
発達障害とは、先天的に脳の働きに特性があり、得意なことと苦手なことの差が大きく現れる状態を指します。特に対人関係や日常生活への影響が強く出ることが多く、放置してしまうとストレスや環境不適応から「二次障害」を引き起こすリスクが高まります。代表的な発達障害には、ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)があります。
ADHDは、不注意・多動・衝動性が主な特徴で、忘れ物が多い、じっとしていられない、感情のコントロールが難しいなどの傾向があります。一方、ASDは社会性の障害と強いこだわりが特徴で、「空気を読まない言動」や「場の雰囲気にそぐわない行動」などが目立つことがあります。
このような発達障害に早期に気づき、適切な支援を行うことで、二次障害の予防につながります。二次障害とは、環境不適応や過剰なストレスにより、抑うつ、不安障害、引きこもり、対人トラブル、自己否定感などの心理的・行動的問題を併発することを指します。
早期発見の鍵となるのは、日常生活の中で現れる「特徴的な症状」に気づくことです。以下では、発達障害の診断を疑う際に参考となる、5つの代表的な特徴についてご紹介します。
発達障害のある方は、集団の中でうまく溶け込めず、孤立してしまう傾向があります。特にASDの場合、非言語的なコミュニケーションが苦手で、相手の表情や言葉の裏の意図を読み取るのが困難です。そのため、自分から関わりを避けたり、逆に無配慮な発言をして相手に避けられたりすることがあります。
また、ADHDの方も、突発的な行動やトラブルの繰り返しによって、結果的に集団から距離を置かれてしまうことがあります。孤立はその人自身の性格や意欲の問題と誤解されがちですが、背景には社会性の障害や感情のコントロールの難しさがあることを理解することが重要です。
ADHDの最も顕著な特徴の一つが「不注意」です。何度注意しても忘れ物や提出漏れが直らない、ケアレスミスが多い、という場合には注意が必要です。たとえメモを取るなどの工夫をしても、そのメモ自体を忘れてしまうケースもあり、日常生活に支障が出ることもあります。
不注意があると、以下のような影響が生じます:
こうした行動は「だらしない性格」や「やる気がない」と受け取られがちですが、実際には注意力や集中力を持続させることが困難であるという神経発達上の特性が関係しています。
ASDの特徴として、強いこだわりが挙げられます。そのため、予定変更や曖昧な指示といった「予想外の状況」に直面すると、極度に混乱してしまうことがあります。予定通りに物事が進まないことに強いストレスを感じ、場合によってはパニック状態になることもあります。
背景には「切り替えの困難さ」があり、柔軟な思考や感情の転換が難しいという特性があります。このため、複数の作業を同時進行で行うマルチタスクにも苦手意識がある方が多いです。また、過去の嫌な出来事をいつまでも引きずってしまう「こだわりの継続」も見られます。
こだわりが強すぎると、自分の価値観やルールを他人にも押し付けてしまい、対人関係で摩擦が生じることもあります。
発達障害の方の中には、感覚の過敏さを抱えている人も多く見られます。特に聴覚や視覚、味覚などに対して強く反応し、生活に大きな影響を及ぼすことがあります。たとえば、人混みのざわめきに耐えられない、蛍光灯の光がまぶしすぎて集中できない、特定の食べ物の食感や味が苦手など、日常生活において回避行動が増えてしまう傾向があります。
このような感覚過敏は、周囲からは「わがまま」や「神経質」と誤解されやすいものです。しかし、本人にとっては過剰な刺激がストレス源となっており、対策としてイヤーマフやサングラス、帽子、特殊な衣服などを活用することで、安心して生活できる環境が整うこともあります。
発達障害、とくにASDの方では、「場の空気を読む」ことが難しいため、突飛な発言をしたり、場の雰囲気にそぐわない行動を取ってしまうことがあります。たとえば、誰かが落ち込んでいる時に冗談を言ってしまう、静かな場で大きな声を出す、相手の興味に関係なく自分の話を一方的に続けるといった行動が見られます。
これらの行動は、相手に「無神経」「失礼」と受け取られてしまいがちですが、実際には相手の表情や心情を読み取ること自体が難しいという特性が関係しています。本人に悪気はないことが多いため、理解とサポートが必要です。

発達障害の特徴は、本人の努力不足や性格ではなく、生まれつきの脳の特性に基づくものです。今回ご紹介した5つの特徴――「孤立しやすい」「ミスや忘れ物が多い」「予想外のことに混乱する」「感覚に敏感」「場に合わない言動をする」――は、いずれも周囲が理解を持って対応することによって、本人のストレスを減らし、二次障害のリスクを大幅に軽減することができます。
何よりも重要なのは、早期に気づいて、適切な支援や環境調整を行うことです。違和感を覚えたときには、専門機関への相談をためらわず、本人の特性を理解し、尊重する姿勢を持つことが、社会全体の共生につながります。