躁うつ病療養のコツ6つ【気分の逆など自己対処しつつ葛藤を整理】

躁うつ病療養のコツ6つ

躁うつ病、あるいは双極性障害は、適切な治療によって安定を目指すことが可能な疾患です。しかし、治療の過程は長期に及ぶことが多く、再発のリスクにも常に注意が必要とされます。本稿では、そうした状況のなかでも、自分らしい人生を主体的に歩んでいくための「躁うつ病と付き合いながら日々を過ごすための6つの療養のコツ」をご紹介いたします。

気分とは逆の行動を意識する

気分とは逆の行動を意識する

最初にご紹介するのは、「気分の逆をする」という考え方です。これはすなわち、うつ状態のときにはあえて動くようにし、躁状態のときには意識的に休息をとるという方法です。

気分と行動には密接な関係があります。一般に、身体を動かすことは気分を上向きにさせる傾向があり、逆に何もせずに過ごしていると気分は下降しやすくなります。つまり、自然な気分に任せて行動すると、うつのときはさらに動かず、躁のときには動きすぎてしまうのです。その結果、症状が悪化してしまうことがあります。

したがって、うつのときには少しでも動く努力を、躁のときには無理にでも休むように心がけることが重要です。とはいえ、うつの最中には「動いたほうが良い」と理解していても、身体がどうしてもついてこないこともあります。そうした場合には、自分を責めることなく、まずはしっかりと休養をとることが大切です。そして、状態が少し落ち着いたときに動くきっかけを探すとよいでしょう。

生活リズムを整える

生活リズムを整える

次に大切なのは、「生活リズムの安定」です。これは気分の安定のための基盤であり、特に躁うつ病においてはリズムの乱れが症状の悪化に直結するため、非常に重要なポイントです。

躁状態の際には活動が過剰となり、睡眠時間が短くなったり、夜遅くまで起きている生活になりやすい傾向があります。一方、うつ状態では逆に過眠になったり、考えが止まらず不眠に陥ることもあり、昼夜逆転が固定されてしまうと、さらに活動しにくくなり、うつ状態が長引いてしまうこともあります。

このような悪循環を断つためにも、できる限り一定の時間に起床し、日中に活動し、夜には就寝するというリズムを保つことが大切です。また、日常生活の中で刺激を減らし、過剰な興奮やストレスを避けることで、躁への移行を防ぎ、うつの予防にもつながります。

薬物治療を継続する

薬物治療を継続する

気分が安定してきたとしても、薬の服用は継続する必要があります。多くの方が「症状が良くなったから薬をやめてもよいのでは?」という疑問を持たれますが、これは非常に危険な考え方です。

気分安定薬には、症状を緩和するだけでなく、再発を防ぐという大きな役割があります。服薬を中断してしまうと、再発のリスクが高まるだけでなく、再発した際の症状が非常に重くなることもあります。その結果、社会生活や人間関係に深刻な影響を及ぼすこともあります。

特に軽躁状態のときは、本人が「自分はもう治った」と感じやすく、自己判断で服薬を中止してしまうことが少なくありません。しかし、軽躁状態から躁状態へ進行したり、逆に重度のうつ状態へ転じてしまうリスクがあるため、自己判断での中断は避け、必ず主治医と相談の上で対応するようにしましょう。

「軽うつの安定」を受け入れる

治療が進み、症状が落ち着いてきたとき、多くの場合は「軽うつ」と呼ばれる状態で安定します。これは、以前の軽躁状態のような高揚感はないものの、日常生活には支障のない比較的穏やかな状態です。

しかし、軽うつの状態は、時として「物足りなさ」や「以前の自分とは違う」という違和感をもたらすことがあります。これが続くと、病気や治療そのものを受け入れる気持ちが揺らいでしまい、軽躁への憧れが強まる傾向があります。

けれども、軽躁状態は表面的には心地よくても、内実は非常に不安定で、躁状態や重いうつ状態への移行が生じやすい危険な状態です。したがって、「今の安定した自分」を受け入れ、その中でできることを少しずつ増やしていくことが大切です。過去の自分と比べるのではなく、現在の自分を土台にして生きる姿勢が、長期的な安定につながります。

長期的な治療を前向きに受け入れる

双極性障害は、基本的に長期的な治療が必要な疾患です。しかし、それは「ずっと変わらない」ということではありません。むしろ、治療を継続することで、社会的な適応力や生活の質を大きく向上させることができる可能性があります。

実際に、再発を繰り返すことによって仕事を失ったり、社会生活から離脱せざるを得ない状況が生まれることがあります。これにより自己肯定感が低下し、さらなる悪循環を招くこともあります。特に治療中断によって起こる再発は、強い症状とトラブルを伴うことが多く、長期的な予後に深刻な影響を及ぼすことがあります。

そうした状況を防ぐためにも、病気や治療と真摯に向き合い、少しでもリスクを減らすための対策を地道に続けていくことが大切です。

制御困難な時は早めに入院を検討する

最後にお伝えするのは、「制御困難な場合には入院も視野に入れる」ということです。強い躁やうつの再発は、本人だけでなく周囲の人々にも大きな影響を与えることがあり、その結果として生じる自己否定や後悔は、回復後も長く続くことがあります。

こうした状況を避けるためには、セルフケア(気分の逆をする、生活リズムを整えるなど)を基本としつつ、状況に応じて環境調整や医師との相談を通じて早めに対策を講じることが重要です。それでも難しい場合には、早期に入院して安全を確保し、症状が悪化する前に治療を進めることで、むしろ早期の社会復帰につながることも少なくありません。

特に軽躁状態のときは、「入院するほどではない」と本人が感じやすい傾向があります。しかし、そうしたときこそ注意が必要であり、先々のトラブルや長期的な予後の悪化を防ぐためにも、周囲や医療者の助言を踏まえて冷静に判断することが求められます。

まとめ

躁うつ病(双極性障害)の療養において大切な6つのコツを以下にまとめます。

  1. 気分の逆を意識して行動する
  2. 生活リズムを整え、日常を安定させる
  3. 治療薬は安定後も継続する
  4. 軽うつ状態を「安定」として受け入れる
  5. 長期治療を前向きに捉え、継続する
  6. 制御が難しい時は早めの入院も検討する

躁うつ病と共に歩む人生には多くの困難が伴いますが、そのなかでも「今の自分にできること」を大切にしながら、主体的に日々を送ることが大きな力になります。長い療養生活の中で揺らぐこともあるかもしれませんが、焦らず、少しずつ、確かな一歩を重ねていくことが、未来につながる確かな道となるはずです。