うつ病で現在休職中の方、またはそのご家族から「しっかり休めば自然に職場に戻れますか?」というご質問を受けることがあります。結論からお伝えすると、「休養だけでは復職は難しいことが多く、復職前には“リハビリ”が必要です」とお答えすることになります。
今回は、うつ病における休職の意味や、休養から復職までに必要なステップについて詳しく解説していきます。
うつ病は「落ち込み」「無気力」「不安感」などの症状が続く、脳の不調です。特に、セロトニンなどの脳内神経伝達物質のバランスの乱れが関係していると考えられています。治療の三本柱は、
とされています。
うつ病は「心の問題」ではなく、れっきとした医学的な疾患であり、しっかりとした治療が必要です。
働く方がうつ病になると、仕事を続けながら治療を受けることは、実際には非常に難しいのが現実です。
多くの方は、仕事をこなしながらだと「十分な休養」がとれず、薬の効果も出にくく、症状が長引いたり悪化したりすることがあります。そこで、心身をストレスから切り離すために休職が勧められるのです。
休職の期間には個人差がありますが、一般的には3か月程度を目安とすることが多いです。ただし、必ずしもこの期間で回復するわけではなく、症状や体力の回復に応じて前後します。
休職の主な目的は、
などです。

休職して間もない初期段階では、まず「何もしない」「ゆっくり過ごす」という休養そのものが重要です。ただし、うつ病の特徴として「何もしないこと」への罪悪感や不安が強く出る方が多く、休むことにすら抵抗を感じてしまうこともあります。
このような場合には、
など、「休める状況を整える」ことが非常に大切です。
十分な休養が取れてくると、
といった変化が出てきます。
ここでよくある質問が、「しっかり休んだら復職できますか?」というものです。
実は休養だけでは復職は難しいと考えられています。なぜなら、回復した状態はあくまで「ストレスがない環境での安定」であり、職場というストレスのかかる状況で同じように安定を保てるとは限らないからです。
復職後に再発(再燃)してしまう方も少なくありません。そのリスクを下げるためにも、「ストレスがある状態でも再発しない心身」をつくっていく必要があります。
復職にあたって求められるのは、単に「症状が軽くなった」だけではありません。以下のような条件が満たされていることが理想です。
特に、元の職場に復帰する場合は、以前と同じストレスに再び向き合うことになります。そのストレスに対して心理的な整理ができているかが、復職の成否を大きく左右します。
うつ病の休職リハビリは、段階的に進めることが重要です。おおまかに以下のようなステップがあります。
【中期】活動を少しずつ増やす段階
十分に休んだ後、次は活動量を増やす練習が始まります。最初は簡単な家事や短時間の外出などから始め、疲れが翌日まで残らないレベルで徐々に増やしていきます。
急に活動を増やすと「オーバーワーク」で逆効果になるため、ゆっくり、毎日少しずつが基本です。まずは本来の7割程度の活動が安定してこなせる状態を目指します。
【後期】仕事に向けた準備段階
活動に慣れてきたら、次は実際の仕事に近い環境でのリハビリに移ります。例えば、
といった内容です。また、必要に応じて職場と相談し、異動や業務内容の調整など、環境面のサポートも検討していきます。

「復職の準備を一人でするのは不安」「何をどうすればいいかわからない」という場合には、リワークプログラムの活用が有効です。
リワークプログラムとは?
病院や専門施設などで行われる復職支援の通所プログラムです。週3~5日、グループでの活動を通じて「心と体のリハビリ」を行っていきます。
活動内容の例:
専門家が伴走する形で進めていくため、孤独感が和らぎ、再発防止の視点も持ちながら復職準備を整えることができます。
焦らず、しかし確実に回復を目指し、安心して復職できる状態を一緒に整えていくことが大切です。