うつ病の人が見る6つの変な夢【悪夢障害】

こんにちは。今回は、うつ病の方がよく見ると言われる
「ちょっと不思議で、時に苦しくなる夢」についてお話ししてみたいと思います。

うつ病を抱えている方とお話ししていると、

「最近、毎晩のように同じ夢を見てしまって…」
「夢の中で追い詰められて、朝からぐったりするんです」


という声を聞くことがあります。夢は無意識の中にある感情や
記憶が映し出されるとも言われますが、ときには心の状態を
そっと教えてくれるサインかもしれません。

今回は、実際によく聞かれる「うつ病の人が見がちな夢6つ」をご紹介しながら、
その背後にある心理状態やケアのヒントについて、精神科医の視点から考えてみたいと思います。

1. 落ちる・溺れる・動けない夢

高いところから急に落ちる、大量の水に飲み込まれて溺れる、
あるいは体が動かず狭い場所に閉じ込められてしまう――。

こういった夢は、うつ病の方がよく見るパターンの一つです。

これらの夢には共通点があります。それは「自分の自由が奪われている感覚」です。

落ちる、溺れる、動けない

――そんな状態は、自分ではどうしようもできない、先が見えない、
コントロールを失っているという不安の象徴とも言えます。

興味深いのは、一度このタイプの夢を見始めると

「毎回同じような夢を繰り返す」


ことが多い点です。

人それぞれ、不安の感じ方や恐怖の対象には個人差がありますが、
夢はその人の“心のくせ”を映し出す鏡なのかもしれません。

2. お化けに追いかけられる夢

「顔のないお化けが、どこまでもどこまでも追いかけてくるんです……」

このような夢に悩まされている方も多くいらっしゃいます。
毎晩、逃げても逃げても追ってくる存在。
恐怖と焦燥に満ちたこの夢は、うつ病の「不安性の苦痛」を象徴していることがあります。

日中、うまく休めない、けれど何かしなきゃと焦る気持ち。
現実でも「何かに追われている」ような感覚がある方ほど、この夢を見る傾向が強いように感じます。ひどくなると、眠るのが怖くなってしまい、寝つきが悪くなったり、
睡眠の質が低下してしまうことも。

こういった夢は、実は「助けてほしい」という心のSOSでもあります。

こういった夢は、実は「助けてほしい」という心のSOSでもあります。

3. 仕事が終わらない夢

「仕事してもしても終わらない。一生この仕事続くの?……あ、夢だった……」

うつ病を抱える方の中には、「終わりのない仕事」の夢を繰り返し見る方がいます。これは、過去の職場体験などが印象に残っている場合もありますが、それだけではありません。

夢の中での「仕事」は、実際の仕事内容とは限らず、

「やらなければならない義務」
「プレッシャー」


を象徴していることも多いのです。

つまり、

「何かにずっと追われている」
「ずっと頑張り続けなければならない」


という心理状態が、夢に現れているのかもしれません。

心のどこかにある

「もう休みたい」
「でも止まれない」


という気持ち。夢の中でまで頑張ってしまっていることに、胸が痛くなります。

4. 目的地にたどり着かない夢

「どれだけ歩いても、どれだけ電車に乗っても、目的地にたどり着かない……」
「そもそも、どこに向かっていたんだっけ?」

こんな夢を見たことはありませんか?これは、うつ病による“虚無感”や“将来への希望が見えない感覚”が、夢の中に投影されているとも考えられます。

目の前の現実がつらく、出口が見えない――
そんな状態が長く続くと、夢の中でも

「目的地にたどり着けない」
「頑張っているのに報われない」


といった象徴的な体験を繰り返すことがあります。

実際にこの夢を見て、「朝起きたら、もう何もしたくなくなった」と話される方もいます。今のあなたが、どれほど苦しい中を必死に歩いてきたか。そんな気持ちに寄り添いたくなる夢です。

5. 故郷に帰る夢

「子どものころは楽しかったなぁ……なんで、こんなふうになってしまったんやろ」

うつ病の方の中には、

「故郷に帰る」
「昔の実家に戻る」
「子ども時代に戻る」


といった夢を見る方もいます。これは、現実のつらさから逃れたい
という気持ちや、「やり直せるなら最初からやり直したい」という思いが
投影されていることがあります。

一見ノスタルジックな夢ですが、

「今の自分には何も価値がない」
「昔の方がよかった」

といった自己否定的な感情が背景にあることも少なくありません。

この夢を見た方には、

「あなたはあなたなりに、今まで本当によく頑張ってきたんですよ」

と伝えたくなります。夢の中で過去を見つめることが、少しでも癒しになればと願っています。

6. 死を迎える夢

「死ぬのは怖いはずなのに、なぜか安心してしまったんです……」

最後にご紹介するのは、少し重たいテーマですが「死を迎える夢」です。中には、
事故や事件のように激しい場面の夢もあれば、静かに穏やかに死を迎える夢を見る方もいます。

この夢は、心が深く疲れて

「すべてをリセットしたい」
「もう楽になりたい


と願っている気持ちが背景にあることもあります。

特に、死に際が“妙に穏やかで、安心してしまった”と感じた方の場合、それが逆に希死念慮
(死にたい気持ち)を助長してしまうケースもあります。

だからこそ、「夢だから大丈夫」と軽く済ませるのではなく、現実の生活の中で
少しずつ安心できる時間や人間関係を取り戻していくことが大切です。

さいごに:夢は、こころの声かもしれません

さいごに:夢は、こころの声かもしれません

夢には不思議な力があります。それは時に、私たちの心の奥底の感情を映し出す鏡のようなもの。

今回ご紹介した6つの夢は、どれも「うつ病」の方が現実の中で
感じている苦しさや不安、孤独、疲れを象徴している可能性があります。

もちろん、夢の内容だけで病気の状態を判断することはできませんし、
怖い夢を見たからといって病状が悪化しているとは限りません。

ただ、夢が心のコンディションを知らせる“ひとつのヒント”になってくれることもあるのです。

もし、この記事で紹介したような夢を繰り返し見ていて、日常生活に支障が出ているようでしたら、
無理せず信頼できる人や医療機関に相談してみてくださいね。

夢の話も、心の話も、一人で抱え込まずに話せる場所が、きっとあなたの近くにもあります。