発達障害と定型発達の朝の違い【ADHD・ASD】

発達障害と定型発達の「朝」の違いとは? 3つの視点から解説

朝の過ごし方には人それぞれの個性が表れますが、「発達障害のある人」と「定型発達の人」とでは、特に朝の習慣や行動において違いが見られることがあります。本記事では、「朝の目覚め」「朝の準備」「ルーティンの取り扱い方」の3つの視点から、発達障害と定型発達の方の朝の特徴の違いについて解説します。

1. 朝の目覚めに違いがある

1. 朝の目覚めに違いがある

発達障害のある人は朝が苦手?

発達障害のある方の中には、朝の目覚めがスムーズにいかない、布団から出られない、なかなか頭が働かない…といった苦手意識を持っている人が少なくありません。一方で、定型発達の方は比較的スムーズに起きて活動を始められることが多い傾向にあります。もちろん、個人差がありますので、「発達障害があるから必ず朝が苦手」というわけではありませんが、傾向としてはそうした違いが見られます。

では、なぜ発達障害の方にとって朝の目覚めが難しいと感じられるのでしょうか。

夜更かししやすい傾向
まず、夜更かしの傾向があります。発達障害のうち、特にADHDの特性を持つ方には「目の前の楽しさを優先してしまう」傾向が強く見られます。たとえば、「明日早く起きなければいけない」と頭では理解していても、目の前に楽しいゲームがあればつい夢中になってしまい、気がつけば深夜、あるいは明け方になっていたというケースもあるでしょう。また、ASDやADHDに共通する特徴として「過集中」が挙げられます。これは、ひとつのことに没頭しすぎて周囲が見えなくなり、時間の感覚を失ってしまう状態です。趣味の作業や仕事に熱中するあまり、気がついたら深夜になっていた…ということが起こりやすいのです。

心配や不安が眠りを妨げる
発達障害のある方は、日常生活における不安や緊張が強く、就寝前に「明日の仕事がうまくいくだろうか」「また失敗しないだろうか」といった悩みが頭を離れず、結果的に寝付けなくなることがあります。これも、夜更かしや睡眠の質の低下につながります。

・睡眠障害の併発も
ADHDやASDと診断されている方の中には、睡眠障害を併発している人も少なくありません。ある調査では、発達障害のある人の約4割が不眠症などの問題で医療機関を受診した経験があるというデータもあります。とくにADHDと不眠の関連性は広く知られており、睡眠の質の低下や生活リズムの乱れが、朝の目覚めの悪さへとつながっているのです。

2. バタバタした朝と落ち着いた朝

時間に追われがちな朝

朝起きるのが苦手だと、当然ながらその後の行動にも影響が出てきます。発達障害のある方は、定型発達の方と比べて朝の時間に余裕がなく、慌ただしくなる傾向があります。そこにはいくつかの理由が関係しています。

・注意が散りやすい
ADHDの特徴として「注意が散漫になりやすい」という傾向があります。たとえば、支度の途中にテレビで気になるニュースが流れてきたり、スマホの通知が来たりすると、それに気を取られて支度が中断されてしまうことがあります。本来は「出かける準備をする」ことに集中すべき時間帯に、別のことに意識が移ってしまい、結果として朝の時間が足りなくなってしまうのです。

忘れ物や探し物が多い
「さあ出かけよう」としたタイミングで、鍵やスマホが見つからない、必要な書類がカバンに入っていなかった、といった経験がある方も多いのではないでしょうか。これもADHDの特徴の一つです。朝の出発直前に探し物が発生すると、それだけで余計な時間を使ってしまい、家を出る時間が遅れてしまうことになります。

段取りが立てづらい
また、発達障害のある方は「段取りを立てること」が苦手な傾向があります。たとえば、朝のルーティンが明確に決まっておらず、その日その日の気分や思いつきで行動してしまうと、どうしても無駄な動きが増えてしまい、準備に時間がかかってしまいます。その結果、毎朝のようにバタバタした時間を過ごすことになるのです。

3. ルーティンの捉え方の違い

3. ルーティンの捉え方の違い

ルーティンにこだわるASDの傾向

ここまで「ルーティンがないこと」によるバタバタの原因を紹介してきましたが、逆に「ルーティンがガチガチに決まっている」ことがストレスの原因になる場合もあります。これは、ASD(自閉スペクトラム症)の特性として見られる傾向です。

ASDの方は、朝の行動が分単位で決まっていることがあり、例を挙げると、「6時50分に起床、6時55分に歯磨き、7時10分に朝食」といったように細かく時間で区切られたスケジュールを好みます。また、朝食は毎日バナナ、通勤は毎日同じ道、乗る電車の時間も固定、というように、行動や食事、ルートが「習慣」として強く固定されているのです。

ルーティンが崩れるとパニックに

こうしたルーティンが守られているうちは安心して行動できますが、予定が狂ったとき、たとえば寝坊してしまった朝などは非常に強いストレスを感じることがあります。定型発達の人であれば、時間がない状況に応じて「今日は朝食を抜こう」「駅まで走ろう」と臨機応変に対応できるかもしれません。

しかしASDの方は、その臨機応変さが苦手で、どんなに時間がなくても普段通りの順序・手順で行動しようとしてしまい、結果的に遅刻してしまうということもあります。

まとめ「違いを理解することが大切」

今回は、「発達障害のある方」と「定型発達の方」の朝の過ごし方の違いについて、3つの視点から解説しました。

・発達障害の方は夜更かしや過集中、不安感、睡眠障害などの影響で、朝の目覚めが苦手な傾向がある
・朝の支度では、注意の散漫さや忘れ物、段取りの苦手さが、バタバタした朝を引き起こす要因となる
・一方で、ルーティンを重視しすぎることで、イレギュラーな出来事への対応が難しいケースもある

これらの違いは、「どちらが良い・悪い」ではなく、「それぞれの特性」として理解することが大切です。発達障害のある方が少しでも快適に朝を迎えられるよう、環境の工夫や支援の在り方を考えていくことが、社会全体として求められているのではないでしょうか。