前頭側頭型認知症とは?行動や性格の変化が現れる認知症の特徴と対応法
認知症と聞くと、多くの人が「物忘れ」を思い浮かべるかもしれません。しかし、認知症の中には記憶障害が目立たず、性格や行動の変化が顕著に現れるタイプも存在します。その一つが「前頭側頭型認知症」です。本記事では、この認知症の症状や原因、診断基準、対応法について詳しく解説します。
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉および側頭葉が障害されることによって引き起こされる認知症の一種です。この疾患では、記憶障害は初期にはあまり見られないものの、性格や行動、言語機能に大きな変化が現れます。

主な原因は「タウタンパク」などの異常タンパク質が脳内に蓄積し、神経細胞を障害・萎縮させることとされています。これにより前頭葉や側頭葉が担う実行機能や社会性、言語能力が損なわれ、生活に著しい影響を及ぼすようになります。
日本における患者数は約12,000人とされており、認知症全体の中では稀なタイプです。発症の平均年齢は55歳前後で、40代など比較的若い年齢での発症も見られ、「若年性認知症」の代表疾患でもあります。
前頭側頭型認知症の症状は、大きく分けて以下の4つが特徴的です。
診断には、DSM-5の基準が用いられることが多く、認知症であることを前提に、次の条件が満たされている必要があります。
特に行動障害型では、「脱抑制」「アパシー」「共感の欠如」「常同的行動」「食行動の変化」などのうち、3つ以上の症状が確認される必要があります。
他の認知症(アルツハイマー型など)や神経難病、精神疾患との鑑別が重要であり、症状の経過観察、心理検査、画像診断(MRI、CTなど)を組み合わせて診断を確定します。
前頭側頭型認知症に対して、根本的な治療薬は存在しません。しかし、適切なケアとサポートによって、本人と家族の生活の質を維持・向上させることが可能です。

薬物療法
抗認知症薬(ドネペジルなど)は効果が乏しく、逆効果となる場合もあるため基本的には使用されません。一方、以下の薬が補助的に用いられることがあります。
非薬物的介入と生活支援
前頭側頭型認知症は、厚労省によって「特定疾患」に指定されており、診断が確定すれば「難病指定医療費助成」や「若年性認知症」としての介護保険利用が可能になります。

前頭側頭型認知症は、記憶障害が目立たないために見過ごされやすく、衝動的な言動や社会的マナー違反などでトラブルを起こしやすい疾患です。
この病気についての正しい理解と柔軟な対応が、本人と周囲の生活を守る大きな鍵となります。