9割の発達障害の食事に現れる特徴3選と悩み【ADHD/ASD】

発達障害のある方は、日常生活の様々な場面で特有の困りごとを抱えています。その中でも「食事」は他者との違いが表れやすく、本人や周囲の人たちを悩ませる要因となることがあります。

本記事では特にADHD(注意欠如・多動症)ASD(自閉スペクトラム症)を持つ方に見られやすい食事の特徴と、それに伴う困りごと、更には日常生活で活かせる対処法について解説します。

発達障害の人に見られる主な食事の特徴

発達障害のある人の食事に関する特徴は子どもの頃から顕著に見られることが多く、大人になってからも継続することがあります。ここでは代表的な特徴を3つ紹介します。

1. 食べ過ぎ(過食)

ADHDの衝動性が影響

ADHDの特徴の1つである「衝動性」によって、既に満腹であっても「もう少し食べたい」「目の前の食べ物をすぐに口に入れたい」といった衝動が抑えられず、過食傾向になることがあります。ADHDの人には摂食障害、特に過食症を併発する人が多いという研究結果もあり、衝動性と食行動との関連性は強いと考えられています。

感覚鈍麻による満腹感の鈍さ

発達障害のある人の中には、感覚鈍麻と呼ばれる状態が見られることがあります。これは五感の中でも特定の感覚を鈍く感じるもので、食事の際には「満腹感」を感じにくくなり、実際にはお腹がいっぱいであるにも関わらず食べ続けてしまう原因となります。

2. 偏食

偏食は、発達障害のある人に非常によく見られる特徴の1つです。

ASDに見られる「こだわり」

ASDの特性として「特定の味や食感に強いこだわりがある」ことが知られています。例えば「白い食べ物しか食べたくない」「野菜は緑だから嫌い」など、色や見た目から食べる・食べないを判断することがあります。また「魚は骨が刺さりそうで怖いから食べない」など、経験や思い込みによって強い偏食になるケースもあります。

感覚過敏による拒否反応

感覚過敏も、偏食の一因です。例えば、ぬるぬるした食感や食材の混ざった食感が苦手で食べられない、咀嚼音や匂いが不快で食事そのものが苦痛になるというケースもあります。このような感覚に基づく偏食は無理に改善しようとするとストレスが強まり、拒絶反応がより強くなることもあります。

3. 独自のルールやこだわり

ASDの人には食事の仕方や時間帯、順序に対して独自の強いルールやこだわりを持つ傾向も見られます。

例えば「夜は炭水化物を絶対に食べない」「12時ちょうどに昼食を取らないと落ち着かない」「ご飯は最後に食べる」といったように、食事に関するルールが生活全体に組み込まれている場合もあります。

こうしたこだわりがあるために、複数人での食事が難しく感じられることも少なくありません。居酒屋やビュッフェスタイルの食事などでは、取り分けの苦手さや苦手な食材を避けられないストレスも伴います。

食事に関する主な困りごと

発達障害のある人の食事における困りごとは、次のようなものがあります。

体重の変動が激しい

過食によって急激に体重が増えたり、逆に偏食や過度なダイエットへのこだわりから急激に痩せてしまったりと、体重の増減が不安定になりやすいです。

栄養バランスの偏り

食べられるものが限られているため、栄養バランスが乱れやすくなります。結果的にビタミンやミネラル不足、エネルギーの摂り過ぎ・不足が起き、体調不良や疲労感、集中力の低下に繋がることもあります。

会食など複数人での食事が苦手

会食など複数人での食事が苦手

友人や職場の同僚との会食の場面で、「取り分けが上手くできない」「食べられる料理が少ない」「こだわりが強くて浮いてしまう」といった苦手意識から、強いストレスを感じることがあります。

対処法と工夫

では、発達障害のある人が無理なく日常の食生活を整えていくためにはどうすれば良いのでしょうか。以下に代表的な対処法を紹介します。

自分に合った食材・調理法を探す

偏食がある場合、無理に「苦手なものを克服する」必要はありません。食感が苦手であれば、調理法を変えてみたり、同じ栄養素を含む別の食材に置き換えてみると良いでしょう。またサプリメントで補う方法もあります。完璧な食事を目指すのではなく、「自分にとって健康が維持できる範囲での食生活」を目指すことが現実的です。

咀嚼回数を増やして満腹感を得る

食べ過ぎを防ぐためには、咀嚼回数を意識して増やすことが有効です。食べ応えのある食材を選ぶ、ガムを噛む、早食いを避けてゆっくり食べるなどの工夫で、満腹中枢を刺激しやすくなります。

会食時には事前に伝えておく

食のこだわりや困りごとについて、信頼できる上司や同僚、友人などにあらかじめ伝えておくことで、ストレスの少ない会食環境を整えることができます。例えば、小分けの料理を出してくれるお店を選ぶ、取り分けを誰かにお願いするなど、少しの配慮で食事を楽しみやすくなります。

アプリで食事管理をする

アプリで食事管理をする

最近では、食事内容を記録・管理できるアプリも充実しています。例えば「あすけん」や「MyFitnessPal」「FiNC」「YAZIO」などを活用すれば、摂取カロリーや栄養バランス(PFCバランス)の可視化が可能です。コンビニやスーパーの商品のバーコードを読み取るだけで栄養情報が自動入力されるなど、手軽に食生活を見直す手助けになります。

おわりに

発達障害のある人にとって「食事」は日々の生活の中でも特に個人差が出やすく、困りごとが生じやすい場面の1つです。しかし無理に“普通”に合わせるのではなく、自分の特性を理解し、自分なりの方法を見つけていくことが大切です。

1人で悩まず、必要に応じて栄養士や医師、カウンセラーなど専門家の力を借りることも検討してみましょう。自分に合った食生活を見つけて、心と体の健康を守っていけるよう応援しています。