発達障害、とりわけASD(自閉スペクトラム症)は、子供の頃からその特徴が見られる先天的な特性であると言われています。しかし、すべての人が幼少期に明確な診断を受けるわけではなく、大人になってから「実はASDだった」と気づくケースも少なくありません。今回は、なぜ大人になってからASDに気づく人が多いのか、そして子供の頃に見られるASDの特徴について、わかりやすく解説していきます。

ASDの特性は個人によってさまざまです。そのため、幼少期には症状や困難が目立たないこともあります。たとえば、小学校ではクラスメイトや先生との関係性が固定されており、決まった時間割に従って行動することが求められます。ASDの方は、こうした「型の決まった生活」を得意とする傾向があるため、大きな困難が生じにくく、特性が目立たない場合があります。
また、ASDの人の中には学業成績が非常に優秀な方もいます。むしろ「勉強がよくできる子」として認識され、問題が見過ごされてしまうことも少なくありません。加えて、ルールやマナーを守ることが得意な場合には、多少の違和感があっても「真面目」「個性的」といったポジティブな評価で片付けられることもあるのです。
現在30代以上の方が子供だった頃、発達障害という言葉自体は存在していたものの、社会全体での認知度は非常に低いものでした。実際、平成20年から令和2年にかけて、発達障害のある児童生徒数は約7倍に増加しているという調査もあります。この増加は、実際に子供の数が増えたというより、診断技術や社会的認識が進んだ結果と考えられています。
つまり、今の大人が子供だった時代には、ASDの特徴が見られても「少し変わった子」「手のかかる子」として扱われることが多く、適切な診断に結びつかなかった可能性が高いのです。
子供の頃は、周囲の理解や本人の努力によって、なんとか日常生活を乗り越えられた人でも、大人になると状況は一変します。社会に出れば、柔軟な対人関係や臨機応変な対応、暗黙の了解を読む力など、高度な社会性が求められるようになります。
そのときにはじめて「人間関係がつらい」「仕事が続かない」「空気が読めないと言われる」などの生きづらさに直面し、医療機関を受診して発達障害であることが判明するのです。

発達障害の診断において、幼少期からの特性の有無は非常に重要な要素です。では、ASDのある子供にはどのような特徴が見られるのでしょうか。ここでは、「ASDの子供あるある」として、3つの大きな特徴をご紹介します。
一人遊びを好む
ASDの子供の中には、集団遊びよりも一人で過ごすことを好む傾向があります。無理に友達と関わるよりも、一人で好きな遊びをしている方が安心できると感じる子も多いです。そのため、周囲の子供たちとは自然と距離ができてしまうことがあります。
他人の気持ちが想像しにくい
ASDの子供は、自分の発言や行動が他人にどのような影響を与えるのかを想像するのが苦手なことがあります。悪気はないのに順番を無視したり、自分の話ばかりしてしまうことも少なくありません。結果として、「わがまま」「自己中心的」と誤解され、友達との関係に悩むことがあるのです。
自分の気持ちをうまく言葉にできない
また、自分の考えや気持ちを言語化するのが難しい子もいます。「なぜそう思うの?」「どうしたいの?」と聞かれても、うまく答えられないため、「何を考えているのかわからない子」と見なされ、友達との関係が深まりにくいことがあります。
同じ遊びや行動を繰り返す
ジャンプを繰り返したり、手をひらひらさせたりと、特定の動きを何度も繰り返すことがあります。また、遊び方にも独自のルールがあり、同じおもちゃで毎回同じように遊ぶなど、反復行動が目立つことがあります。
興味の対象が極端に偏る
ASDの子供は、特定の物事に対して非常に強い興味や集中力を示します。たとえば、恐竜や電車などに異常なほど詳しくなり、大人顔負けの知識を持っていることもあります。その一方で、他のことにはほとんど関心を示さないという特徴もあります。
マイルールが強い
おもちゃを必ず同じ順番に並べる、決まった服しか着たがらないなど、自分なりのルールに強くこだわる傾向も見られます。そのため、急な予定変更などには対応が難しく、パニックになったり、かんしゃくを起こすこともあります。
感覚過敏・感覚鈍麻
ASDの子供は、五感に関する感覚が通常とは異なることがあります。例えば、ちょっとした音に過剰に反応したり、服のタグが肌に触れることを強く嫌がるなどの「感覚過敏」が見られることがあります。一方で、痛みに気づきにくい、熱さや寒さを感じにくいといった「感覚鈍麻」の傾向を持つ子もいます。
不器用さが目立つ
また、体の使い方が不器用な子も多いです。たとえば、ジャンプやボール投げといった運動が苦手だったり、はさみを使う、ボタンを留めるといった細かい動作に苦戦するケースもあります。このような不器用さは、本人にとっても大きなストレスになりうるため、周囲の理解が大切です。

今回は「子供の頃に出ていたASDの特徴」について解説しました。ASDは生まれつきの特性であり、大人になってから気づいたとしても、実際には子供の頃からサインが出ていたことがほとんどです。しかし、社会の環境や人間関係の複雑さによって、特性が目立たなかったり、見過ごされたりすることもあります。
「もしかしたら自分も…」「自分の子供に当てはまるかも」と感じた方は、早めに専門機関に相談してみることをおすすめします。早期の理解と適切な支援によって、生きづらさを減らし、より自分らしく過ごすことが可能になります。