【危うい】双極性障害の人はこんな気持ちです5選【躁うつ病の人にしかわからない心の世界】

躁うつ病のきもち

双極性障害の人が感じやすい5つの気持ち

〜心の波に揺れる日々を抱えながら〜

双極性障害(躁うつ病)は、気分が高揚する躁状態と、気分が極度に落ち込むうつ状態を繰り返す病気です。その感情の振れ幅は非常に大きく、ご本人にとっては「自分らしさ」がどこにあるのか分からなくなるほど、心の在り方が大きく揺さぶられます。

今回は、双極性障害の方が抱えやすい5つの気持ちについて、丁寧に解説していきたいと思います。ご本人にとっても、ご家族や支援者にとっても、少しでも理解が深まるきっかけとなれば幸いです。

1. 「自分が二人いる」感覚

これは決して多重人格の話ではありません。双極性障害の特徴的な心の動きに関する、非常に切実な表現です。

躁状態や軽躁状態に入ると、エネルギーが過剰になり、気分が高揚し、行動力が増すなど、外から見ると「とても元気な人」に見えることがあります。しかしこの状態は、本人にとっても制御不能な場合があり、後から振り返ったときに「危険すぎた」と後悔を伴うことも少なくありません。

一方、うつ状態では、何をしても気力がわかず、「生きているのがつらい」「死んだ方がましだ」と思ってしまうほどの苦しみを抱えることもあります。

この二つの極端な状態を行き来するうちに、「元気すぎる自分」と「何もできない自分」という、どちらも本来の自分ではないような感覚にさいなまれ、「手に負えない自分が二人いる」と感じることがあります。結果として、「ちょうどいい自分」「自然体の自分」がどこにも見つからず、自己喪失感に近い感覚を抱くことがあるのです。

2. 「普通って何?」という疑問

普通ってなに

双極性障害を抱える方にとって、「普通の精神状態とはどのようなものか」が分からなくなってしまうことがあります。

特に、躁とうつを繰り返している方にとっては、少し気分が上向いても、「これは回復しているのか、それともまた躁に向かっているのか?」という不安にかられてしまうことがあります。

「この感情は本当に自分のものなのか?」
「今の私は落ち着いているのか、それとも危ない方向に進んでいるのか?」

そうした不安が続くと、「自分には本当の意味での寛解(回復)が訪れることなんてないのではないか」と絶望的な気持ちになることもあるかもしれません。

しかし、実際には適切な治療と支援を受けている双極性障害の方の半数以上が、寛解状態に達していることが分かっています。「普通」の状態は見えにくくとも、そこへ到達できる可能性はしっかり存在しています。どうか、その希望を手放さずにいていただきたいと願います。

3. 「人に頼れない」苦しみ

双極性障害の方の中には、過去に軽躁や躁状態の時に周囲に迷惑をかけてしまったという経験を持つ方も少なくありません。

その経験がトラウマとなり、仮に現在が寛解状態であっても、「また迷惑をかけるのでは」「今の自分を人に見せたら引かれてしまうのでは」といった不安から、他人に頼ることができなくなることがあります。

やがて、「一人で何とかしなければ」という思いが強くなり、苦しい状態にあっても支援を求めることができず、結果的に症状が悪化してしまうという悪循環に陥ることもあります。

そんな時には、信頼できる一人でも二人でもよいので、「今のあなた」に付き合ってくれる人を見つけてみてください。家族でも友人でも、支援者でも構いません。あるいは、医療・福祉の制度を活用する形でも大丈夫です。ほんの少しでも「頼る」ということを試していただくことが、悪循環を断ち切る第一歩となるかもしれません。

4. 「どうせ治らない」という諦め

双極性障害は、慢性の経過をたどる病気であり、治療は長期にわたることが一般的です。そのため、「一生このままなのでは」と感じてしまい、深い絶望に陥る方もおられます。

「ずっと治療が必要ということは、治らないということなのか?」
「この病気と一生付き合っていかないといけないのか?」

確かに、双極性障害は完治が難しいとされる病気ですが、寛解という「落ち着いた状態」を目指すことは可能です。そして多くの方が実際に寛解状態を維持しながら、家庭や仕事、趣味など、日常生活を取り戻しておられます。

薬物療法の最適化、生活リズムの安定、社会資源の活用などを通じて、「今のつらさを乗り越えることができる」可能性は確実にあります。ですから、「どうせ治らない」という諦めではなく、「今の状態を変えていける」という希望を持っていていただきたいのです。

5. 「今死んでも構わない」という心境

双極性障害は、気分の変動だけでなく、衝動性や希死念慮のリスクが非常に高い病気です。実際に、うつ病と比べて3倍以上の割合で自殺に至ってしまうという統計もあります。

しかも、これはうつ状態のときだけではありません。躁状態における衝動的な判断や、寛解状態にあっても消えない「なんとなく死にたい」「今死んでも別に構わない」といった消極的な自殺願望が影響する場合もあります。

この「死にたいわけじゃないけど、今死んでもいいかな」という心境は、非常に危険なサインであると同時に、本人の苦しさが言葉にならない形で表れているものでもあります。

双極性障害における過去の後悔や未来への不安は、確かに重く、深く、時に絶望を招くこともあります。しかし、寛解状態が続くことで、これらの感情は少しずつ薄れ、穏やかな生活が取り戻されることも事実です。今の苦しさが永遠に続くわけではないということを、どうか忘れないでいてください。

おわりに

ささえあい

双極性障害は、心の波が大きく揺れる病気です。けれどもその波の中で、「自分らしさ」や「普通」を見失ってしまっても、回復の道は確かにあります。

一人で抱え込まないこと、苦しさを否定しないこと、そして少しだけ希望を持ってみること。それだけでも十分な一歩になります。

双極性障害のある方が、自分の人生を安心して歩んでいけるよう、私たち一人ひとりが理解を深め、支え合っていける社会を目指していきたいものです。