「発達障害の人は無趣味な人が多い」と感じたことがある方もいるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。実は発達障害の有無に関わらず、無趣味の人は一定数存在します。あるアンケート調査によると、全体の約4人に1人は「趣味がない」と回答しており、決して珍しいことではありません。
ただし発達障害の方が持つ特性によって、趣味を見つけにくかったり継続が難しかったりする傾向は確かにあります。ここでは何故無趣味になりやすいのか、その背景にある発達障害の特徴を整理してみましょう。

ADHD(注意欠如・多動症)の特性として「飽きっぽさ」が挙げられます。新しいことに対して好奇心は強く、様々なことにチャレンジする意欲もある一方で、関心を長く持続させることが難しいため、趣味として定着しにくいのが実情です。
また不注意の傾向が強い場合、読書などの集中力を要する趣味には不向きで、「気が散ってしまって続かない」と感じる人も多いようです。
ASD(自閉スペクトラム症)の方は特定の物事への強い興味を示す一方で、関心の範囲が狭くなることがあります。これ自体は「趣味を持ちやすい」とも言えますが、その興味が「趣味」というよりも「日課」や「仕事的活動」に偏ってしまうと、他の好きなことに目を向ける余裕がなくなり、結果的に「無趣味」に見えることがあります。
発達障害の方は日々の生活の中でストレスを溜め込みやすく、心身の疲労が蓄積しやすい傾向があります。休日にはエネルギーが枯渇し、趣味に費やす余力が残っていないという状況も珍しくありません。
更にうつ病などの二次障害を併発している場合には、「好きだったはずの趣味にすら手が伸びない」といった状態が続くこともあります。そのような時には、無理に趣味を見つけようとするよりもまずは休養と治療を優先することが大切です。専門医の診断やサポートを受けながら、自分の回復ペースを大事にしましょう。
趣味は本来自分が楽しむためのもので、人によって向き不向きがあります。ここでは特に発達障害の特性を踏まえて、取り組みやすく心の安定にも繋がりやすいおすすめの趣味を4つご紹介します。
創作活動は、集中して作業に没頭する時間をもたらしてくれます。プラモデルの組み立てや塗り絵、手芸や編み物など、いずれも自分のペースで取り組めるという点が特徴です。
特に「悩みごとをずっと考えてしまう」「ネガティブ思考が止まらない」という方にとって、手を動かしながら無心になれる時間は、心の休息になります。完成した作品を見て達成感を味わえるのも、精神的な満足感に繋がるでしょう。

園芸や釣り、キャンプなど自然に触れる趣味は、心身のリフレッシュに最適です。特に都市部で生活している方にとっては、川のせせらぎや鳥のさえずり、星空といった自然の音や景色は、日常とは異なる癒しの効果をもたらしてくれます。
「何をしていいか分からない」「外に出るきっかけが欲しい」という方は、近所の公園や川辺を散歩するだけでも、気分転換になるのでおすすめです。
体を動かすことはうつ病や不安の改善にも効果があるとされ、実際に「運動療法」としても活用されています。激しい運動でなくても、家の周りを散歩する、軽くジョギングをする、水中ウォーキングを行うなど、日常に取り入れやすい運動を選ぶのがコツです。
ジムに通うのがハードルに感じる場合は、まずは週に数回、10分程度の散歩から始めるのが良いでしょう。運動によるリズムある生活が心の安定にも繋がります。
発達障害の方は自己肯定感が低下しやすく、「自分は誰の役にも立てない」と感じてしまうことがあります。そんな時におすすめなのが、ボランティア活動です。
ボランティアは金銭的な報酬がなくても、人の役に立てている実感を得られるため、「自分にも価値がある」と感じられる大きな機会になります。小さなことでも「ありがとう」と感謝される経験は、自己肯定感を高める第一歩になります。
地域の清掃活動や福祉施設での補助、子ども食堂の手伝いなど、無理のない範囲で取り組めるものから始めると良いでしょう。
趣味は心を落ち着け、自分自身を取り戻すための大切な手段です。発達障害の特性によって無趣味になりやすい側面は確かにありますが、自分のペースで楽しめる活動を見つけることは、生活の質や心の健康にも直結します。
「気になるな」と感じたものを、気軽に試してみるところから始めてみてください。そして、どうしても趣味を楽しむ気力が湧かない時には、「休むこと」も大切な選択です。無理のない範囲で、自分の心と体に合った趣味を見つけていきましょう。