発達障害グレーゾーンのしんどさ5つ

発達障害という言葉を耳にすることが増えましたが、実は「発達障害グレーゾーン」と呼ばれる状態に該当する方も少なくありません。今回は、グレーゾーンにある方々が抱えるしんどさについて、代表的な5つの側面から丁寧に解説していきます。

発達障害とは?そしてグレーゾーンとは?

発達障害とは、生まれつきの脳の特性によって「得意」と「苦手」の差が大きく出る状態です。
代表的なものに、ADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)があります。

  • ADHD は「不注意」「多動」「衝動性」が主な特徴です。
    忘れ物が多い、じっとしていられない、つい発言してしまうなどが見られます。
  • ASD は「対人関係の難しさ」や「強いこだわり」が特徴で、
    空気が読めない言動や、変化への対応が苦手といった傾向が見られます。

一方で、診断基準には達しないものの、似たような傾向を持つ人も存在します。
こうした人たちを「発達障害グレーゾーン」と呼びます。

発達障害は「ある・ない」の二択ではなく、実際には連続的(スペクトラム)なものです。症状が強く日常生活に支障があると診断されますが、支障はあるのに診断基準には満たない人が中間層として存在し、それがグレーゾーンとされます。

発達障害グレーゾーンの人はどれくらいいる?

明確な統計は存在しませんが、ADHDやASDの診断率がそれぞれ1〜3%程度とされており、あわせて3〜6%程度と考えられます。それに対して、グレーゾーンに該当する方はそれ以上にいると見られており、全体の10%前後が発達傾向を持つ可能性があると指摘されることもあります。

では、発達障害のグレーゾーンにいる人たちは、どのようなしんどさを抱えているのでしょうか。次に、その5つの特徴を見ていきましょう。

① 生きづらさを感じる

発達障害と診断されるほどではなくても、「生きづらさ」を感じる場面は多くあります。特に、社会に出てからその傾向が顕著になることがあります。

  • ASD傾向:対人関係でのすれ違い、自分のこだわりを相手に押し付けてしまう、場の空気を読めないなど。
  • ADHD傾向:うっかりミスや忘れ物が多い、集中が続かない、衝動的に行動してしまうなど。

こうした困難が続くと、仕事や人間関係がうまくいかず、次第に自己評価が下がってしまうこともあります。グレーゾーンであるがゆえに、支援も届きにくく、孤立感が強まるという悪循環に陥りやすいのです。

② 気づかれにくい

グレーゾーンの人は、特性が微妙であったり、一見すると普通に見えたりするため、周囲からも本人からも「気づかれにくい」のが特徴です。

実際、診断に至るケースの多くが、うつや不安などの「二次障害」が出たことで発覚します。つまり、特性に対する適切な支援や理解がされないまま大人になり、生活上の困難にぶつかって初めて、自分の中にある発達的な傾向に気づくのです。

また、幼少期から「何か他の人と違う」と感じていても、それが発達特性によるものだとは知らず、「能力が低いから」「自分の性格のせい」として片付けられてしまうケースも多いです。

③ 理解を得られにくい

グレーゾーンの人は「正式な障害ではない」とされるため、他人からの理解を得にくいという問題を抱えています。

例えば、

  • 不注意で遅刻すると「だらしない」と思われる
  • 空気を読めない発言をして「失礼な人」だと受け取られる
  • マルチタスクができないと「要領が悪い」と評価される

こうした場面で、「甘えている」「努力が足りない」といった心無い言葉を受けることも少なくありません。これにより、本人はより一層孤独感を深め、自信を失ってしまいます。

④ 二次障害のリスクが高い

グレーゾーンの人は、困難がありながらも支援が受けにくく、結果としてストレスが蓄積しやすい状態にあります。そのため、**うつ病や不安障害、自己否定感、ひきこもり、イライラなどの「二次障害」**を発症するリスクが高まります。

二次障害には大きく分けて2つのタイプがあります:

  • 内在化障害:うつ、不安、引きこもり、自傷行為など。感情が内にこもってしまうタイプ。
  • 外在化障害:怒りっぽさ、衝動的な言動、反社会的な行動など。外に感情が噴き出すタイプ。

こうした状態になると、本来の特性に加えてさらに生活が困難になり、社会復帰や日常生活への影響も大きくなっていきます。

⑤ サポートを受けにくい

正式な診断がついていない場合、福祉制度や支援制度の対象外となることが多いです。

例えば:

  • 精神障害者保健福祉手帳の取得ができない
  • 障害者雇用枠での就労が困難
  • 就労移行支援や生活支援サービスの利用が難しい

その結果、日常生活に困難を抱えていても、制度的なサポートを受けられないまま、
自力で何とかするしかない状況に追い込まれてしまうことがあります。

ただし、うつなどの二次障害が併発している場合には、医師と相談することで一部支援を
受けられるケースもあります。まずは医療機関で相談することが大切です。

まとめ:見えにくいしんどさに寄り添うために

今回は、発達障害グレーゾーンの方が抱える「しんどさ」について、以下の5つの視点から解説しました。

  1. 生きづらい
  2. 気づきにくい
  3. 理解を得られにくい
  4. 二次障害のリスクがある
  5. サポートを受けにくい

発達障害グレーゾーンは、診断の有無にかかわらず、確かに困難を抱えている状態です。
症状が軽いように見えても、本人にとっては深刻な悩みであることも多いため、
周囲の理解と配慮が求められます。

そして、本人にとっても、自分の特性を受け入れ、セルフケアや環境調整、
必要であれば専門家への相談を取り入れながら、無理なく生活できる道を
見つけていくことが大切です。