発達障害と知的障害は違いますか?

「発達障害と知的障害は同じものなの?」といった疑問を抱く方は少なくありません。
実際、外見だけでは判断しづらく、混同されがちなこの2つの障害。
しかし、実はそれぞれ異なる特性と診断基準をもっています。

一方で、共通する点も多く、両方を併せ持つ人もいるのが現実です。

今回は、

「発達障害と知的障害はどう違うのか?」
「共通点はあるのか?」
「合併する場合はどうなるのか?」

といった視点から、わかりやすく解説していきます。

発達障害とは?~得意と苦手の差が激しい特性

発達障害とは?~得意と苦手の差が激しい特性

発達障害とは、生まれつきの脳の発達の特性により、
生活や対人関係に困難が出る状態を指します。

特に特徴的なのが、

「得意なことと苦手なことの差(ばらつき)」が非常に大きい

ことです。

主な発達障害の種類

発達障害にはさまざまなタイプがありますが、代表的なものとして以下の2つが挙げられます。

1. ADHD(注意欠如・多動症)

・忘れ物が多い
・落ち着きがない
・思いついたことをすぐ口に出す(衝動性)

といった「不注意」「多動」「衝動性」が特徴です。

2. ASD(自閉スペクトラム症)

・対人関係が苦手
・こだわりが強い
・空気が読めない言動が目立つ

といった特徴があり、特に社会性に関する困難が目立ちます。

発達障害の人はストレスへの耐性が低い傾向にあり、環境に
合わないと「うつ」などの二次障害を起こすこともあります。

知的障害とは?~全般的な知的機能の弱さ

知的障害とは?~全般的な知的機能の弱さ

一方、知的障害は「全般的な知的機能」に障害がある状態です。
具体的には、知能検査のIQ(知能指数)が69以下の場合が目安とされ、
認知能力・判断力・生活適応力のすべてに困難が見られます。

多くは幼少期からその傾向が見られますが、大人になってから
「社会にうまく適応できない」と感じて検査を受け、
初めて診断されるケースもあります。

境界知能(ボーダーライン)

IQが70〜84の範囲にある場合は「境界知能」とされます。
これは知的障害とまでは診断されませんが、知的機能の弱さから
社会生活に困難が出やすい傾向があります。

ただし、制度上は「障害」とはみなされないため、
公的サポートを受けにくいという課題があります。

発達障害と知的障害の「違い」

発達障害と知的障害の「違い」

ここで、発達障害と知的障害の明確な違いを見ていきましょう。

① IQの扱い方が異なる

発達障害ではIQの数値による定義はなく、知的な高低にかかわらず診断されます。
中にはIQ130以上の高知能の人もいれば、70以下の人もいます。

一方、知的障害は原則としてIQ69以下であることが前提となります。
これは診断の重要な基準です。

② 得意・不得意の分布が違う

発達障害は「あることには極端に強く、別のことには極端に弱い」
といったように、能力の差が大きいのが特徴です。

それに対し、知的障害では基本的に「全般的に苦手」
なことが多く、能力が均等に低いことが多いです。

③ 生活の困難の出方が異なる

発達障害の人は、得意な場面ではまったく問題なく
活動できる一方で、苦手な場面では極端に
うまくいかないというアンバランスさがあります。

知的障害の人は、比較的どんな場面でも「平均して困難」
が見られる傾向にあります。

④ 支援制度の違い

発達障害の人が対象となるのは「精神障害者保健福祉手帳」です。

一方、知的障害の人には「療育手帳」が交付され、支援の内容や手続きも異なります。

共通点もたくさんある

共通点もたくさんある

発達障害と知的障害は違う障害ですが、共通する部分も多くあります。

共通点① 生まれつきの障害

どちらも生まれながらにして持っている障害です。
症状や特性は一時的なものではなく、基本的に一生続くものとされます。

共通点② 社会生活に困難が出やすい

対人関係、就労、生活管理など、社会生活全般に影響が
出やすいという点は共通しています。
どちらも支援なしには適応が難しいことがあります。

共通点③ 特効薬がない

ADHDには症状を緩和する薬がありますが、根本的に
「障害そのものを治す薬」は存在しません。
発達障害も知的障害も、薬よりも「理解」と「支援」が最も大切です。

共通点④ 合理的配慮が必要

たとえトレーニングやリハビリによってある程度の改善があっても、
根本的な特性がなくなるわけではありません。

そのため、職場や学校などでは「合理的配慮」が求められます。
これは障害者差別解消法にもとづく基本的な支援の考え方です。

両方の障害を持つ人もいます

両方の障害を持つ人もいます

発達障害と知的障害は、まったく別の障害ではありますが、
「併発(合併)」することも少なくありません。

たとえば、ASDの診断を受けていて、IQが69以下であれば、
知的障害も合併していると診断されることがあります。

この場合、発達障害の特性に加えて、知的機能の低さも生活上の困難に影響します。

こうした場合には、手帳や制度上の支援も「二重に」必要となることが多く、
より手厚いサポート体制が求められます。

まとめ:違いと共通点を正しく知ることが支援につながる

まとめ:違いと共通点を正しく知ることが支援につながる

今回は、「発達障害と知的障害の違いと共通点」について詳しく解説してきました。

主なポイントのまとめ

  • 発達障害はIQに関係なく、得意・不得意の差が激しい特性が特徴
  • 知的障害はIQ69以下が目安で、全般的な知的機能の低さが特徴
  • 両者は診断基準や支援制度も異なる
  • 一方で、生まれつきの特性である点や、社会生活への影響、特効薬がないことなど、共通点も多い
  • 両方を併せ持つ人もおり、より丁寧な支援が必要となる場合もある

障害の名前や診断にこだわるよりも、その人がどんな特性を持ち、
どこで困っているのかを理解し、必要なサポートを届けていくことが何より大切です。