「ASD(自閉症スペクトラム障害)と自閉症、アスペルガー障害はどう違うの?」という疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。これらは全て、社会性やこだわりの強さなど、共通する特性を持った発達障害ですが、診断の基準や定義は時代によって変化しています。
現在では「ASD(自閉症スペクトラム障害)」という言葉が主流になっていますが、以前は「自閉症」や「アスペルガー障害」など、より細かく分類されていました。この記事ではその違いと、診断基準の変更によって何が変わったのか分かりやすく解説します。

ASD(Autism Spectrum Disorder:自閉症スペクトラム障害)は、社会性の困難さやこだわりの強さが特徴的な発達障害です。知的障害や言語の遅れがある場合もあれば、全くない場合もあります。
ASDの特徴は以下のような点に集約されます。
2013年にアメリカ精神医学会が定めた診断基準「DSM-5」において、従来は別々だった複数の診断名が「自閉症スペクトラム障害(ASD)」に統合されました。それまでは以下のように、ASDに関連する状態が細かく分類されていたのです。
ASDは、かつて「広汎性発達障害(PDD)」と呼ばれるグループに属していました。このグループには、以下のような診断名がありました。
上記のような分類は一見細かい配慮のようにも思えますが、実際の診断現場では明確に区別することが難しく、「どこにも当てはまらない」として特定不能の診断(PDD-NOS)が多用されるケースもありました。
また、同じ診断名でも症状の現れ方や重さに大きな個人差があり、診断名だけでは支援の方向性が不明確になるという問題もありました。
こうした課題を受けて、DSM-5では従来の4つの診断名を全て「ASD」に統合し、1つの連続体(スペクトラム)として考えるようになりました。

「自閉症」や「アスペルガー障害」は、それぞれASDに含まれる特定のタイプを示す用語であり、現在は診断名としては使われなくなりました。
ただし、特性そのものは今も変わらず存在しています。ASDは、これまで個別に扱われていた様々な特性を包括的に捉えることで、より柔軟で個別的な支援ができるようにするための診断枠組みです。
今後も「自閉症」や「アスペルガー」という言葉が使われることはあるかもしれませんが、それらはASDという広い枠の中に含まれているという理解が重要です。