こんにちは。
今日は少し不思議な、でも大切なテーマ。
「双極性障害の人が見る夢」について、
少し詳しく掘り下げてみたいと思います。
双極性障害の方は、気分の波だけでなく
「夢」の世界にも特徴的な変化が見られることがあります。
もちろん夢は人それぞれで、個人差も大きいのですが、
それでも共通するパターンや印象深いエピソードは少なくありません。
今回は、臨床現場や当事者の体験談から見えてきた、
双極性障害の方が見がちな「変わった夢」を6つご紹介します。
「夢なんて関係あるの?」と思うかもしれませんが、
夢は心の奥にある感情や思考を映し出す鏡。
ぜひ最後まで読んでみてくださいね。

「最近、夢を見た記憶がない」
実はこれ、双極性障害の
“躁状態”や“軽躁状態”
にある方に、かなり多い現象なんです。
どういうことかというと、躁状態にあるとき、
多くの方は眠気がほとんどなくなります。
エネルギーが高まりすぎて、ずっと活動を
続けてしまい、「倒れるように寝る」なんてことも。
このときの睡眠は、いわば強制終了のような深い眠り。
脳がフル稼働して疲れきった後に、
突然スイッチが落ちるように眠るので、
夢を見るレム睡眠の時間がほとんどないんですね。
さらに、躁状態のときは「寝ること自体が無駄」
と感じてしまうこともあるため、
「夢?そんなもん見た覚えないわ!」
と、バッサリ言われてしまうことも。
でも実はそれこそが、躁状態の特徴を
よく表している“夢のない夢”なのかもしれません。

躁状態や軽躁状態のときに、
まれに夢を語ってくれる方がいます。
そんなときによく聞くのが、
「自分が世界の中心にいるような壮大な夢」。
たとえば、
といったような、まさに「全能感」に満ちた内容が多いです。
これは、現実でも躁状態になると自己評価が極端に
上がることと関係していると言われています。
もちろん夢の中でも気分は高揚し、目覚めても
爽快な気持ちでいられることが多いのですが、
このような“ポジティブな夢”も、躁状態が終わると
共に見られなくなっていくのが常です。
夢は現実の延長。現実での
「過活動」が夢にまで入り込んでいる、
そんなイメージかもしれませんね。

一方、うつ状態に入ると、
夢の印象はガラリと変わります。
多くの方が、
「大切なものを失ってしまう夢」
を見ることが増えてくるのです。
たとえば…
こうした夢を繰り返し見ることで、目覚めた後も
しばらく気分が重くなってしまいます。
特に印象的なのは、夢の中での喪失感があまりにもリアルで、
「自分は何も守れない無力な存在だ」
と感じてしまうこと。
それによって、自責の念が強まり、現実でも
自己否定のスパイラルに陥る方も少なくありません。
夢そのものがつらいというよりも、
夢の中で感じた感情が、現実の自分をさらに苦しめる。
うつ状態特有の“感情の共鳴”が、
こんなところにも現れてくるんですね。
うつ状態のとき、
もうひとつよく見られるのが、
「誰かに責められる夢」
です。
相手はさまざまで…
などなど。
現実ではありえないようなシーンも多いのに、
不思議なことに、夢の中では強いリアリティを伴います。
健康な心であれば、目が覚めた後に
「夢だったから」
と受け流せることも多いですが、
うつ状態が深くなると、
「夢の中でまで責められるなんて、私は本当にダメなんだ…」
と感じてしまうことも。
これは「微小妄想」や「罪業妄想」といった、
うつの中でも比較的重い症状とつながることもあり、
夢の中の責めを現実の自分にまで
引きずってしまう方も少なくありません。
夢にまで自分を責められてしまう
そんなときこそ、
「治療の助けが必要なサイン」
かもしれません。
慢性化したうつ状態の方からよく聞くのが、
閉塞感を象徴する夢です。
たとえば、
これらは、明確な恐怖というよりも、
「終わりがない」
「抜け出せない」
という苦しさをともないます。
とても静かで、だけどどこまでも苦しい、そんな夢です。
現実の中でも、先が見えない不安や、出口のない状態に苦しんでいるとき。
心がその苦しさを夢というかたちで“見せてくる”ことがあるんですね。
このような夢は、心の限界を知らせてくれるサインでもあります。
今の現実に感じている閉塞感を、少しでも軽くしてあげることが、
夢の内容にも変化をもたらすはずです。
最後に、少し希望のある夢についても触れておきましょう。
双極性障害の治療が進み、うつ状態から回復期に入ってくると、
夢の中にも変化が現れてくることがあります。
たとえば…
そんな夢を見るようになってくることもあるんです。
夢って、そもそも意味不明でヘンテコなもの。
でも、それを「怖い」と感じるか、
「なんか変だけどまぁいっか」と流せるかは、
起きているときの精神状態に大きく左右されます。
つまり、夢に対する感じ方が変わってきたということは、
心が少しずつ回復してきている証拠。
夢そのものが“心の回復バロメーター”になることもあるのです。
双極性障害の方が見る夢には、気分状態が色濃く反映されています。
夢の中の出来事がそのまま診断につながるわけではありませんが、
夢が心の状態を映し出す鏡であることは確かです。
今つらい夢を繰り返し見ている方も、それは心がSOSを
出しているサインかもしれません。
適切な治療を受け、回復が進んでくると、
夢の内容も、夢に対する感じ方も変わってくる
ことがあります。
夢も現実も、少しずつ、少しずつ。
焦らず、一緒に整えていきましょう。
あなたの心が、今よりほんの少しだけでも、
安らぎのある夜を迎えられますように。
「また不思議な夢を見たら、ここに戻ってきてくださいね。」