今回は、発達障害が抱く深い劣等感について解説していきます。
劣等感は、日常生活でも自分の感情を表す言葉として多く使われていますが、その本質は「自分を他人と比較し、自分が劣っていると感じること」にあります。
劣等感は、あくまで自分自身が主体的に感じる感情であり、他人が直接的に評価するものではありません。
たとえば、AさんがBさんに対し「劣っている」と指摘しても、Bさんが自分をそう感じなければ劣等感は生じない、ということです。

発達障害を持つ方は、育ってきた環境や周囲との関わり、特性によるつまずきから、劣等感を抱えやすいといわれています。
劣等感が強いと、不安感が募り、自信を持てず、自分を責め続けてしまうこともあります。
ここでは、発達障害の方が深い劣等感を抱きやすい理由を3つのポイントに絞って解説します。
劣等感を抱える原因について理解を深め、自分を受け入れるきっかけとして一緒に考えていきましょう。
1. 特性によるつまずき
発達障害の方は、周囲の人が難なくできることに特性上の理由でつまずくことがあります。
たとえば、会話の要点をうまくまとめられないことで、電話対応や指示の引き継ぎがスムーズにいかなかったり、ASDの方であれば特定のことにこだわりすぎて、他の作業に切り替えるのに苦労することがあります。
ADHDの場合も、注意散漫で作業に集中できないなどのつまずきが起こりやすいでしょう。
このような「周りにはできるのに自分はうまくできない」という状況が頻繁にあると、否応なく自分と他人を比較し、劣等感を抱きやすくなります。
もちろん本人に悪意があるわけではなく、むしろ努力を重ねていますが、それでも特性上のつまずきは避けられないことが多いため、周囲からマイナスに見られがちです。
その結果、本人は「自分だけが取り残されている」という感覚を抱くことが多くなります。
2. 過去の嫌な記憶がよみがえる
発達障害の方は過去の嫌な記憶が強く残りやすく、ふとした瞬間に蘇ってしまうことがあります。
たとえば、職場の人たちと打ち解けようとしたときに、学生時代にグループの中で浮いてしまった経験を思い出したり、新しい作業に取りかかる前に以前の失敗が頭をよぎって緊張してしまうことがあります。
この特性が強く出てしまったのが、ASDを持つ「アスカさん」の体験です。
彼女は以前の職場で厳しい言葉や冷たい態度に傷つき、心身の不調から退職しましたが、転職後もその記憶が心に残り、新しい環境でも「自分だけが会話に入れない」と感じてしまい、劣等感を強く感じることがあるといいます。
このように、過去の記憶が蘇ることが、劣等感の原因となる場合が多いのです。
3. 周囲からの否定的な言葉
発達障害の方は、特性による失敗やつまずきが幼少期から多く、その分、周囲から注意や否定的な言葉を浴びる機会が多くなりがちです。
特に幼少期に親からの厳しい言葉や、兄弟と比較されることで「自分は努力しても無駄だ」「頑張っても報われない」と感じてしまうことがあります。
また、学校や社会に出てからも「何をしてもだめだ」「もう少し普通にやればいいのに」など、心に深く残る否定的な言葉が劣等感を形成する要因となります。
こうした言葉の積み重ねが「自分はどう頑張っても他人より劣っている」と感じさせ、自己評価を下げ、劣等感を抱きやすくしているのです。
いかがでしたでしょうか。
ここからは、劣等感を少しでも軽減し、上手く付き合っていくための工夫を3つご紹介します。
① ストレスをためない習慣
ストレスが溜まると、劣等感がさらに大きくなりがちです。
そこで、自分のペースで続けやすい運動習慣を取り入れるのがおすすめです。
ジョギングやウォーキングなど、体を適度に動かすことで心身がリフレッシュします。
また、太陽の光を浴びながらの散歩も有効です。太陽を浴びると「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンが分泌され、気持ちが安定しやすくなるといわれています。
② 睡眠をしっかりとる
意外と見落としがちなポイントですが、十分な睡眠はストレスを軽減し、劣等感にも対処しやすくなります。
おすすめの方法の一つは、自分に合った寝具を見直すことです。
たとえば、自分に合った枕を選んだり、快適な布団を取り入れるだけで、睡眠の質が大きく変わります。
快適な睡眠を確保することで、翌日の心の状態がリセットされ、前向きな気持ちを保ちやすくなります。
③ 劣等感をプラスに考える

劣等感はネガティブに感じられがちですが、成長と向上心の表れでもあります。アドラー心理学で有名なアルフレッド・アドラーも「劣等感は健康で正常な努力と成長の刺激」と述べています。
劣等感があるということは、現状を改善したい、自分を高めたいというポジティブな気持ちが根底にあるのです。
たとえば、職場で他の人がうまくできていることを見て劣等感を抱いたときには、「これは向上心の表れだ」と捉えてみてください。
このように劣等感をプラスに変換することで、必要以上に自分を責めることが減り、自己成長にもつながるでしょう。
発達障害が抱く劣等感は、「特性によるつまずき」「過去の嫌な記憶」「周囲からの否定的な言葉」が原因となることが多いです。
自分と他人を比較して感じる劣等感を完全に消すのは簡単ではありませんが、これまで精一杯頑張ってきた証でもあります。
少しずつ自分のいいところを見つけ、ポジティブな未来に向かって進んでいきましょう。
日常生活では指摘や注意を受けることが多く、自分を褒める機会が少ないものです。
そこで、自分で自分を褒める習慣をつけてみましょう。
例えば「今日は家事を頑張った」「精一杯仕事をやり遂げた」など、SNSや日記に書いてみるのもおすすめです。
これにより自分を認めることができ、必要以上に自分を追い込むことが減ることが期待されます。