統合失調症は、現在でも心療内科や精神科で多くの
相談を受ける代表的な精神疾患の一つです。
発症すると、幻聴や妄想といった特徴的な症状が現れることがあり、
日常生活にも大きな影響を及ぼすことがあります。
本記事では、統合失調症とともに生きていく上で知っておきたい
「5つのしんどさ」に焦点を当てながら、療養生活をより
良くするためのヒントをお伝えします。

統合失調症は、脳の神経伝達物質、特にドーパミンの過剰な働きによって、
思考や感情、現実認識に混乱が生じる病気です。発症時には幻聴や妄想などの
「陽性症状」が顕著に表れますが、それ以外にも意欲の低下や認知機能の
障害といった「陰性症状」や「認知機能障害」も生活に大きな影響を与えます。
治療の中心は抗精神病薬による薬物療法であり、症状が安定した後も
再発予防のために継続的な服薬が必要です。
また、心理社会的治療や社会資源の活用も
併せて行うことで、回復への道筋が整いやすくなります。

統合失調症には大きく4つの病期が存在します。
各段階で適切な治療やサポートを受けることで、より良い経過を目指すことが可能です。

ここからは、統合失調症と向き合ううえで多くの方が直面する
「5つのしんどさ」について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
急性期には、幻聴や妄想など、脳の過敏状態に
よって強烈な症状が現れます。
例えば
「悪口が聞こえる」
「誰かに狙われている」
といった体験が
現実のように感じられ、混乱を招くことがあります。
また、過覚醒状態になると不眠や興奮が続き、
自分自身のコントロールが困難になります。
このような状態では、外来治療だけでは
対応しきれず入院が必要になることもあります。
適切な薬物療法と十分な休養が回復のカギとなります。
統合失調症は、一度改善しても再発するリスクが残る病気です。
とくに服薬を中断した場合、再発の可能性は大きく上昇します。
服薬を続けていても強いストレスが引き金となることがありますが、
その場合は比較的軽度で済むこともあり、早期対処が可能です。
重要なのは、症状が落ち着いていても医師の指示に
従って薬を継続し、再発の兆しにいち早く気づくことです。
抗精神病薬の継続には、しばしば
「もう治ったのではないか」
「副作用がつらい」
という葛藤が伴います。
多くの場合、再発予防の効果は目に見えにくいため、
服薬を続けるモチベーションが下がってしまうのです。
副作用に悩んでいる場合は、医師と相談してより副作用の
少ない薬への変更を検討しましょう。
また、服薬を病気との直面ととらえるとつらくなるため、
薬を使って自分らしい生活を守るという視点の転換も役立ちます。
症状が落ち着いた後でも、生活や活動がしにくく感じることがあります。
これは、意欲や興味が薄れてしまう陰性症状や、考える力や計画性が
損なわれる認知機能障害の影響によるものです。
活動を始めるのが億劫になったり、日常のことがうまくこなせなく
なったりすることが続くと、生活リズムの乱れや再発のリスクにもつながります。
このようなときは、無理のない範囲で生活リズムを整え、
頭を適度に刺激するリハビリを意識しましょう。
デイケアの活用や訪問看護、ホームヘルパーの導入なども有効です。
社会全体で精神疾患に対する理解は徐々に進んでいますが、
依然として一部では偏見が存在します。
この偏見にさらされることで、本人の自己評価が下がり、
孤立感を深め、再発の一因になることもあります。
このような状況への対策としては、偏見を持つ人とは無理に
関わらず、距離を取ることが重要です。
その一方で、理解ある人とのつながりを大切にし、
信頼できる関係を築いていくことも必要です。
また「リカバリー」という考え方、すなわち障害があっても
自分らしく生きていくことを目指す姿勢が今、注目されています。
人と比べず、自分のペースで目標を持ち、一歩ずつ進んでいくことが大切です。

統合失調症は、決して「治らない病気」ではありません。
しかし、長い療養生活の中ではさまざまな
「しんどさ」に直面することがあるのも事実です。
今回ご紹介した5つのしんどさ——
急性期の症状、再発リスク、薬の継続、生活のやりづらさ、
周囲の偏見は多くの方が経験する共通の課題です。
それらを理解し、適切な支援や工夫を取り入れることで、
より穏やかで安定した生活が目指せます。
一人で抱え込まず、支えてくれる人々とともに、
自分なりの
「リカバリー」
を歩んでいきましょう。
どんな形であれ、自分らしい人生を歩むことはきっと可能です。