自閉スペクトラム症(ASD)は、生まれながらの脳の特性による発達障害であり、社会性の障害やこだわりの強さを特徴とします。男女比では男性が多いとされていますが、女性のASDも決して稀ではありません。とくに女性のASDは“受動型”と呼ばれる傾向が強く、周囲に大きなトラブルを起こさない代わりに、自身がストレスを抱え込みやすいという特徴があります。
本記事では、女性のASDの方が直面しやすい「困難なライフイベント」を6つ取り上げ、それぞれの場面でどのような困難が起こりやすいのか、そして現実的な対策について考えていきます。
思春期は多くの人にとって大きな転機となる時期ですが、ASDの女性にとっては特に困難を感じやすいライフイベントの一つです。
この時期、いわゆる「ガールズトーク」と呼ばれるような、共感や空気を読むことが重視される会話が活発になります。論理性よりも感情的な一体感が求められ、話題が次々と変わることも少なくありません。ASDの特性として、集団での会話が苦手であったり、共感・同調が難しい、空気を読めない発言をしてしまうといったことがあるため、これらの会話についていくことが大きなストレスとなります。
現実的な対策としては:

社会人になると、職場という新たな社会的環境に適応する必要が出てきます。ASDの女性にとっては、職場内での人間関係や業務の特性が大きなハードルになることがあります。
たとえば、社会的マナーへの適応、変化の多い業務内容への対応、そしてマルチタスクといった要素は、ASDの苦手と直結しやすい領域です。さらに、職場の同僚に合わせることや、飲み会といった「付き合い」も精神的な負担となることがあります。
現実的な対策としては:
恋愛もまた、ASDの女性にとっては大きなライフイベントであり、そこには特有のリスクも存在します。特に、「受動的な特性」を持つことで、相手に利用されたり、支配されてしまうケースがあるのです。
また、自分のこだわりを相手に押し付けてしまったり、共感の乏しい発言で相手を傷つけてしまうこともあり、恋愛関係のなかでトラブルを生むことがあります。
現実的な対策としては:
結婚は人生の大きな節目でありながら、ASDの女性にとっては「支配―被支配」の関係に陥りやすいというリスクも含んでいます。
たとえば、受け身な性格からパートナーの言いなりになってしまい、結果としてモラハラや精神的DVなどに発展するケースもあります。逆に、自分のこだわりを一方的に押し付け、パートナーを苦しめてしまう可能性もあります。そのような場合、相手が「カサンドラ症候群」に陥ることもあります。
現実的な対策としては:

子育ては多くの親にとって喜びであると同時に、負担も大きなライフイベントです。ASDの女性にとっては、特にマルチタスクや急な変化への対応、子どもの気持ちに寄り添う「共感性」が求められる点で難しさを感じることが少なくありません。
現実的な対策としては:
最後に挙げるのが「家事」です。家事は一見単純作業のようですが、実際にはマルチタスクや時間管理、同時進行の判断など、高度なスキルが必要とされる領域です。
ASDの特性上、一つの作業に集中してしまったり、完璧主義になりすぎて逆に疲弊してしまうケースも見られます。
現実的な対策としては:
女性のASDでは、以下の6つのライフイベントにおいて困難が生じやすいことが分かります。
これらはすべて、ASDの特性が社会の期待とズレやすい場面でもあります。大切なのは、困難があること自体を「自分のせい」と責めすぎないことです。それぞれの場面で、自分なりのやり方や工夫を見つけ、必要であれば周囲に支援を求めながら生活を整えていくことが、より良い生き方につながります。
特性を理解し、自分に合った方法を選びながら、無理のない形で社会とつながること――それが、女性のASDにとって現実的で優しい対処の第一歩ではないでしょうか。