自覚のない発達障害疑いの同僚にどう接すればいいですか?

自覚のない発達障害の疑いがある同僚に、どう接すればいいのか?

自覚のない発達障害の疑いがある同僚に、どう接すればいいのか?

職場でともに働く中で、

「あの人、もしかして発達障害かもしれない」

と感じることがあるかもしれません。

ミスを繰り返したり、場の空気を読まない発言が目立ったり、
急に怒り出すような場面が続くと、周囲としても戸惑いや
ストレスを抱えてしまうことがあるでしょう。

こうした状況において、

「自覚のない発達障害の疑いがある同僚にどう接すればいいのか?」

という問いは、実は多くの人が直面しうる課題です。

今回はこのテーマについて、発達障害に関する基本的な知識を
押さえたうえで、適切な対応の仕方や配慮について考えていきます。

発達障害とは?その基本的な理解

発達障害とは?その基本的な理解

発達障害とは、生まれつきの脳の機能の違いによって、生活や対人関係などに
困難を感じやすい状態を指します。特に以下の2つは職場で目立ちやすい特徴を持っています。

  • ADHD(注意欠如・多動症)
    注意が散漫で集中が続かず、忘れ物やミスが多くなりがち。衝動的な発言や行動も見られ、時には感情の爆発(かっとなる)もあります。
  • ASD(自閉スペクトラム症)
    社会的なコミュニケーションや暗黙のルールが苦手で、空気を読まない発言、こだわりの強さ、柔軟な対応が難しいといった特徴があります。

これらの特性があっても、必ずしも本人が「障害」として自覚しているとは限りません。

むしろ、軽度のケースや知的能力が高い場合などでは、成人するまで診断も
受けずに社会生活を送っていることも少なくないのです。

自覚のないまま起きる周囲への影響

自覚のないまま起きる周囲への影響

未診断であるがゆえに、本人にとっては自分の行動に特段の問題意識はないことがほとんどです。しかし、以下のような言動は、確実に周囲に影響を及ぼしていきます。

未自覚ASDの特徴的な言動の例

  • 空気を読まない発言で場を凍りつかせる
  • マルチタスクが極端に苦手で業務が滞る
  • 自分のやり方やルールを一方的に押し付ける

未自覚ADHDの特徴的な言動の例

  • ケアレスミスを何度も繰り返す
  • 思いつきの発言で信頼を失う
  • 些細なことで突然怒り出す

このような言動が続くと、同僚や上司たちの中には

「関わるのがつらい」

「このままでは自分が潰れてしまう」

といったストレスを感じる人も出てきます。
そうした状況が進めば、いわゆる職場ハラスメントや離職の原因にもなりかねません。

発達障害を直接指摘するのは避けるべき理由

発達障害を直接指摘するのは避けるべき理由

こうした困りごとが積み重なると、

「はっきり発達障害の可能性を伝えた方がいいのではないか?」

と考える人もいるかもしれません。
しかし、これは非常に慎重になるべきデリケートな問題です。

外から決めつけるリスク

  • 「あなた発達障害かも」といった発言は、決めつけや攻撃
    と受け取られやすく、関係性の悪化を招きます。
  • もし本人が強い否定反応を示した場合、以降の人間関係や
    業務連携に深刻な支障が生じる可能性もあります。
  • また、こうした言葉がレッテルとして残ることで、将来的な診察や
    支援へのアクセスがかえって難しくなる恐れもあります。

基本スタンス:「尊重を土台に、必要なことは伝える」

では、どうすれば良いのでしょうか?

まず大切なのは、障害の有無にかかわらず、
誰であっても人として尊重されるべき存在であるという前提です。

発達障害の特徴が見られたとしても、それを理由に
差別的な扱いをすることは避けなければなりません。

一方で、他者に強い影響や被害(=他害)が出ている場合には
その行動に対して改善を求めることも必要です。

これは障害の有無にかかわらず、職場での共存において欠かせない視点です。

対応の流れ:上司や管理職の役割

対応の流れ:上司や管理職の役割

問題行動がある場合、基本的には上司や管理職が以下のような流れで対応します。

  1. 周囲の声を拾う
    • どのような行動が問題とされているのか
    • どのような影響を周囲や組織に与えているのか
      ※ここでは「事実と主観を分ける」ことが重要。
      証言に感情や偏見が混じらないよう注意を払います。
  2. 本人に状況を伝える
    • 周囲からの客観的な指摘や困っている点を、感情を交えず事実として伝えます。
    • 変えてほしい点や期待する行動を明確に伝えます。
  3. 改善の有無を見守る
    • 指摘のあと、言動に変化があるかを一定期間観察します。
    • 変化が見られなければ再度話し合いを行い、「なぜ変化がないのか」を一緒に探っていきます。

このタイミングで、発達障害の可能性に言及することも選択肢に入るかもしれません。
ただし、その際も以下の点に留意する必要があります。

  • あくまで「可能性」であり「決めつけ」ではないことを明確に
  • 「診断には医師の受診が必要」であることを伝える
  • その上で、「つらさや困りごとの背景があるかもしれない」ことに
    共感を示しつつ、適切な支援の入り口として提案する

同僚としてできることと限界

同僚としてできることと限界

同僚という立場でどう接するべきか、これも悩ましい問題です。

  • もし相談を受けたら
    なぜそう思ったのか、どんな困りごとを抱えているのかをまず丁寧に聞きます。
    そのうえで、個人的な印象として「こうした特徴に似ている部分がある」と
    伝えることは可能です。

    ただし、診断については医師による判断が
    必要であると説明することが望ましいです。
  • もし相談がない場合
    無理に関わろうとせず、実害を受けない範囲で距離を保つことも一つの対応です。
    どうしても影響が大きい場合には、上司に相談することも大切です。

まとめ:尊重と距離感を大切にした接し方を

まとめ:尊重と距離感を大切にした接し方を

発達障害の可能性がある人が未自覚のまま社会で働いているケースは、
決して珍しいものではありません。そしてその影響が大きいと、
周囲が悩みを抱えることもあるでしょう。

そのような中で大切なのは、「尊重を土台にしつつ、必要なことは適切に伝える」ことです。
誰もが快適に働くためには、お互いに配慮しつつ、時には
正しい距離感を保つことも必要になります。悩んだ時は一人で抱え込まず、
信頼できる上司や専門家に相談することも、健全な職場づくりに繋がります。