発達障害のある方は、対人関係や感情のコントロールに特性が現れやすく、それが恋愛にも影響を及ぼすことがあります。特に「面食いが多いのでは?」という印象を持たれることがありますが、果たしてそれは本当なのでしょうか。

この記事では、発達障害のある人の恋愛傾向、外見重視の傾向があるのかどうか、そして信頼できるパートナーを選ぶためのポイントについて、丁寧に解説していきます。

まず、発達障害とひとことで言っても、自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠如・多動症(ADHD)など、さまざまなタイプや特性があります。恋愛においてもそれぞれ違った傾向が見られますが、ここでは代表的な特徴をいくつか紹介します。
1. 衝動性が高く、恋愛も衝動的に
特にADHD傾向のある方に多いのが、「衝動性の高さ」です。気になる人を見つけた瞬間に強く惹かれてしまい、相手の性格や価値観をよく知らないまま急速に親密になってしまうことがあります。

もちろん、すぐに深い関係になることが悪いわけではありませんが、後になって「思っていた人と違った」「価値観が合わなかった」と気づくことも少なくありません。このような場合、感情の整理がつかずに苦しんでしまうこともあるでしょう。

2. 依存傾向が強くなることも
一度関係を築くと、相手に強く依存してしまう傾向も見られます。これも主にADHDの人に多く、相手とのつながりに執着しすぎるあまり、自分にとって不健全な関係であってもなかなか断ち切れないという悩みを抱える方もいます。

第三者から見ると「やめた方がいい」と思えるような関係でも、本人にとっては情が深く、冷静な判断ができなくなってしまうことがあるのです。
3. 飽きやすく、刺激を求める傾向
ADHDの特徴として「新しい刺激を求めやすい」という傾向があります。恋愛においても、関係が安定してくると「刺激が足りない」と感じてしまい、別れを選ぶ人もいます。

刺激を求めて「ちょっと危ない魅力のある人」「普通とは違う個性的な人」に惹かれることもあり、それが新たな恋のトラブルを引き起こすこともあります。
4. 相互的なコミュニケーションが難しいことも
特にASD傾向のある人は、相手の気持ちを汲み取るのが苦手だったり、言葉の裏にある感情を読み取るのが難しかったりします。そのため、悪気がなくても相手を傷つけてしまい、恋愛関係の継続が難しくなることがあります。

相互理解が大切な恋愛では、こうした特性が思わぬ誤解やすれ違いを生みやすくなります。
「発達障害の人は面食いが多い」という意見を耳にすることがありますが、これは事実なのでしょうか。結論から言えば、一部の特性が関係している可能性はありますが、すべての人に当てはまるわけではありません。
衝動性による「一目惚れ」傾向
恋愛に対して衝動的になりやすいという特徴から、相手の外見や雰囲気に一目惚れしてしまうことはよくあります。内面よりも視覚的な第一印象に左右されやすいため、「美人」や「イケメン」といった分かりやすい外見に惹かれる=面食いと見なされやすいのです。

もちろん、本人が「自分は美形が好きだ」と自覚していなくても、無意識のうちに外見重視になってしまうケースもあるでしょう。
内面の評価が難しいという特性
内面の魅力、たとえば「思いやりがある」「共感力がある」「包容力がある」といった抽象的な評価は、発達障害のある人にとっては把握しづらいことがあります。そのため、比較的分かりやすい「見た目」や「ファッション」「表情の明るさ」など、視覚的な要素を重視してしまうのです。
ただし、すべての人がそうとは限らない
注意すべきは、この傾向がすべての発達障害の人に当てはまるわけではないという点です。たとえばASDの人の中には「人の顔を覚えるのが苦手」「恋愛自体にあまり興味がない」といった人も少なくありません。そうした方にとっては、外見よりも会話の内容や共通の趣味の方が重要という場合もあります。
したがって、「発達障害だから面食い」というのは単なる偏見にすぎません。あくまで一部の人の傾向として理解することが大切です。
恋愛においてもっとも重要なのは、安心して付き合える相手と出会い、健全な関係を築くことです。発達障害のある方が良好なパートナーシップを築くために、意識しておきたいポイントを紹介します。
1. 特性を理解し合える関係を目指す
発達障害は一人ひとりに違いがあります。だからこそ、自分自身の特性を理解してくれる人との関係が重要です。恋愛は仕事や友情よりも距離が近くなる分、より深く互いを理解し合う必要があります。
相手が発達障害に関する知識を持っているか、自分の話に耳を傾けてくれるか、自分の特性に対して偏見を持っていないか——こうした視点で相手を見ることが、信頼関係を築く第一歩になります。
また、自分自身も「相手にすべてを委ねる」のではなく、相手を思いやる姿勢を持ち、お互いが歩み寄る努力をすることが大切です。

2. 第三者の意見を取り入れる
恋愛に衝動的になってしまいがちな方は、行動に移す前に信頼できる第三者に相談することをおすすめします。
たとえば、「本当にこの人と付き合って大丈夫だろうか」「もっと相手のことを知ってからの方がいいのでは?」といったアドバイスをもらうことで、冷静に状況を見つめ直すことができます。
自分一人で判断が難しいときは、信頼できる家族や友人、支援者に相談することで、より良い選択ができるでしょう。

発達障害のある人の恋愛には、特有の傾向や課題がありますが、それは「恋愛に向いていない」ということではありません。自分の特性を知り、相手との関係を丁寧に築いていくことで、安定した恋愛関係を築くことは十分に可能です。
「面食い」と言われるような行動も、その背景にある特性を理解すれば、単なる好みの問題ではなく、支援や工夫の余地があることが見えてきます。恋愛を通して自分らしさを大切にしながら、信頼できるパートナーと共に歩む道を見つけていってほしいと思います。
