【寝不足になりがち】疲れやすいASDさんの最強安眠法【大人の発達障害】

皆さんは日々、なんとなく疲れが取れにくいと感じたことはありませんか?特に発達障害のひとつであるASD(自閉スペクトラム症)をお持ちの方の中には、「なぜこんなにも疲れやすいのだろう」と悩まれている方も多いのではないかと思います。

今回は「ASDの人が疲れやすい理由」と「安眠を実現するための具体的な方法」というテーマでお話ししていきたいと思います。まずは、ASDの方が日常生活の中でどのような点で疲れやすいのか、3つの主な原因について見ていきましょう。

1. 感覚過敏・感覚鈍麻による疲労

まず最初に挙げられるのは、「感覚過敏」または「感覚鈍麻」といった感覚特性からくる疲労です。ASDの方の中には、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)に対する感受性が非常に高い方が多くいらっしゃいます。例えば、太陽の光や蛍光灯の照明がまぶしく感じられたり、人混みのざわめきや機械音が頭に響いたり、強いにおいに敏感だったりといったことがあります。

感覚過敏・感覚鈍麻による疲労

このような外部刺激に対して常に過敏な状態でいると、心身に大きな負担がかかり、結果として強い疲労感を覚えるようになります。

一方で、感覚鈍麻、すなわち刺激に対しての感覚が鈍くなるという傾向もあります。この場合、自分が疲れていることに気づきにくく、休息をとるタイミングを逃してしまうことがあります。無理をして活動を続けた結果、突然体調を崩してしまうといったことも珍しくありません。

2. 人間関係・コミュニケーションによる精神的疲労

次に挙げられるのが、人との関わり合いからくる精神的な疲労です。ASDの方の多くは、対人関係や会話のやりとりに困難を感じやすい傾向があります。そのため、相手の表情や空気を読むことが難しく、意図せず失礼な言い回しになってしまうなど、誤解を生むこともあります。

そのような経験を重ねることで、人とのコミュニケーション自体に強い不安やプレッシャーを感じるようになり、常に「相手にどう思われるか」を気にする状態になってしまいます。これは、自分らしさを抑えて周囲に合わせようとする努力につながり、結果的に大きなストレスと疲労をもたらします。


3. 思考の偏りや過集中による疲労

ASDの方には、物事を白か黒か、0か100かというように極端に捉える「白黒思考」や「完璧主義」の傾向が見られることがあります。このような思考の傾向は、自分自身に過剰なプレッシャーをかけ、ミスや失敗に対して過敏に反応してしまいがちです。

さらに、「過集中」と呼ばれる特性も疲労の原因になります。過集中とは、ある作業に深く没頭しすぎてしまい、周囲の状況や自分の疲れに気づかなくなってしまう状態のことです。休憩や食事、睡眠さえ忘れてしまうこともあり、結果として気づいたときには心身ともに限界を迎えていた、という事態に至ることもあります。


ASDと睡眠トラブルの関係

さて、ここまでASDの方が疲れやすい理由について解説してきましたが、それに大きく関連するのが「睡眠」です。ASDの方は、睡眠に関するトラブルを抱えていることが多いということが、さまざまな研究や調査から明らかになっています。

ASDと睡眠トラブルの関係

ある調査によれば、ASDの方のおよそ3〜4割が不眠の症状で医療機関を受診しているという報告もあります。また、ADHDとの併存を伴う方ではさらにその割合が高まる傾向も見られます。

こうした睡眠障害の背景には、ASDの持つ感覚特性や過集中、ストレスなどが影響していると考えられています。感覚過敏によって環境からの刺激に反応しやすく、静かな寝室でも音や光、寝具の感触に過敏に反応してしまうこともあるでしょう。また、日中の過集中や人間関係でのストレスが、夜になっても思考として残り、寝つきを妨げる原因になることもあります。

さらに、睡眠の質が低下することは、集中力や記憶力、判断力といった認知機能に悪影響を及ぼし、結果的にASDの特性を悪化させるという悪循環を引き起こします。


快適な睡眠を実現するための4つの対策

それでは、ASDの方がより質の高い睡眠を得るためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。ここでは4つの具体的な対策をご紹介いたします。

1. 自分に合った睡眠環境を整える

まず大切なのは、自分にとって快適な環境を整えることです。照明の明るさ、部屋の温度、音の有無、寝具の質感など、自分が敏感に感じやすい要素に配慮しましょう。感覚過敏がある場合は、肌にやさしい素材の寝具を使う、遮光カーテンやノイズキャンセリング機器を導入するといった工夫も効果的です。

2. 生活をルーティーン化し、アラームを活用する

睡眠や休息を「疲れたらとる」のではなく、「決まった時間にとる」ことが大切です。時間を区切って作業し、その都度アラームを設定することで、過集中に陥ってしまうのを防ぐことができます。また、起床・就寝の時間を一定に保つことで体内時計を整え、入眠しやすいリズムをつくることにもつながります。

3. 入浴やストレッチで身体をリラックスさせる

入浴やストレッチで身体をリラックスさせる

ぬるめのお風呂にゆっくりと浸かることや、就寝前に軽いストレッチを行うことも、安眠には効果的です。体がリラックスモードに切り替わり、副交感神経が優位になることで、自然と眠りに入りやすくなります。寝る直前のスマートフォンの使用など、刺激の強い行動は避けるようにしましょう。

4. 不安やストレスを軽減する工夫を取り入れる

睡眠を妨げる最大の要因のひとつが、心の不安です。ASDの方は特に、人間関係や日中の出来事に対する不安を引きずりやすいため、夜になっても思考が止まらず、眠れなくなってしまうことがあります。信頼できる人に相談する、日記に感情を吐き出す、翌日の予定を整理するなど、不安を持ち越さない工夫を日常に取り入れてみてください。


おわりに

ASDの方が感じる疲労には、感覚特性や社会的要因、思考パターンなど、さまざまな背景があります。そして、こうした疲労を癒すうえで、睡眠の質は非常に大きな鍵を握っています。日々のちょっとした工夫や習慣を通じて、自分に合った休息のかたちを見つけていただければと思います。

どうかご自身の心と身体にやさしく寄り添い、無理をせず、必要なときには周囲の支援を得ながら、一歩ずつ健やかな毎日を重ねていってくださいね。