「人格障害とは?境界性人格障害について」

「人格障害とは?境界性人格障害について」

人格障害、またはパーソナリティ障害とは、精神病ではないものの、考え方や行動が社会に適応できないほど偏っている状態を指します。この状態は単なる個性の範囲を超えており、異常な性格や病的な性格とも言われます。以前は精神病質やサイコパスという名称で呼ばれていましたが、現在では人格障害という名称が用いられています。考え方や行動に偏りがあるとはいえ、どこからが正常でどこからが障害かは明確な基準がありません。社会的な適応が難しく、本人や周囲が困っている場合に診断されることが多いです。中には、人格障害を持ちながらも社会で成功している人もいます。人格障害は大きく3つのタイプに分類されます。

A. 強い猜疑心を持ち、人と距離を置こうとするタイプ。例として妄想性人格障害が挙げられます。

B. 自己中心的で、感情の制御が難しいタイプ。行動や言葉で他者を傷つけたり、社会的な問題を引き起こすことがあり、時には犯罪にまで至ることもあります。

C. 強いこだわりや依存性、心配性のタイプ。引きこもりになるケースが多く、回避性人格障害や依存性人格障害がこれに該当します。

人格障害の中でも、特に日常生活で問題になりやすいのが境界性人格障害です。ボーダーラインパーソナリティ障害とも呼ばれるこの障害は、Bタイプに分類されます。常に虚無感があり、他人に見捨てられることへの強い不安を抱いています。見捨てられそうだと感じると、暴力や自殺未遂など極端な行動を取り、相手の関心を引こうとします。また、怒りを制御できず、精神的な妄想症状が現れることもあります。家族や恋人がこの障害を持っている場合、生活が大きく振り回されることが多く、その対応に苦労するため、特に関心を持たれる障害です。

1970年代には、アメリカで境界性人格障害の患者が増加し、精神分析の研究が盛んに行われました。幼少期の虐待やトラウマとの関連性が指摘され、この障害は神経症と精神病の境界にあると考えられました。そのため「境界性」と名付けられ、精神分析治療が必要とされました。しかし、1990年代以降、精神疾患を脳科学的に研究する傾向が強まり、大人の発達障害の研究が進むにつれて、境界性人格障害と診断されていた人々はADHDなどの発達障害ではないかという見解も出てきました。つまり、幼少期の体験による心理的要因だけでなく、生まれつきの脳機能の問題が人格障害を引き起こしているのではないかという考え方です。

この考え方の転換により、過去の心の傷が原因だとされると、親の責任が問われることが多く、状況が悪化することがありましたが、脳の問題が原因だと分かれば、治すことよりも社会への適応を重視することが可能になります。例えば、気分の変動が激しい場合は薬で対処し、生活が乱れた場合には入院して生活を整えるなど、症状に応じた対処が行えるようになりました。

家族や恋人が境界性人格障害を持っている場合の対応としては、彼らの言動がわがままではなく、障害であることを理解することが大切です。これにより、自然と丁寧な対応を心がけることができます。もし怒らせてしまった場合には、相手の怒りに巻き込まれず、冷静に対処することが必要です。また、非がある場合は冷静に謝罪することも重要です。ただし、暴力や金銭の使い過ぎ、自傷行為などについては話し合って制限を設ける必要があります。暴力の場合には、警察やDV相談センターなどの公的機関に助けを求めることも必要です。

境界性人格障害は幼少期のトラウマが関与するケースもありますが、最近では脳機能の障害が原因と考えられることが増えてきました。そのため、境界性人格障害という診断名は少なくなり、ADHDや双極性障害と診断されることが多くなっています。どちらにしても、単なるわがままとしてではなく、障害として理解し、対応することが大切です。他の人格障害についても同様で、発達障害が背景にあることが知られるようになっています。残念ながら人格障害を根本的に治療するのは難しいですが、症状を抑える薬があるため、それを利用しながら社会に適応できるようサポートすることが重要です。