精神疾患にはさまざまな種類があり、症状や治療法もそれぞれ異なります。しかし、その一方で、多くの精神疾患に共通する「しんどさ」が存在します。本記事では、「うつ病」や「不安障害」などを中心に、精神疾患に伴う代表的なしんどさを5つ取り上げ、それぞれについて丁寧に解説していきます。
まずは、「精神疾患」とは何かについて、改めて確認しておきましょう。精神疾患とは、心や脳の不調によって、思考、感情、行動、人間関係などに支障をきたす疾患の総称です。対象となる病名は幅広く、うつ病やパニック障害、統合失調症、双極性障害(躁うつ病)などが代表的ですが、発達障害やパーソナリティ障害も含まれることがあります。

精神疾患には、いくつかの発症要因があります。
治療は主に以下の3つに分けられます。

また、症状の改善の程度については、「治癒(薬なしでも安定)」「寛解(薬の継続が必要な安定)」「改善(特性が残るが適応可能)」という段階があり、疾患によって異なります。
では、ここからは実際に多くの精神疾患に共通する「しんどさ」について、5つに分けて詳しく見ていきましょう。
精神疾患の多くは、治療に時間がかかります。症状が顕著なうつ病などでは、改善までに数ヶ月〜数年かかることも珍しくありません。また、たとえ表面上の症状が落ち着いていても、再発防止のために治療を継続する必要があるケースもあります。
たとえば、統合失調症では症状が寛解しても再発リスクが高く、長期にわたる服薬が必要になることがあります。一方、適応障害のように環境を整えることで比較的早く改善する場合もありますが、それは例外的です。
発達障害などのように、そもそも「治る」という概念があてはまらない精神疾患もあります。このような場合、目指すのは「改善」であり、「共に生きること」です。症状や特性とうまく付き合っていくことが求められます。
日々の生活の中で、自分なりの工夫や支援制度の活用、周囲の理解などを得ながら生活の質を高めていくことが、回復への大切な一歩となります。
精神疾患には再発のリスクがつきものです。特に、うつ病や双極性障害、統合失調症などは再発率が高く、薬物療法の継続や生活習慣の見直しが欠かせません。
この「再発するかもしれない」という不安は、常に本人を精神的に圧迫し続ける原因にもなります。調子の良い日が続いていても、「またいつか再発するかもしれない」と感じることは、大きな精神的ストレスとなるでしょう。
精神疾患の辛さは、しばしば他人には理解されにくいという側面があります。たとえば、「うつ病で何もできない」と訴えても、「気の持ちようだ」「頑張ればなんとかなる」といった言葉で片づけられてしまうことがあります。
このように、他人に気持ちを伝えにくく、共有しづらいこと自体が新たな孤独感や二次的なストレスを生んでしまいます。対策としては、似たような経験を持つ人と話す「自助グループ」や、うつ病のリワークプログラムなどの参加が有効です。また、書籍やブログなどで他者の体験談を読むことも、間接的に共感を得る手段になります。
精神疾患によって、仕事を休職・退職せざるを得なくなることもあります。働き続ける場合でも、残業が難しくなったり、責任の重い仕事を回避せざるを得ないなど、仕事の内容や立場に変化が生じることがあります。
このようなキャリアの変化は、結果として人生全体の設計にも影響を及ぼします。将来設計の見直しが必要になったり、思い描いていたライフプランが変更を迫られることもあります。
そのようなときは、一度立ち止まり、「自分にとって本当に大切なもの(=自分の軸)」を見つめ直す時間が必要です。その上で、現在の自分にできることに焦点をあて、等身大の自分で人生を築いていくことが求められます。
精神疾患に対する社会の偏見は、徐々に改善されてきたとはいえ、依然として根強く残っています。病名を打ち明けたことで距離を置かれたり、誤解されたりする経験を持つ人も少なくありません。
そのため、周囲からの言葉や態度に過剰に反応してしまい、自分の価値を見失いそうになることもあります。偏見を真に受けすぎず、自分を大切にすることが何よりも重要です。
現実的な対策としては、偏見が強く残る場所や人からは距離を取り、自分を理解してくれる相手や居場所を大切にすることがポイントです。信頼できる支援者や当事者同士のつながりは、大きな支えとなります。
精神疾患は、多くの人が人生のどこかで関わる可能性がある身近なテーマです。そして、治療や支援を受けながらも、「すぐには治らない」「再発の不安がある」「他人と共有しづらい」といった共通のしんどさに直面します。
しかし、そうした苦しさの中でも、自分の軸や大切な人とのつながりを見直し、「今、自分にできること」を見つけていく姿勢が、確かな一歩になります。

精神疾患を抱えることは、決して「弱さ」ではありません。それぞれのペースで、自分自身を大切にしながら、少しずつ前に進んでいきましょう。