今回は、自閉症スペクトラムに関係する行動上の課題について、強度行動障害という視点から解説いたします。
それでは、早速始めてまいりましょう。
現在、強度行動障害者支援の標準的な方法論はほぼ確立されていますが、それを実践できる事業所はまだ少ないのが現状です。
実践の場で標準的な支援がどの程度浸透しているかを振り返りながら、今回の記事をご覧いただければと思います。
自閉症スペクトラム支援と行動上の課題への対応は、歴史的に深く関わり合っています。医療、教育、福祉の分野では、古くから異常行動、不適応行動、問題行動、行動障害、行動問題といった言葉を用いて行動上の課題に向き合ってきました。これらの課題の多くは、自閉症スペクトラム支援と関係しています。
1980年代から英語圏では、行動上の課題を表す用語として「チャレンジング行動」という言葉が広く使われるようになりました。この定義を日本の障害福祉の文化に合わせて書き換えると、概ね以下の通りです。
チャレンジング行動の定義:
- その行動は、自らの様々な意味ある活動や学びの機会への参加を妨げる。
- その行動は、自分自身あるいは家族・支援者、他の人の生命や健康に危害をもたらす。
- その行動は、将来の社会的参加や自立において高いリスク要因となる。
チャレンジング行動の典型例の一つは、強度行動障害者支援です。これは、過去30年間、障害福祉の分野で大きな課題となっています。今回の動画では、強度行動障害が生じる背景と最も基本的な支援方法について簡単に説明いたします。
強度行動障害とは、大多数が重度・最重度の知的障害を持つ人々を指し、成人期においても一人での社会参加は困難で、家族や支援者からの手厚い支援を受けながら、社会参加のあり方を模索しています。
一方、知的障害が比較的軽度の自閉症スペクトラムの人々は、異なる行動上の課題に直面します。
思春期・青年期以降の自閉症スペクトラム支援の現場では、衝動的な買い物やネットゲームへの過度な依存、対人関係上のトラブルなどが問題となることがあります。
また、刑法上の罪や社会的規範から逸脱した行為にも直面することがあります。
これらは反社会的行動としてアセスメントや介入方法が検討されています。
強度行動障害という言葉は、1988年の「強度行動障害児(者)の行動改善および処遇のあり方に関する研究」で初めて用いられました。これは医療的な診断名ではなく、日本の障害福祉の施策に位置付けられることを目指して命名された造語です。
現在、強度行動障害の定義と施策は次の通りです。
- 自分の体を叩いたり、食べられないものを口に入れるなど、本人の健康を損ねる行動。
- 他人を叩いたり物を壊すなど、周囲の人々の生活に影響を及ぼす行動。
- これらの行動が著しく頻繁であるため、特別な支援が継続的に必要な状態。
強度行動障害者支援の基本は、総合的にチームで支援を行うことです。初期の研究では、特定の療法のみで行動障害の根本的な改善は難しいとされています。支援の関係者が全員、同じ方針に沿った一貫した支援を行うことが最も重要です。
行動分析によるアプローチは、行動上の課題と周辺環境との関連性を機能分析し、適応的な行動を増加させることで課題の減少を目指すものです。しかし、強度行動障害者支援には、基本的な生活環境の整備が前提として必要です。
また、自立的な活動に従事する状況を作り出すことも重要です。自立的な活動と自発的コミュニケーションを日常生活に組み込むことが求められます。
以上が、自閉症スペクトラムに関係する行動上の課題、強度行動障害についての解説となります。
ご覧いただき、ありがとうございました。