ASD積極奇異型との正しい関わり方5選

近年、発達障害の理解が少しずつ社会に広がってきた一方で、
実際の職場や日常生活でどのように関わればよいのか、戸惑っている方も少なくありません。
今回はその中でも
「ASD積極奇異型」と呼ばれるタイプの方との関わり方
について、解説していきます。

ASD積極奇異型とは?

ASD積極奇異型とは?

ASD(自閉スペクトラム症)は、対人関係やコミュニケーションの面で困難を感じる
発達障害の一種ですが、その対人関係の傾向にはいくつかのタイプがあります。
主に「孤立型」「受動型」「積極奇異型」「尊大型」の4つに分けられます。

今回取り上げる「積極奇異型」は、他のタイプと異なり、自ら積極的に人と関わろうとする特性があります。一見すると社交的で明るい印象を受けることもありますが、その関わり方には
独特の困難が伴います。
たとえば、相手の気持ちや状況をうまく読み取れない、
一方的に話しすぎる、距離感が適切でない、空気を読むのが苦手

といった特徴が見られます。

では、具体的にどのような点に注意して接するべきなのでしょうか。

積極奇異型の人との関係構築の難しさ

積極奇異型の人との関係構築の難しさ

積極奇異型の方との関わりは、一見円滑に進みそうに見えても、コミュニケーションのズレが原因で人間関係がこじれたり、職場でトラブルになったりするケースも少なくありません。

一方的な会話になりがち

積極奇異型の方は、自分の興味のあることを長々と話す傾向があります。
相手の反応に気づかず、興味のない話題を延々と話し続けたり、
同じ話を繰り返したりすることもあります。

逆に、相手の話が自分の関心外であれば、ほとんど耳を傾けないこともあります。
こうしたやり取りに周囲は疲れてしまうことがあります。

距離感が近すぎる

物理的な距離だけでなく、心理的な距離も近すぎる傾向があります。
たとえば、初対面でため口を使ったり、親しくないのにプライベートな話題(お金、恋愛、家族など)に踏み込んでしまったりすることがあります。
顔を近づけすぎて話すなど、物理的な距離に無自覚な場面も見られます。

空気が読めない

場の雰囲気や相手の気持ちを察するのが苦手です。そのため、思ったことをストレートに口に出し、相手を傷つけてしまうこともあります。

たとえば「その髪型、全然似合ってないね」と無邪気に言ってしまうなど、
悪気はなくても失礼な発言をしてしまいがちです。
また、皮肉や冗談が通じにくく、ずれた反応を返してしまうこともあります。

こだわりを押し付けがち

自分なりのルールややり方に強いこだわりを持ち、それを周囲にも適用しようとする傾向があります。会社の方針と異なるやり方を貫いたり、新人に自分流のやり方を教えたりすることで、トラブルに発展することもあります。

これらの特徴から、積極奇異型の方との関係構築には一定の工夫と理解が必要になります。

適切な関わり方5選

適切な関わり方5選

積極奇異型の方と円滑に関係を築くには、特性を理解しつつも、周囲が過度に疲弊しない方法を考える必要があります。ここでは、5つの実践的な関わり方を紹介します。

1. 特性を理解する

まずはASDの特性を知ることが重要です。「なぜこのような行動をとるのか」が理解できれば、トラブルを個人の性格問題と捉えず、障害特性として適切に対応することができます。知識があることで、感情的な反応を避け、冷静に受け止めることができるようになります。

2. 具体的に注意する

注意する際は、抽象的な言葉ではなく、具体的な行動に焦点を当てましょう。「そういう話はやめて」ではなく、「職場では貯金や恋愛の話題は避けよう」と明確に伝えることが大切です。悪気がないケースが多いため、丁寧かつ根気強い対応が求められます。

3. ルールを明文化する

あいまいな表現や判断を避け、明確なルールを設けましょう。たとえば、「人と話すときは、手を伸ばしても届かない距離を保ちましょう」など、具体的な距離感や行動ルールを伝えると理解されやすくなります。視覚的に伝える(イラストや図解など)ことも有効です。

4. 納得・安心を与える伝え方をする

ASDの方は変化に対して強い不安を感じやすいため、指導や変更を伝える際には、その理由やメリットを丁寧に説明しましょう。また、変化には準備期間を設け、「どのようなフォローがあるのか」もセットで伝えることで、安心して変化を受け入れてもらいやすくなります。

5. 支援機関に頼る

職場や周囲だけで対応するのが難しい場合は、外部の支援機関を活用するのも一つの手です。たとえば、就労移行支援事業所の定着支援、障害者職業センター、地域障害者職業生活支援センターなどがあります。ジョブコーチ派遣の制度を利用することで、本人だけでなく、企業側にも適切な助言・支援が得られます。

最後に:大切なのは「歩み寄りの姿勢」

最後に:大切なのは「歩み寄りの姿勢」

積極奇異型の方自身も、周囲に配慮した行動を取れるようになっていくことが重要です。特性があるからといって、周囲にすべてを任せるのではなく、自分なりにできる工夫や感謝の気持ちを忘れないことが、職場での信頼につながります。

同時に、周囲の人々も「関わりにくさ」だけを理由に排除するのではなく、適切な理解と支援を通じて共に働いていくことが、インクルーシブな社会の実現には不可欠です。

積極奇異型のASDの方との関わりは、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、お互いの特性と違いを知り、ルールやサポート体制を整えることで、職場や社会の中で良い関係性を築いていくことは十分に可能です。