発達障害には理解不能な定型発達の言動3選

発達障害と定型発達のズレ──職場におけるすれ違いの具体例から学ぶ

発達障害を抱える人々と定型発達の人々との間では、日常的なコミュニケーションや仕事の進め方においてすれ違いが生じることがあります。特に職場では、何気ない一言や行動が誤解を生み、関係にヒビが入ってしまうこともあります。

本記事では、コント形式で描かれた3つの職場シーンを通して、発達障害の特性がどのように職場でのコミュニケーションに影響を及ぼすのかを解説していきます。


1. 場の空気が読めない──「朝のオフィス」シーン

場の空気が読めない──「朝のオフィス」シーン

コントの概要:
朝の職場で、落ち込んだ様子の先輩に対して後輩が明るく話しかけます。しかし後輩は、先輩がそっとしておいてほしいというサインを出しているにもかかわらず、話しかけ続け、さらには落ち込んでいる原因をズバリ言葉にしてしまいます。結果として先輩をより不快にさせてしまう、という場面です。

解説:
このコントは、ASD(自閉スペクトラム症)の人によく見られる空気を読むのが難しいという特性を表しています。ASDの人は、相手の表情や態度から感情を読み取るのが苦手であったり、たとえ読み取れたとしてもその気持ちを配慮して発言をコントロールすることが難しい場合があります。

今回の後輩も、落ち込んでいそうだということ自体は認識していますが、それ以上に自分の好奇心や会話の流れを優先してしまい、結果的に相手を追い詰めてしまっています。
定型発達の人であれば、相手の様子を見て今はそっとしておこう」「この話題には触れないでおこうと判断しますが、ASDの人はそうした判断が苦手なため悪気なく相手を傷つけてしまうことがあります


2. 見通しを立てるのが苦手──「プレゼン前の進捗確認」シーン

見通しを立てるのが苦手──「プレゼン前の進捗確認」シーン

コントの概要:
明後日に迫ったプレゼンについて、先輩が後輩に進捗を確認します。後輩は「明日やるので大丈夫」と答えますが、実際には資料が未完成であり、チェックする上司も不在ということが発覚します。先輩は焦りますが、後輩は「難しいこと言わないでください」と楽観的な姿勢を崩しません。

解説:
この場面では、見通しを立てる力の弱さが表れています。ASDの人はタスクの進捗管理や優先順位づけ他者との調整など複数の要素を同時に考える作業が苦手な傾向があります。

後輩は明日やれば大丈夫と考えていましたが、資料作成にはデータの準備や確認作業があり、さらには課長のスケジュールも考慮しなければならない状況です。このように、タスクの全体像を把握し、それに基づいて逆算して行動するという段取りの力が求められる場面で、ASDの特性によるつまずきが発生しやすいのです

一方で、定型発達の人はこの資料は誰が確認するのか」「確認までにどのくらい時間がかかるかなど、他者や時間の要素も含めて計画を立てることが比較的自然にできます。こうした違いが、仕事の進め方における認識のズレを生んでしまいます。


3. 臨機応変な対応が難しい──「得意先からの電話応対」シーン

臨機応変な対応が難しい──「得意先からの電話応対」シーン

コントの概要:
部下が電話を受けているシーン。上司が席を外している理由として「トイレとタバコに行っている」と正直に答えてしまい、相手の印象を損ねます。さらに、得意先からの急な追加注文に対して「締切を過ぎているので無理です」と対応し、相手を怒らせてしまいます。

解説:
このシーンでは、「臨機応変な対応」難しいという点が際立っていますASDの人は「ルール通りに対応する」ことに強いこだわりを持つ場合があり、その一方で、状況に応じて柔軟に対応するというスキルが苦手なことがあります。

今回の部下は、マニュアルに従って締切を過ぎた注文は受け付けない」と判断しました。しかし、実際にはその得意先は重要な取引先であり、多少の無理をしてでも関係を優先する判断が求められていた場面でした。

また、上司が不在である理由も、相手への印象を考慮して席を外しておりますと曖昧に伝えるのが一般的ですが、事実をそのまま伝えてしまい、結果的に相手に不快感を与えることになりました。
このように、事実と適切な対応のバランスを取ることが難しいという特性がASDの人には見られることがあります。


発達障害の人と働くために──必要なのは理解と配慮

以上の3つの場面から見えてくるのは、発達障害のある人が悪気なく周囲を困惑させてしまうこと、そしてその背景には認知の特性があるということです。

誤解を避けるためには本人が努力するだけでなく周囲の理解や支援も不可欠です。例えば、

  • 明文化されたルールやマニュアルの整備
  • 進捗のチェック体制の構築
  • 定期的なフィードバック
  • 曖昧な表現の明確化

などの工夫によって、トラブルを未然に防ぐことができます

定型発達の人にとっては「当たり前」と思える言動が、発達障害のある人にはそうではないという視点を持つこと。それが、多様な人材が共に働く職場づくりの第一歩となります。