発達障害の一つであるASD(自閉スペクトラム症)は、
外からは見えにくいけれど、日々の生活や職場で
「なんとなく生きづらい」
「周りとうまくかみ合わない」
と感じる背景にあることがあります。
ここでは、ASD傾向がある人によく見られる特徴を
“あるある”形式で8つ紹介します。
自分に当てはまる部分があるか、チェックしてみてください。

あるある例:
上司に「これ、ちょっと持っていて」と言われたので、
文字通りに解釈してその場でずっと資料を手に持っていた。
5分経ち、10分経ち、上司も別の部屋に行ってしまい、
さらに別の先輩に
「それ、役員室に持っていくって意味だったんだけど……」
とやっと教えてもらう。
自分としては「持っていて」としか
言われていないので、その通りにしていたのに、周囲には
気が利かない・気がつかない人と思われてしまった。
➡ 言葉をそのまま受け取るため、背景や意図を読み取るのが難しい。

あるある例:
会議に遅れて入室したとき、同僚に「おっ、重役出勤ですか」と冗談混じりに言われ、
「あ、自分ってこのチームで頼られているのかもしれない」と本気で受け止めてしまった。
その後も、冗談や軽口に真剣に答えてしまい、相手の表情が曇るたびに
「なんでだろう」と混乱する。皮肉や遠回しな言い方の意味が分からず、
人間関係でギクシャクしてしまうことが多い。
➡ 比喩や裏の意味をくみ取るのが苦手で、会話がすれ違いやすい。

あるある例:
歓迎会の飲み会で、「なんでも好きなもの頼んでいいよ」と言われたので、
本当に好きな寿司をひとりで数皿注文。
乾杯の後、先輩たちが料理を取り分ける前に、自分だけ先に
食べ始めたところ周囲がざわついた。
その後、「普通は目上の人が先」「みんなで分けるもの」と言われて初めて気づく。
自分としては「自由に頼んでいい」と言われたことに忠実に行動したつもりだった。
➡ 空気を読む、場の雰囲気を察するなどが難しく、人間関係で摩擦が起きやすい。

あるある例:
オフィスで集中して作業していると、隣の人のキーボードの
打鍵音がやたら気になり、内容が全く頭に入ってこない。
また、近くの席の人の香水や柔軟剤の匂いで気分が悪くなることもある。
周囲には「気にしすぎ」「神経質」と言われるが、本人にとっては小さな刺激が
強烈で、ストレスになるレベル。
イヤホンで音楽を流す、窓を開けるなどの対処をしても限界を感じることが多い。
➡ 感覚過敏によって、日常の環境が大きな負担になることがある。

あるある例:
チラシの仕分け作業を任されたとき、「だいたいでいいからまとめておいて」
と言われたが、「だいたいってどれくらい?」と混乱。
100枚入りの束がいくつかあるが、数が微妙に合わず、
少しずつ余ったり足りなかったりするたびに手が止まり、何度も数え直してしまう。
自分では「正確さ」を重視しているつもりでも、上司からは
「融通が利かない」「いつまでも終わらない」と叱られてしまう。
➡ 曖昧な状況や曖昧な指示に不安を感じやすく、柔軟な行動が難しい。

あるある例:
ソーシャルゲームのイベントがちょうど同僚との飲み会と重なり、
「そっちが大事だから」と当然のように断る。
そのことを同僚に話すと引かれてしまい、「え?何か悪かった?」
と本気で疑問に思う。
また、興味のあることについては延々と話し続けてしまい、相手が退屈していることに気づけない。
逆に、自分が興味のない話題になると会話に参加できなくなる。
➡ 興味のあることには集中力を発揮するが、周囲とのバランスを取るのが難しい。

あるある例:
職場で「最近、ちょっと元気ないね」と同僚に話しかけられ、「昨日はスマホゲームしてて寝不足で……」と率直に答えるが、それ以上会話が続かず気まずい空気に。話題をつなげる、小ネタを交えるなどの“雑談の技術”が分からず、会話が一往復で終わってしまう。
無言が続くと相手に気を使われ、「話しかけづらい人」と距離を取られることが多い。
➡ 世間話や感情のやりとりが苦手で、コミュニケーションにぎこちなさが出やすい。

あるある例:
出発10分前になって、「今日の営業先、変更になったから1時間早く出て」
と言われてパニック。電車の時刻を調べ直し、資料の順番も
変わるため頭が真っ白になってしまう。
「今やっている作業がまだ終わってないのに……」
という焦りと、
「予定外」の事態への強いストレスで、気分が悪くなることも。
自分では気を取り直したつもりでも、表情や態度に出てしまい周囲に不機嫌と誤解される。
➡ スケジュールや手順の変化に極端に弱く、対応力に限界を感じやすい。

ここで紹介したのは、ASD傾向のある人が感じやすい“つまずき”の一例です。
もし多くが当てはまると感じたなら、自分の特性を一度見直してみるのも一つの手です。
ASDの特徴は「個性」とも言い換えられますが、それが原因で日常生活に支障がある場合は、
専門機関に相談することで環境調整や支援を受けることができます。
周囲と違う感覚や行動があっても、それは“劣っている”のではなく“違っている”だけです。
自分の傾向を知ることが、もっと生きやすくなるための第一歩になるかもしれません。