自分で何も決められない発達障害の特徴4選【ADHD・ASD】

判断力の難しさと意思決定を支える4つの方法

判断力の難しさと意思決定を支える4つの方法

日常生活や仕事の中で「自分で何かを判断する」「意思決定をする」という場面は数えきれないほど存在します。
しかし、発達障害を持つ方の中には「自分では何も決められない」「判断に自信がない」と感じている人が少なくありません。また周囲からも「自分の考えがない人」「優柔不断な人」と見られやすい傾向があります。

では、なぜ発達障害のある人は、意思決定が難しいと感じるのでしょうか。そして、どのようにすれば自分で考え、納得のいく選択をしていけるのでしょうか。本記事では、その理由と実践的な対処法を詳しく解説します。

発達障害の人が「判断が難しい」と感じやすい理由

発達障害の人が「判断が難しい」と感じやすい理由

1. 頭の中がごちゃごちゃしている(思考の整理が苦手)

ADHD(注意欠如・多動症)を持つ人に多い特徴の一つが「頭の中が常に忙しい」状態です。情報を整理するのが苦手で、思いついたことが次々に浮かび、どれが重要で何をすべきか分からなくなってしまうことがあります。
たとえば、一つの判断を下すときに、いくつもの考えが同時に頭の中を駆け巡ってしまうと、冷静な選択が難しくなります。

2. 計画を立てたり、先のことを考えるのが苦手

ADHDの特性として、「計画性の弱さ」があります。思いつきで行動しがちで、長期的な視点からの判断やタスク管理が苦手です。
そのため、たとえ良い判断をしても、それを具体的な行動に移す段階でつまずくことがあります。「どうせ実行できないから決めたくない」と思ってしまうケースもあります。

3. 感情に流されやすい

ADHDやASD(自閉スペクトラム症)の人には、感情の起伏が激しかったり、感情のコントロールが難しい傾向が見られます。
怒りや不安、衝動的な気持ちに支配されて判断してしまうと、結果的に後悔するような選択をしてしまうことも。
その経験がトラウマになり、「自分の意思決定は信用できない」と思ってしまうことがあります。

4. 柔軟な対応が苦手で、急な判断に弱い

ASDの人には、柔軟な思考や臨機応変な対応が苦手な人が多いです。
予定外のことが起きたとき、咄嗟に判断を求められると頭が真っ白になり、フリーズしてしまうことがあります。
時間をかければ自分なりの答えが出せるのに、その場では何も言えず「意見がない人」と誤解されてしまうこともあるのです。

5. 自分の考えがはっきりしない・主張が苦手

一見、ASDの人はこだわりが強く、しっかりした意見を持っていそうに思われがちです。しかし実際には「自分の中に考えの軸がない」「何が正しいのか分からない」と感じている人も少なくありません。
特にASDの中でも「受動型」と呼ばれるタイプは、自分から意見を言うのが苦手で、周囲に流されやすい傾向があります。

発達障害の人が「自分で決められるようになる」ための方法 4選

発達障害の人が「自分で決められるようになる」ための方法 4選

それでは、どのようにすれば判断や意思決定がしやすくなるのでしょうか。以下に、すぐに取り入れられる実践的な方法を4つご紹介します。

1. 信頼できる第三者に相談する

自分一人で悩まず、誰かに相談することはとても有効です。
意思決定を他人に「丸投げ」するのではなく、自分の考えを整理する手助けとして捉えることが大切です。

たとえば、頭の中が混乱して考えがまとまらない時、信頼できる人(家族、友人、上司、カウンセラーなど)に「自分はこう考えているけれど、どう思う?」と聞いてみると、自分の考えの整理や気づきに繋がることがあります。

また、実行が苦手な人は、スケジュール管理やタスクのサポートをお願いすることも有効です。自分で全部を背負わずに、「考える」「決める」「行動する」を段階的に進められるようにしましょう。

2. 頭の中の情報を「見える化」する

考えが混乱してしまうときは、頭の中にある情報を紙に書き出すのがおすすめです。箇条書きでも、図でも、なんでも構いません。
特に有効なのが「マインドマップ」です。
中心にテーマを書き、それに関連することを放射状に広げていくことで、全体像が視覚的に整理できます。

そこから、必要なタスクをリストに落とし込み、優先順位をつけていくと、判断がしやすくなります。抽象的な「モヤモヤ」を具体的な行動に変換するために、書く習慣を持つことは非常に有効です。

3. 感情が高ぶっているときは決断を避ける

怒っているときや落ち込んでいるとき、疲れているときなど、感情的な状態では冷静な判断が難しくなります。
特に夜は思考力が落ちて判断を誤りやすいため、重要な決断は避けるようにしましょう。

「決断は翌朝、気分が落ち着いてから」
「感情が収まるまでは保留する」


といったルールを自分の中に設けておくことで、衝動的な判断を防げます。
しっかり休息をとることも、判断力を保つためにとても大切です。

4. 意思決定の回数を減らす(ルーティン化)

人間は1日に数千回もの意思決定を無意識のうちに行っていると言われています。
これを「決断疲れ(decision fatigue)」と呼びます。
毎日「何を食べよう?」「何を着よう?」と迷うだけでも、脳はかなりのエネルギーを消耗します。

そのため、できるだけ日常の選択をルーティン化し、判断の回数を減らす工夫が効果的です。たとえば:

  • 1か月分の献立を決めて繰り返す
  • 服装をパターン化する(仕事着を統一)
  • 曜日ごとに家事の担当を決める(火曜は洗濯、水曜は掃除 など)

ルール化すれば、その都度考える必要がなくなり、本当に重要な意思決定に集中することができます。

おわりに

おわりに

発達障害のある人が「自分で決められない」と感じる背景には、思考の混乱、感情の影響、柔軟な対応の難しさなど、さまざまな特性があります。
しかし、それは「決められない人間」というわけではありません。
特性に合った工夫や支援を取り入れることで、自分らしく納得のいく選択をしていくことができます。

一人で無理に抱え込まず、必要に応じて他人の手を借りること、自分に合った環境やツールを使うこと、そして感情や体調に配慮した判断のタイミングを意識すること。
それらを実践していくことで、「自分で決める力」は少しずつ育っていきます。

どんな小さな選択でも、「自分で選んだ」という経験が積み重なることで、自信へとつながっていくのです。