うつ病とパニック症はなぜ合併するのか【うつ病とパニック障害】

はじめに

うつ病は、気分が落ち込んでしまう病気で、パニック症は突然の不安や恐怖に襲われるパニック発作を特徴とする病気です。これら二つの病気は、時に同時に発症することがあり、この状態を「合併」と呼びます。実は、うつ病とパニック症が合併することは珍しいことではなく、パニック症の患者の約3割にうつ病の症状が見られるとされています。また、うつ病と診断された方が、後にパニック発作を経験するケースも少なくありません。

今回は、うつ病とパニック症がなぜ合併するのかについて解説いたします。

うつ病とパニック症の合併の理由

私たちの脳の働きは、神経伝達物質によって成り立っています。特にドーパミンノルアドレナリン、そしてセロトニンの3つは「三大神経伝達物質」と呼ばれ、心の安定に重要な役割を果たしています。

私たちの脳の働きは、神経伝達物質によって成り立っています。特にドーパミン、ノルアドレナリン、そしてセロトニンの3つは「三大神経伝達物質」と呼ばれ、心の安定に重要な役割を果たしています。
  • ドーパミン:快感を担当
  • ノルアドレナリン:意欲を司る
  • セロトニン:情緒の安定を保つ

セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンの働きを調整し、情緒の安定に深く関わっています。また、セロトニンは安心感や幸福感をもたらすだけでなく、覚醒状態体温調節体内リズム睡眠、さらには痛みの調整にも関わる非常に重要な物質です。

過度なストレスや長期的な精神的負担がかかると、セロトニンの分泌が低下し、ドーパミンやノルアドレナリンの分泌にも悪影響を与えます。この結果、心の不安定が生じ、うつ病パニック症を引き起こすことになります。

セロトニン不足が引き起こすその他の病気

セロトニン不足が引き起こすその他の病気

セロトニンの分泌が不足することで、鬱気分無気力不安焦り不眠、さらには自律神経失調といった症状が現れ、これがうつ病やパニック症に繋がります。実は、他にもセロトニン不足が関与する病気があります。

  • 強迫症:つまらないことに執着してしまう病気。例として、手洗いや戸締まりの確認がやめられなくなる。
  • 摂食障害:体重を気にしすぎて食事をコントロールできなくなる病気。過食や嘔吐を繰り返すこともある。
  • 社交不安症:人の目が気になりすぎて、人前に出ることや会食が困難になる病気。
  • 慢性疼痛:検査で異常が見つからないにもかかわらず、首や腰などに激しい痛みが長期間続く病気。

これらの病気もセロトニン不足によって引き起こされることがあり、うつ病と合併する可能性があります。

セロトニン分泌を増やすために

では、どのようにしてセロトニンの分泌を増やすことができるのでしょうか?

では、どのようにしてセロトニンの分泌を増やすことができるのでしょうか?

1. 規則正しい生活

うつ病やパニック症の治療には、まず十分な休養バランスの良い食事、そして良質な睡眠が大切です。こうした生活習慣を整えることで、数カ月の間にセロトニンの分泌が正常に戻り、脳の活動が回復していきます。しかし、ストレスが続いたり、食事や睡眠が十分でない場合、自然な回復が難しいこともあります。その場合、抗うつ薬による治療が必要になります。

2. 抗うつ薬の役割

抗うつ薬の中でも、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)はセロトニンを増やす働きに優れた薬です。代表的な薬にはレクサプロジェイゾロフトパキシルデプロメールなどがあり、これらはうつ病やパニック症、強迫症、摂食障害、社交不安症、慢性疼痛の治療に用いられています。

3. トリプトファンを含む食事

セロトニンは、直接摂取しても脳に届きません。その代わり、トリプトファンというアミノ酸を多く含む食品を摂ることが重要です。トリプトファンは、豆類ナッツ豆腐乳製品などに多く含まれています。

特に女性は、男性に比べてトリプトファン不足がセロトニン不足に繋がりやすいと言われており、意識的にこれらの食品を摂取することが大切です。

4. 運動の大切さ

セロトニンの分泌を増やすためには、軽い有酸素運動が効果的です。特にウォーキングヨガなどの呼吸を伴う運動が推奨されており、1回の運動時間は20~30分程度を目安に、週に4回程度行うことが望ましいです。

おわりに

現代の日本はストレスが多い社会であり、多くの人がメンタルヘルスに問題を抱えています。過剰なストレスはセロトニンの分泌を低下させ、様々な病気の原因となります。日々の生活の中で、無理をせずバランスの取れた食事十分な睡眠適度な運動を心がけ、規則正しい生活を送りましょう。