~更年期障害・PMSに悩む方へ~
現代の心療内科や精神科では、抗うつ薬や抗不安薬などの西洋薬に加えて、漢方薬を選択肢の一つとして用いる場面が増えてきています。特に、ホルモンバランスの変化が心身にさまざまな影響を与える「更年期障害」や「月経前症候群(PMS)」の治療においては、漢方薬が有効なサポートとなることがあります。
今回はその中でも、「体力がある女性の更年期障害」や「PMS」の治療にしばしば用いられる漢方薬「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」について、詳しく解説していきます。
桂枝茯苓丸は、体力が比較的ある方に処方されることの多い漢方薬で、主に更年期障害やPMS(月経前症候群)といったホルモン変化に伴う不調に用いられます。
この漢方薬は、「イライラ」「緊張」「不安」といった精神的な不調だけでなく、「頭痛」「肩こり」「のぼせ」「めまい」といった身体的な症状にも作用が期待されます。
桂枝茯苓丸が得意とする症状
このように、心と体の両方に働きかける漢方薬として、多様な場面で使われる薬です。
また、漢方薬全般にいえる特徴として、効果の発現は比較的穏やかで即効性は高くないものの、副作用が少なく、長期的に安心して使いやすいという点があります。

更年期障害やPMSは、いずれもホルモンの急激な変化によって起こる症候群であり、心身両面にわたる多彩な症状を呈します。以下、それぞれの特徴と治療法を簡単に見ていきましょう。
■更年期障害とは
更年期障害とは、閉経を挟んでホルモンバランスが大きく変化することで起こる不調です。代表的な症状には、以下のようなものがあります。
■PMS(月経前症候群)とは
PMSとは、生理の1~2週間前にホルモン変化を背景として起こる症状群です。主な症状には、
などがあり、日常生活に支障をきたすこともあります。
■治療法の選択肢
更年期障害やPMSの治療では、以下のような薬剤が使われることがあります。
| 治療法 | 特徴 |
| 抗うつ薬 | セロトニンの調整を通じて、うつ症状や自律神経症状を改善 |
| 抗不安薬(ベンゾジアゼピン系) | 即効性があり不安・緊張に効果。依存・耐性には注意 |
| タンドスピロン | 依存性が少ない抗不安薬。眠気が出ることがある |
| ホルモン療法 | 更年期にはホルモン補充療法、PMSにはピルの使用。効果が強く、適応の確認が必要 |
| 漢方薬 | 心身の症状に対して穏やかに作用。副作用が少ないが効果発現に時間がかかる |
このように、西洋薬と漢方薬はそれぞれにメリット・デメリットがあるため、患者さんの体質や症状の程度に合わせて使い分けることが大切です。
更年期障害やPMSの治療では、以下の「三大漢方薬」がよく使われます。
①桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
②加味逍遙散(かみしょうようさん)
③当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
漢方薬は「体質」との相性が非常に重要です。同じ更年期障害でも、症状の出方や個人の体力・体質によって適する薬は異なります。そのため、専門医と相談しながら、適切な漢方薬を選ぶことが大切です。

■副作用について
桂枝茯苓丸は比較的安全性の高い漢方薬とされていますが、以下のような副作用の可能性はあります。
とはいえ、副作用の頻度は西洋薬と比べるとかなり低く、長期的に使いやすい薬剤です。
■服用方法
効果が実感できない場合や副作用が出た場合は、他の漢方薬や治療法への切り替えを検討します。また、「待てないほどつらい」場合には、即効性のある西洋薬を併用することも一つの選択肢です。
桂枝茯苓丸は、更年期障害やPMSに悩む体力のある女性にとって、有効性の高い漢方薬の一つです。
身体症状(頭痛、肩こり、めまい)に加えて、精神症状(イライラ、不安)にも穏やかに働きかけてくれます。
副作用が少なく、長期的に使用しやすいというメリットがある一方で、効果の発現には時間がかかることもあります。そのため、急性期のつらい症状には西洋薬との併用を検討するのも良いでしょう。
心と体に優しく寄り添ってくれる漢方薬。自分の体質や症状に合わせて、無理のない形で取り入れていけると良いですね。気になる方は、心療内科・婦人科・漢方内科など、専門医への相談をおすすめします。