ADHD(注意欠如・多動性障害)は、忘れ物や不注意によるミスが多い「不注意」や、落ち着かず待つことが苦手な「多動・衝動」の特徴を持つ疾患です。

これは、大人になってから発症する病気ではなく、幼少期から現れる先天的なもので、育て方が原因ではありません。どこからが病気かという明確な基準はなく、特別な検査もありませんが、他の平均的な子供よりも顕著な症状が見られる場合に診断されます。成績が優秀であれば学校生活ではあまり問題視されないこともありますが、社会人になり職場で適応できないことから受診するケースが多く、これが「大人のADHD」と呼ばれるものです。
身近な例として、磯野家のカツオ君、ドラえもんののび太君、ジャイアンが挙げられます。
カツオ君は頭の回転が速いものの、不注意で勉強が苦手で、行動が先走りがちで、怒られても変わりません。のび太君は、集中力に欠け、勉強やスポーツが苦手で、忘れ物が多い「不注意優勢型」のADHDです。一方、ジャイアンは衝動的で乱暴な「多動・衝動型」のADHDです。
ADHDの子供が成長すると、次のような問題が見られることがあります。例えば、1.仕事でミスが多く忘れ物を頻繁にする。2.机の上が片付けられない。3.会議で内容が理解できない。4.計画的に物事を進められない。5.じっとしていられない。6.ゲームやパチンコに異常な集中を示すなどです。
有名なADHDの人々としては、マイクロソフトのビル・ゲイツやアップルのスティーブ・ジョブズ、楽天の三木谷浩史などが知られています。多動・衝動は大人になると目立たなくなることが多いですが、不注意はあるけれど強い集中力を発揮でき、多動が行動力に、衝動が発想力に転換されて成功する人もいます。カツオ君やジャイアンのようにADHDが個性として役立っているケースがあります。ADHDでも、実際には政治家、経営者、営業マン、芸能人、芸術家、スポーツ選手として成功している人も沢山います。このような人は、ADHDを個性として考えたらよいでしょう。
問題はのび太君です。原作によると、ドラえもんのいない世界では、人生で様々な失敗をし、ジャイ子と結婚をして孫の代まで残る借金をしてしまいます。ドラえもんがいる世界では、しずかちゃんと結婚をして、幸せな生活を送ります。のび太君の人生は、生き方を助けてくれる存在であるドラえもんがいるかいないかで、大きく変わってしまいます。
現実にはドラえもんのような存在はいませんが、ADHDをサポートするための社会的な仕組みがあります。精神科の診断に基づいて障害者手帳を取得すれば、就労支援施設や障害者雇用を利用することができ、無理なく自分の得意な分野で働くことができます。また、ADHDの症状に効果がある薬もあります。コンサータ、ストラテラ、インチュニブの3種類です。根本から治す薬ではなく、症状を改善させる薬です。医師によっては、抑うつ状態を治すことを優先して、SSRIなどの抗うつ薬を処方することもあります。適切な治療を受けることで生活の質を向上させることが可能です。
