うつ病の意外な症状5つ

 うつ病の意外な症状5つとは?早期発見につながるサインを見逃さないために

【はじめに】

うつ病というと、「気分が落ち込む」「やる気が出ない」といったイメージを持たれる方が多いかと思います。しかし、実際には一見うつ病とは結びつかないような「意外な症状」が現れることもあります。こうした症状は本人も周囲も気づきにくく、見過ごされがちですが、うつ病の早期発見に繋がる重要な手がかりとなることも少なくありません。本記事では、臨床の現場で見られるうつ病の意外な5つの症状に焦点を当て、それぞれの特徴や背景について丁寧に解説していきます。

【うつ病の多様な症状とその背景】

うつ病とは、脳の神経伝達物質、特にセロトニンの不足などを背景とした精神疾患であり、気分の落ち込み(抑うつ気分)や興味の喪失、自責感などの「心の症状」が中心とされます。しかし実際には、「体の症状」や「行動の変化」など、幅広い側面から影響が現れることがあります。

特に心の症状は、自覚することが難しいという特徴があります。うつ病の症状は数週間から数か月、場合によっては数年かけて徐々に進行するため、自分の変化に気づかないことがあります。また、自己判断力やセルフモニタリングの低下、さらには罪悪感が強く「自分が悪い」と考えてしまう傾向から、うつ病であることを見落とす原因にもなります。こうした背景から、うつ病の意外な症状に注目することは、早期発見と治療に向けた重要な第一歩になります。

【意外なうつ病の症状5つ】

  1. イライラや怒りっぽさが増す うつ病というと「悲しい」「落ち込む」といった静的なイメージがあるかもしれませんが、実は「イライラする」「怒りっぽくなる」といった症状が現れるケースもあります。これは「易刺激性」と呼ばれ、うつ病の患者さんにしばしば見られる特徴です。ささいな出来事にも強く反応してしまい、感情のコントロールが難しくなります。交感神経が過度に優位になることで緊張状態が強まり、その結果、ストレスへの耐性が著しく低下してしまうのです。
  2. 体重の減少(やせる) うつ病では食欲の低下がしばしば見られます。その結果、気づかないうちに体重が減少してしまうケースが多く報告されています。本人はその変化に気づかず、むしろ周囲の人が「最近やせたのでは」と気づくことが多いのも特徴です。ただし、体重減少には他の原因(内臓疾患や摂食障害、統合失調症の急性期など)もあるため、これらとの鑑別が重要になります。
  3. 物忘れが増える うつ病によって記憶力が低下することもあります。具体的には「会話の内容を思い出せない」「約束を忘れてしまう」「物をよく置き忘れる」といった行動が目立つようになります。これは単なる物忘れではなく、集中力や判断力の低下と密接に関連しており、仕事や日常生活におけるミスやトラブルの原因となります。他の要因としては過労、ADHD、あるいはごく稀に若年性認知症なども考えられるため、症状が続くようであれば医療機関への相談が勧められます。
  4. さまざまな体の不調(自律神経症状) 「うつ病=心の病」と思われがちですが、実は身体的な症状が最初に現れることも少なくありません。特に自律神経のバランスが崩れることによって、吐き気、めまい、動悸、息切れ、頭痛など多様な身体的不調が出ることがあります。これらの症状は、いわゆる「自律神経失調症」と診断されることもありますが、背景にはうつ病や適応障害が潜んでいるケースも多いため、精神的な側面を含めた評価が必要です。
  5. 離人感(自分が自分でないような感覚) 離人感とは、自分の感情や身体の感覚が現実のものとは思えなくなる感覚のことを指します。「まるで映画の中にいるようだ」「自分が自分でないように感じる」といった表現をされることもあります。うつ病やストレス性障害の一部として見られることがあり、強いストレスや長期にわたるうつ症状、不眠、集中力の低下などが背景にあると考えられています。自己防衛反応の一種であり、無意識のうちにストレスから自分を守ろうとしているのです。

【まとめ】

うつ病の症状は「気分の落ち込み」や「無気力」に限らず、多種多様です。今回ご紹介したような、

  • イライラしやすくなる
  • 理由もなく体重が減る
  • 物忘れが増える
  • 身体の不調が続く
  • 離人感を覚える といった症状がある場合、うつ病のサインかもしれません。

これらの症状に気づいたとき、あるいは身近な人にそうした様子が見られた場合は、早めに専門の医療機関へ相談することが重要です。うつ病は早期に対応すれば回復が望める病気です。意外なサインに気づくことで、大切な自分や周囲の人を守るきっかけになるかもしれません。