
ADHD(注意欠如・多動症)というと、「うっかりミスが多い」「忘れ物が多い」「じっとしていられない」など、比較的よく知られた特徴が思い浮かぶかもしれません。
しかし、ADHDの症状は人それぞれ異なり、中にはあまり知られていない「意外な症状」が表れることもあります。こうした症状に気づくことが、早期発見や適切な対応へのヒントになることもあります。
本記事では、「ADHDの意外な症状5つ」について解説し、それぞれの背景や対処法についてもご紹介します。まずは、ADHDの基本的な特徴を簡単に振り返ってみましょう。

ADHDは、生まれつき脳の発達に偏りがある神経発達症(発達障害)のひとつで、「不注意」「多動性」「衝動性」という3つの特性を持つことが特徴です。
幼少期に気づかれることが多いですが、大人になってから社会生活に支障が出ることで判明するケースも少なくありません。
また、ADHDの影響により、うつ病や不安障害といった「二次障害」を併発するリスクもあります。そのため、早期に特性を理解し、必要に応じて支援を受けることが大切です。

ADHDの主な症状は以下のように分類されます。
不注意の例
多動性・衝動性の例
これらの典型的な症状に加えて、近年では以下のような「一見するとADHDとは気づきにくい」症状が注目されています。

1. 怒りっぽく、かっとしやすい
ADHDの衝動性が「怒り」として表出することがあります。ちょっとしたことでイライラしやすく、思わず怒鳴ってしまったり、人間関係に亀裂が入る原因となることも。
これは、ストレスや不満が抑えられずに一気に表に出てしまうためです。
対策:
「怒りを感じたときに一歩引く」ことが重要です。深呼吸をする、場を離れるなど、衝動的に怒りをぶつける前に冷静になる工夫が役立ちます。アンガーマネジメントの手法を取り入れるのも効果的です。
2. 気分の浮き沈みが激しい
ADHDの方は、周囲の出来事や人の言動に敏感に反応し、気分の浮き沈みが激しくなることがあります。双極性障害(躁うつ病)との違いは、気分の変化が短時間で起こりやすく、環境の影響を受けやすい点です。
対策:
自分の気分が変わりやすいという「特性」を理解することが第一歩です。気分が沈んだ時はあえて動く、イライラした時は意識的に落ち着く行動を取るなど、「気分の逆をする」ことでバランスを取る工夫が求められます。
3. 興味のあることへの“過集中”
ADHDというと「集中力がない」と思われがちですが、実は興味のあることには強烈に集中する「過集中」の傾向が見られる場合があります。この状態になると、周囲が見えなくなり、時間を忘れて没頭してしまいます。
対策:
過集中が始まる前に、アラームを設定するなどして時間を区切る工夫が有効です。また、集中後はしっかりと休養を取り、心身のバランスを崩さないように心がけましょう。
4. 睡眠の不調
ADHDの方には、寝つきが悪い、中途覚醒が多い、朝起きられないといった睡眠トラブルを抱える人が多くいます。また、日中に強い眠気を感じることもあります。
対策:
一定の生活リズムを意識して作ることが大切です。寝る前にはリラックスできるルーティン(例:ぬるめの入浴、ストレッチ、読書)を取り入れましょう。
眠気が強いときには、軽い運動や別の作業をすることでリセットするのも一つの手です。
5. 感覚過敏
ASD(自閉スペクトラム症)の症状として知られる「感覚過敏」ですが、ADHDの方にも現れることがあります。
音、光、味覚、触覚など、特定の感覚に対して過敏であることがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。
具体例:
対策:
可能な範囲で刺激を避ける工夫をすることが現実的です。イヤーマフやサングラスの使用、快適な服の選択、食事の工夫など、自分に合った対処法を見つけましょう。

ADHDというと、ミスや衝動的な行動といった「目立つ症状」に注目が集まりがちですが、実際は非常に多様な症状があります。
「怒りっぽい」
「気分の波が激しい」
「過集中」
「睡眠の不調」
「感覚過敏」
といった意外な特徴も、当事者にとっては大きな負担になり得ます。
もし、これらの特徴に思い当たる点がある場合は、一度専門機関に相談してみるのも選択肢のひとつです。早めの気づきと適切な対応が、より良い生活の第一歩につながります。