うつ病と診断され、医師から「3ヶ月ほどで治る」と言われたにもかかわらず、気がつけば10年近く薬を飲み続けている方も少なくありません。薬を飲んでいる間は仕事ができるが、服薬をやめると体調が悪化する――こんな話をよく耳にします。実際、うつ病はどれくらいで治るのでしょうか?そして、薬はやめられるのでしょうか?
通常、うつ病は休養をしっかりとることで、3ヶ月から1年ほどで自然に改善すると言われています。しかし、仕事のストレスが原因でうつ病を発症した場合、十分に回復しないまま職場に復帰することが多く、仕事の内容に配慮が足りない場合もあります。このような状況では、せっかく回復した心身が再び同じストレスにさらされ、結果として再発することがあります。
再発とは、一度治ったうつ病が何らかのきっかけで再び悪化することです。これは、骨折が完治しても再び同じ部分が折れやすくなるのと似ています。うつ病も同様で、発症した時と同じようなストレスにさらされると、再発するリスクが高まります。

うつ病が職場のストレスで発症した場合、元の職場に戻ると再発のリスクが高いため、再発防止策が必要です。薬による治療は回復を早め、再発の予防効果も期待できます。軽度の場合は休養のみで回復することもありますが、多くの場合、早期回復を目指して薬が処方されます。
特にうつ病が改善した後の1年間は、再発のリスクが最も高い期間です。そのため、症状が改善しても、少なくとも1年間は予防目的で服薬を続ける必要があります。しかし、実際には仕事復帰後も1年以上の服薬が必要なケースが多く見られます。これは、職場環境やストレスが改善されていない場合が多いためです。
一部の人々は、10年どころか30年以上も抗うつ薬を服用し続けることがあります。抗うつ薬を長期間服用すること自体に大きな問題はありませんが、薬によっては食欲を増進させ、体重が増えることがあります。これに伴い、代謝が低下するため、食事や運動に注意し、定期的な健康診断を受けることが重要です。
うつ病の治療は、日常生活が普通に送れる状態を目指すことです。薬を服用しながらでも、日常生活が安定しているならば「治った」と考えて良いでしょう。完全無欠の健康状態を求めるのではなく、薬を数粒飲むだけで快適な生活が送れるのであれば、それを受け入れるのも一つの考え方です。

薬を飲んでも仕事に戻れない方が約3割います。こうした場合、通常のうつ病ではなく、発達障害や双極性障害Ⅱ型が基礎にある可能性があります。また、孤独や経済的な困難など、他の要因が重なり、回復のきっかけをつかめない場合もあります。
このような場合、公的な支援制度を利用することが有効です。障害者雇用や障害者年金など、支援を受けながら働ける環境が整えられています。過去と同じ仕事ができなくても、できる範囲から少しずつ再スタートを切ることが、病状の改善につながる場合もあります。
うつ病の治療や再発予防は、個々の状況によって異なりますが、重要なのは無理をせず、自分に合ったペースで回復を目指すことです。規則正しい生活を心がけ、必要に応じて薬を服用しながら、日常生活を少しずつ取り戻していきましょう。