就職に悩む発達障害のある方の中には、「親との関係性」が壁になっているケースが少なくありません。今回は「就職したいなら親元から離れろ」というテーマのもと、親の影響がどのように就労に関わってくるのか、そして親元を離れる際の注意点とそのメリットについて詳しく解説していきます。

まずはじめにお伝えしたいのは、「発達障害の人が就職できないのは親のせいか?」という問いに対して、答えは「必ずしもそうではない」ということです。
就職に困難を抱える理由はさまざまであり、本人の特性やスキルの問題、社会環境、企業側の理解不足など多くの要因が複雑に絡んでいます。
しかし、その中の一因として、親との関係が大きく影響しているケースがあるのも事実です。
特に近年、「毒親」という言葉が話題になるように、過干渉や支配的な親との関係が、子どもの自立や社会進出を妨げている場面が多く見受けられます。
以下では、実際にどのような親の関わり方が問題となるのかを見ていきます。
就職活動は、自己分析、職種選び、履歴書作成、面接対策など、自分で判断し、行動する場面の連続です。面接や職場に親が付き添ってくれるわけではありません。
にもかかわらず、親があらゆる判断や行動を代行してしまうと、本人の成長や自立の機会が奪われてしまいます。
過干渉・過保護な親のもとで育つと、「自分で考えて動く」というスキルが養われにくくなります。
その結果、社会に出たときに自己判断ができず、指示待ちになってしまったり、環境に適応するのが難しくなったりするのです。
発達障害の特性を正しく理解せず、「どうしてこんなこともできないの?」と繰り返し叱責されると、自己肯定感が著しく低下します。これは就職活動において大きなハンデになります。
なぜなら、面接では自分の長所や得意なことを伝え、会社への貢献をアピールしなければならないからです。
実際、就労支援の現場でも「自己PRが書けない」「自分の良いところが思いつかない」という声は多く聞かれます。
自己肯定感が低いままでは、就職後も少しの失敗で過度に落ち込み、継続勤務が難しくなるケースもあります。
子どもが選んだ進路や仕事に対し、「そんな仕事はダメ」「あの会社はやめておきなさい」と親の価値観で一方的に判断してしまうケースもあります。
支援の現場でも、本人が訓練と実習を積み、企業から内定を得たにもかかわらず、親の反対によって就職が白紙になるという事例は少なくありません。
このように親が子の意思を尊重せず決定権を奪うと、自信を持って一歩を踏み出すことが難しくなります。日常的なトラブルや喧嘩が絶えず、精神的なストレスが積み重なってしまえば、就職どころではなくなってしまうでしょう。

もちろん、すべての親が毒親というわけではありませんし、親元で安心して暮らしている人もたくさんいます。
ただ、「親と暮らすことで自立や就労に明らかな支障が出ている」と感じるのであれば、親元を離れるという選択を検討する価値はあるでしょう。
ここでは、親元を離れる際の注意点とメリットについて紹介します。
障害の特性や経済状況によって、一人暮らしがすぐには難しいこともあります。
そんなときは、障害福祉サービスの一つである「グループホーム」を利用するのが現実的な選択肢です。
グループホームでは、日常生活に必要な支援を受けながら、段階的に自立を目指すことができます。
ただし、入居には一定の費用がかかるため、収入が全くない場合は生活保護を活用することが現実的です。
生活保護に抵抗を感じる人も多いかもしれませんが、それは「困っている人が使うための制度」です。
一時的に支援を受けて就労に向けた訓練を行い、自立後に納税者となれば、その経験は社会に還元される形になります。
親との関係が良好でない場合、自分の人生について気軽に相談できる相手がいないというのは非常に辛いものです。だからこそ、信頼できる第三者を持つことが大切です。
友人、医師、カウンセラー、支援機関のスタッフなど、どんな相手でも構いません。
特に就職について悩んでいるのであれば、就労移行支援事業所のような福祉サービスを活用するのがおすすめです。
生活全体の安定を含めた包括的な支援を受けることができ、自立への一歩を踏み出しやすくなります。
今回は、「親元を離れることで就職への第一歩を踏み出す」ことの大切さについてお伝えしました。
確かに親の影響で自立が難しくなっている方もいます。
中には、親への恨みや苦しみを抱えている方もいるかもしれません。
その気持ちは否定されるべきものではありません。
しかし、親元を離れて自分の人生を歩み始めたのであれば、今後は「親のせいだからできない」ではなく、「自分の選択として前に進んでいく」ことが大切です。
どんな環境で育ってきたとしても、これからどう生きるかは自分次第です。
勇気を持って環境を変えること。
それは簡単ではありませんが、自分らしい人生を手に入れるための大きな一歩です。
あなたのその一歩を、心から応援しています。