~早期発見のために、家庭でできる大切な気づき~
うつ病や適応障害は、現代社会で多くの人が直面する精神的な不調のひとつです。これらの病気は早期に気づき、適切な対応をとることで回復も早まります。しかし、本人が自覚しにくかったり、職場ではうまく隠してしまっているケースも少なくありません。そのため、「家庭での変化」に目を向けることが、早期発見のヒントになることがあります。
今回は、家族が気づきやすいうつ病・適応障害の5つのサインについて、わかりやすくご紹介します。
まず前提として、うつ病や適応障害の症状は、外では気づかれにくく、むしろ家庭で顕著に現れることがあります。

脳のセロトニンの減少などが背景にあり、慢性的な抑うつ状態が続きます。休日でも回復せず、家でも「元気がない」「ぐったりしている」といった状態が続きます。

特定のストレス(多くは職場)に対する反応として抑うつや不安が生じるもので、ストレス源から離れれば症状は軽減するとされています。ただし、仕事のことを考える夜や翌朝などには不調が現れやすく、特に日曜の夜から月曜朝にかけて症状が目立ちます。
こうした病気の性質から、自覚症状があっても「認めたくない」「外には見せたくない」という思いから、周囲にわかりづらくなることがあります。特に職場では、いわゆる「過剰適応」で頑張りすぎてしまい、家で反動のように不調が強く出る人もいます。家族は「フラットな状態のその人」と接する機会が多いため、サインを見逃さないことが大切です。
家族が気づくサイン①:休日はぐったりしている
まず最もわかりやすいのが、「休日の過ごし方の変化」です。
これらの状態が以前と比べて明らかに変わってきたときには注意が必要です。
うつ病では意欲低下が特徴で、何をするにも力が湧かない状態になります。適応障害でも疲労の蓄積やストレスから頭が切り替わらず、休日にもぐったりしてしまうことがあります。表面的には「休んでいるように見えても、心はまったく休まっていない」場合もあります。
家族が気づくサイン②:イライラしやすくなる
「最近、些細なことで怒るようになった」「以前は穏やかだったのに、よく八つ当たりされるようになった」——このようなイライラの増加も、うつや適応障害のサインであることがあります。
背景には、
などが考えられます。本人に悪気がない場合でも、家族との間で衝突が起きることもあります。「急に性格が変わった」と感じた場合は、一度立ち止まって心の状態に目を向けてみましょう。
家族が気づくサイン③:話さなくなる・こもる
これまでよく話していた人が、急に無口になったり、自室にこもるようになることも注意すべきサインです。
これらの行動には、うつによる意欲低下や、精神運動制止(身体や言動全体が鈍くなる状態)が関係している場合があります。人によっては「話したくない」という意志がある場合もあり、それはそれで「しんどさのサイン」と受け止める必要があります。
家族が気づくサイン④:顔つきの変化
「目がうつろ」「無表情になった」「どこか雰囲気が暗くなった」など、顔つきや外見の変化も大きな手がかりになります。
具体的には、
などが挙げられます。心の状態は、外見にも現れます。特に「朝から疲れている顔」「何かを話しても反応が薄い」といった様子は、うつ状態を反映しているかもしれません。
家族が気づくサイン⑤:月曜朝の不調
適応障害で特に顕著なのが、「月曜朝の不調」です。
これらは、仕事を意識することで起きるストレス反応です。前夜から眠れなくなる(不眠)ことも多く、「休んだはずの週末がまったく休息になっていない」状況が見て取れます。

では、こうしたサインに気づいた時、家族はどのように接すれば良いのでしょうか?以下の3つの方針が大切になります。
1. 家を「休める場所」にする
うつ病や適応障害の回復には「休養」が欠かせません。職場でも家庭でも気を抜けない状況では、回復が遠のいてしまいます。否定的な言葉や、よかれと思っての圧力(いわゆる「High-EE」)は控え、「何もできなくてもここでは大丈夫」と思ってもらえるような安心感のある空間を心がけましょう。
2. 聞き手に回る
一方的なアドバイスや励ましは、相手を追い詰めてしまう場合があります。まずは「見守る姿勢」を大切にし、相手が話したくなった時に聞き役になれるよう備えましょう。家族自身も無理をせず、セルフケアを行いながら余裕を持って接することが重要です。
3. 必要な時は受診を促す
様子を見ていても改善が見られない場合や、不眠や体の不調が強い場合には、心療内科や精神科への受診を促すことも必要です。「一度相談してみようか?」という柔らかな言い回しが、ハードルを下げるきっかけになるかもしれません。

うつ病・適応障害は、外では気づかれにくい分、家庭での小さな変化が早期発見の鍵になります。以下の5つのサインを念頭に、家族のサポートが回復の第一歩になることを目指しましょう。
無理に何かを変えようとするのではなく、「そばにいる」ことそのものが支えになります。そして必要な時には、専門家の力を借りることを躊躇しないようにしましょう。家族のさりげない支えが、心の回復への大きな一歩となります。