自閉スペクトラム症の「三つ組」以外の重要な特性!

ASDの人々への支援は、自閉症の特性を正しく理解することから始まります。

ローナ・ウィングの「三つ組」症状は、今回触れる特性の多くを含む広い概念であることを再確認しましょう。

聴覚過敏

自閉症スペクトラムの人の中には、音に敏感に反応する人がいます。
赤ちゃんの泣き声やトイレのジェットタオルの音を嫌がり、耳をふさぐことがあります。
彼らにとっては、爪でガラスをこする音のように感じられるのかもしれません。
無理に慣れさせようとすると、かえって症状を悪化させることが多いため、回避方法を教えることが大切です。

触覚過敏

冬でも長袖を着たがらない人、帽子や靴下をすぐに脱ぎたがる人、下着のタグが首に当たるのを嫌がる人、少しでも服が濡れるとすぐに着替えたがる人、大好きな相手でも握手をしない人などがいます。
気圧の重さが気になる人もいます。

痛覚過敏

痛みに非常に敏感な人がいる一方で、痛みをほとんど感じないように見える人もいます。
痛がっていないのに、レントゲンを撮ると骨折していたこともあります。
治りかけた傷口のかさぶたを剥がしてしまい、傷が治りにくい人も多いです。

味覚過敏

味覚に敏感な人がいて、同じ店のカレーでも曜日によって味が違うことを言い当てる人もいます。
逆に、味覚が鈍感で醤油を大量にかける人もいます。味覚だけでなく、匂いに敏感なために食べられない人もいます。偏食の支援では、感覚特性を考慮して無理な指導を避けることが重要です。

他の感覚特性

臭いに敏感な人がいます。そのため、魚屋や病院の消毒臭が原因で入れないことがあります。
他人の体臭が気になって近づけない人もいます。また、暑さに弱く、外気温が上がると体温も上がる人もいます。エアコンなどの配慮が必要です。
視覚情報に強いと言われるASDの人々ですが、視覚過敏で交通信号やレーザーポインターが目に痛いと感じる人もいます。予測のつかない動きに恐怖を感じやすい人もいます。

注意すべきことは、自閉症スペクトラムの人々の感覚の特異性が理解されないと、彼らが無理に何かをさせられることが増えるという点です。

特に問題になりやすいのは運動会などの行事の時です。
運動会が夏の暑さが残る9月か10月に開催される場合、まずは暑さ、そして聴覚過敏を刺激する
ピストルの音やマイクの音、放送の音楽、生徒たちの歓声などが彼らにとって辛く、
急な予定変更も多くなるため、この時期に不登校になる子が多いと言われています。
最近では、ピストルに詰める火薬の量を半分にしたり、ピストルを使わず笛を出発の合図にしたり、
ピストルから一番離れた位置から子供をスタートさせたり、耳栓の使用を許可するなどの工夫をする
学校も増えています。

また、離れたテントや空き教室を使って、カームダウンエリアを設ける学校もあります。それでも、この時期は多くの自閉症スペクトラムの子供たちにとって難しい時期であることを心に留めておく必要があります。

また、離れたテントや空き教室を使って、カームダウンエリアを設ける学校もあります。それでも、この時期は多くの自閉症スペクトラムの子供たちにとって難しい時期であることを心に留めておく必要があります。
カームダウンエリア

ASDの人たちの「空間の組織化」を助けるために、活動の場所とそこで行う活動を一対一対応させる「物理構造化」という技法をTEACCHでは用います。混乱したときや混乱しそうなときに、彼らが気持ちを整える場所として「カームダウン・エリア」を設けます。そこで気持ちを整えてから元の場所に戻るという配慮を行います。

また、細部や概念についての特性では、私たちが期待する部分を自閉症スペクトラムの人たちは見てくれないことがよくあります。例えば、園庭の写真カードを見て、普通は外遊びと理解するはずのところを、写真の隅に小さく写ったプールの一部を見てプール遊びと勘違いし、服を脱ぎ始めた子供もいます。木を見て森を見ないというのは、自閉症スペクトラムの人に見られがちな特性であり、誤解を招く可能性のある視覚情報はカットして提示する配慮が必要です。

また、概念についても混乱があります。ある子供は「お父さん」といえば自分のお父さんを意味すると考え、他の子がその子の父親を「お父さん」と呼ぶ意味がわかりませんでした。彼にとって「お父さん」は固有名詞のようなもので、父親という一つの属性でくくられる概念が理解されていなかったのです。

似た問題として、因果関係の理解の問題があります。自閉症スペクトラムの人は原因と結果のつながりを正しく捉えることが苦手です。例えば、良くないことをして叱られた場合、自分の行った先行行為と叱られたことを原因と結果として正しくリンクさせられなければ、心が穏やかではいられません。相手の意図が読めなければ、さらに誤解が生じることになります。

支援として、そのつながりを視覚的に示すことが有用です。怒っている子供にこれまで起きたことを、セリフ入りの絵と矢印で示すと、それを見て考えた後、「僕はこんなひどいことをしたのか」と泣き出す子供もいます。このような特性も念頭に置いて支援を考える必要があります。

時間と空間の組織化
時間と空間の組織化

私たちは物事には始めと終わりがあると理解していますが、自閉症スペクトラムの人たちはそれが難しいと言われています。具体的には、周囲や自分の状況を把握し、自分のいる場所を決めたり調整したりすることが苦手です。

また、道具や教材の場所を決めたり調整したりすることも苦手です。一つの場所を多目的に使うと、その活動のイメージが持てなかったり混乱する場合があります。

TEACCHの構造化は、彼らのこうした苦手をカバーするアイデアとして有用です。
具体的には、物の配置や活動の場所、範囲を明確に指示する、一つの場所を多目的に使わない、家具やマットで具体的に境界を定義する、必要な材料や道具を容器に入れる、材料や道具の配置を支持したテンプレートを活用するなどです。

般化の難しさ

自閉症スペクトラムの人たちは学んだことを別の場所に応用し、柔軟に活用することが苦手です。
例えば、飛び出しの多い子が迷子になり警察で名前と住所を聞かれたとき、家で練習したにもかかわらず正しく答えられなかったことがあります。それは警察の尋ね方が家で練習した言葉と少し違っていたからです。このように、彼らは文脈が少し変わっただけで学んだことを応用することが難しいのです。

支援者が自閉症スペクトラムの人々の特性を正しく理解しないと、彼らの不適切な行動の原因を正しく判断できず、行動を抑えるためだけの対策が取られがちです。その結果、薬物の使用頻度も高くなるでしょう。不適切な行動の多くは、自閉症スペクトラム自体の特性ではなく、支援のありようとの合作として起きるものです。

自閉症スペクトラムの人にすべての原因を求める考え方では、正しい問題解決にはつながりません。
強度行動障害の多くは支援者側の特性の理解不足によって引き起こされるものであることを理解する必要があります。

自閉症スペクトラムをどう理解するか、その出発点で子供の運命が変わります。
以上が、これまで述べてきたローナウィングの「三つ組」症状以外のその他の特性についてでした。