【必見!】ASD自閉スペクトラム症のこだわりの正体とは?こだわりが強みになる理由と向き合い方について。ASD/ADHD/SLD・大人の発達障害

「譲れないこだわりとは何か?」
今回は、ASDの「こだわり」の正体について解説します。

ASD(自閉症スペクトラム症)には、例えば、言葉を文字どおりに受け取るために含意のある言葉を理解しづらかったり、場の空気や暗黙のルールを把握しにくいといった特徴がありますが、それに加えて「こだわりが強い」という特性も見られます。
こだわりの強さというと、例えば「コーヒーは必ずブラック」や「服は試着してから購入する」など、ASDの方に限らず誰にでも一つや二つ、自分なりの強いこだわりがあるものです。
では、ASDの人のこだわりとそうでない人のこだわりには、どのような違いがあるのでしょうか。

今回は、こだわりの正体について以下の順に解説していきます。

  1. ASDの人とASDでない人のこだわりの違い
  2. こだわりの強さがもたらす生きづらさ
  3. こだわりを強みにする方法
  4. こだわりとどのように向き合うか

自分のこだわりについて、さまざまな視点から考え、自分自身への理解を深めていきましょう。

1.ASDの人とASDではない人の「こだわり」の違い

結論を先に述べると、ASDの人は「心の移動」が難しい傾向にあります
では、心の移動とは何か、エピソードを通して説明します。

ASDの太郎さんは、休日の土曜日に妻と息子の3人で遊園地に行く計画を立てていました。
しかし、当日の朝、小雨が降り気温も低かったため、妻が「来週に変更しましょう」と提案しました。
ところが太郎さんはその提案に応じず、当初の予定通りに行こうとします。
このエピソードからわかるように、ASDの人は急な予定変更に対して心を切り替えるのが難しいことが多いのです。
太郎さんの中で「今日遊園地に行く」と予定を立てていたため、「来週行く」という新しい予定に心を移動させられなかったのです。
また、普段乗る電車が遅れると他の電車に乗り換えられなかったり、テレビのリモコンがいつもの場所にないだけで不快感を覚えてしまい、家族と衝突することもあります。
つまり、ASDの人とそうでない人の違いは、「心の移動」ができるかどうか、そしてそれによって社会生活に支障が出るかどうかです。

ASDの人が強いこだわりを持つ理由としては、「自分が予測できること」に対する安心感が大きいからです。
発達障害のある人の中には、新しいことや環境に強い不安を感じる方も多く、そのため予測できる範囲内で物事を進めたいと感じる傾向があるのです。
急な予定変更や予測外の事態が起きると、その安心感が崩れ、不安が増大してしまうのです。

まとめると、ASDの人とASDでない人の「こだわり」の違いは以下の2点です。

「心の移動」ができるかどうか
社会生活に影響が出るかどうか

2.こだわりによる生きづらさ

強いこだわりは、他者には理解されにくく、社会適応の障害にもなることがあります。
周囲からは「頑固」「融通が利かない」と評価されがちで、そのために人間関係の距離感が生まれ、関係をリセットする癖につながることもあります。
また、自分のこだわりを自覚している人が多いため、それを手放す葛藤に悩むこともあります。
頭ではこだわりを和らげたいと理解していても、実際には難しく苦しむ人も多いのです。
さらに、ASDの人には「白黒思考」が多く、物事を善か悪かで捉えがちなので、自己否定に陥りやすくなることもあります。
こだわりは心の安定剤のような役割も果たすため、急な変更や予期しない出来事が起きると不安が増大し、安心の拠り所を失ったように感じてしまいます。
このように、強いこだわりは他者に理解されにくく、また自分の中でも折り合いをつけるのが難しいため、生きづらさを感じる要因にもなるのです。

3.こだわりの強さは強みになる

ここまで、こだわりの強さにはネガティブな印象があるかもしれませんが、必ずしも悪いことばかりではありません。
強いこだわりはその活かし方次第で強みにもなります
まず、強みの1つ目は「探求心」です。ASDの人は興味の対象が限定的であることが多く、ある分野に対して強い興味を抱くことがあります。
例えば、国旗に関する知識や車の歴史について、専門家顔負けの知識を持っている人もいます。
このように狭く深く掘り下げることで、他の人にはない探求心を持つことができます。

次に2つ目の強みは「高い集中力」です。ASDの人は予測できることや慣れていることに安心感を覚えるため、変化を避けようとする傾向があります。
これを「同一性保持」と呼びます。
この特性は、裏を返せば同じことを続ける力に変わり、飽きやすい作業でも高い集中力を維持できます。
特に、マニュアル通りに進める仕事やルールに基づく作業では、安心して集中力を発揮できます。
基準が明確な仕事では、何をするべきかがはっきりするため、さらに集中しやすくなるのです。
人それぞれ特性の表れ方は異なりますが、こだわりの強さは環境や工夫次第で強みにもなり得るのです。

4.こだわりとの向き合い方

あるASDの方の意見に「こだわりの強さは、自分が納得できることを大切にしたい気持ちから来ている」との言葉があります。
人それぞれ異なる価値観を大切にしており、それ自体に良し悪しはありません。そのため、まずは自分のこだわりを受け入れること、また周囲もこだわりの強さを否定しない姿勢を持つことが重要です。
こだわりを強みとして伸ばせる環境を選び、活かしていくのも良いですし、社会生活に支障がある場合は、決して自分のパーソナリティが問題だと捉えず、対策を取ることが大切です。
たとえば、予定通りにいかない場合に備えて代替案を考えておく、予測できない出来事が起きた際に感じやすい感情とその対処法をあらかじめ整理しておくことも有効です。
特におすすめなのは、悲しいときには一人で過ごす時間を確保して冷静さを取り戻すことや、怒りを感じたときには信頼できる人に相談して気持ちを言葉にするサポートを受けることです。

いかがだったでしょうか。今回はASDのこだわりについてさまざまな視点から解説しました。
発達障害の特徴は人により異なるため、今回の内容が全てに当てはまるわけではなく、ASDかどうかを断定するものではありません

おまけ:熱中することで得られるもの

何かを成し遂げるには、目標達成までの道のりが必ずあります。
たとえば、プロ野球選手を目指す子供が野球部で練習に打ち込み、仲間と切磋琢磨して過ごすことで得られる経験は、彼にとって大きな財産となります。
このように何かに熱中することで得られることは多く、それ自体が学びとなります
熱中できることがある方は、楽しみながら自分を成長させているとも言えます。
ぜひ一度振り返ってみるのも良いでしょう。