転など、睡眠の質やリズムが乱れやすい傾向にあり、それが朝起きられない原因となっているケースも多いです。
2. 朝、バタバタしてしまう

「なんとか起きたけれど、朝はいつもドタバタ…」というのもADHDの方に多く見られる特徴です。
・注意散漫による遅れ
朝の支度中にスマホの通知音が鳴ると、そちらに気を取られてしまい、気づいたら準備が止まっていた…ということも。ADHDの方は外部からの刺激に注意が移りやすいため、集中が続かず、段取りが乱れがちです。
・朝のルーティンが確立していない
何をするかが決まっていないと、「次は何をすればいいんだっけ?」とその都度考えることになり、思考がごちゃごちゃしてしまいます。結果、時間がかかり、身支度が進まず、遅刻の原因になります。

それでは、こうしたADHDの朝の困りごとに対して、どのような対策が有効なのでしょうか。ここでは、すぐに取り入れられる対策を4つご紹介します。
1. アラーム・目覚ましをフル活用する
朝起きるためだけでなく、「夜、寝るためのアラーム」も設定しましょう。
ADHDの方は目先の楽しさを優先しがちなので、寝る時間を自分で意識的に管理する仕組みを作ることが大切です。たとえば、22時にスマホやゲームをやめて、23時には布団に入るようにリズムを整えるなど、「やめる時間」のアラームを習慣化するとよいでしょう。
また、寝る直前までスマホやゲームを続けていると、脳が興奮状態になり、入眠が難しくなります。眠る前の30分〜1時間は、できるだけ刺激の少ない穏やかな時間を過ごすのがおすすめです。
2. 生活リズムを整える
ADHDの方は、生活リズムが乱れやすいという特徴があります。
「何時に寝て、何時に起きるか」をある程度一定に保つことで、体内時計が整い、自然と朝も起きやすくなっていきます。
理想としては、最低でも6時間以上の睡眠を確保し、休日もなるべく起床時間を大きくずらさないようにしましょう。「毎日23時に寝て、6時半に起きる」など、自分なりのリズムを作っていくことが大切です。
3. 朝のルーティンを決める
起床後から家を出るまでの行動を「順番」と「時間」で決めておくことも有効です。
たとえば、
のように、タイムテーブルを紙やスマホに書き出して、毎朝それに沿って動くようにすると、段取りが自然と身についていきます。毎日繰り返すことで、意識しなくてもスムーズに動けるようになるはずです。
4. 前日に準備を済ませておく
朝のタスクを減らすために、できることは前日に終わらせておきましょう。
たとえば、
などのちょっとした準備でも、朝の余裕が大きく変わります。バタバタしながら用意をすると、忘れ物や二度手間も増えます。夜のうちに落ち着いて準備することで、朝の焦りやストレスを軽減できます。
ADHDの人にとって、「朝起きること」や「時間どおりに出かけること」は、決して簡単なことではありません。
しかし、夜の行動を見直したり、朝の過ごし方をルーティン化したりすることで、少しずつ朝の困りごとを軽減することは可能です。
ポイントは、「完璧を目指す」のではなく、「できる範囲から始めてみる」こと。焦らず、できることからひとつずつ取り入れていきましょう。