動画:【当てはまる?】ADHDの注意力に現れる4つの特徴について!

集中力との関係が深い4つの注意力:ADHDと注意力の関係を理解する

今回はADHDの特性に関連する「4つの注意力」について解説します。
ADHDの代表的な特性としては、「不注意」によるミスの多さや「多動性・衝動性」が挙げられます。
これらの特性から、ADHDの方は集中して物事に取り組むのが苦手で、仕事では会議で集中力が続かず、書類作成でミスが増えるなどの悩みを抱えることもあります。

ADHD(注意欠如多動症)には「注意」という言葉が含まれており、実はこの注意力が集中力の維持や発揮に欠かせない要素でもあるのです。
注意力は大きく4つに分けられ、これらの注意力を理解することで、自分がどのような状況で集中しやすいか、しにくいかを整理する助けになります。
集中力にお悩みの方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
後半では集中力を高める工夫についても紹介します。

1.注意の転換

1.注意の転換

注意の転換とは、今向けている注意を別の対象に切り替えることを指します。
たとえば、PC業務中に電話が鳴ったり、配送業者が来た際にPC作業を中断し、電話対応や業者への対応に注意を向ける必要が出てきます。
これはPC業務から別の対処へと注意を切り替える「注意の転換」です。
ADHDの方の中には、この注意の転換が苦手な方が多く、不意の出来事に反応するのが難しかったり、気づかない、もしくは気づいても切り替えがスムーズにできない場合もあります。
また、一度中断した業務に戻る際にも注意の転換力が必要です。
たとえば、電話対応を終えてPC業務に戻る際、すぐに元の業務に切り替えることが難しく、集中を取り戻すまで時間がかかることがあります。
特に、途中で中断した後に元の作業に戻るタイミングが最も難しいと感じる方も少なくありません。

2.分配的注意
分配的注意は、同時に複数の情報に注意を向ける力を指します。
たとえば、1対1で上司と会話をする際には、上司の話だけに集中していれば良いですが、これが上司2人との会話になると、2人の話に注意を向ける必要があります。分配的注意がうまく働かないと、複数の情報を同時に把握するのが難しくなり、話の内容を理解しにくかったり、集中が途切れやすくなります。
あるADHDの方は、分配的注意が苦手で、電話をしながらメモを取ることや、会議中に議事録をとること、運転中に同乗者と会話をすることが困難だと感じています。
ADHDの方にはマルチタスクが苦手な方が多く、その背景にはこの分配的注意の不足が影響していると考えられます。

3.選択的注意
「カクテルパーティー効果」という現象をご存じでしょうか。これは、騒がしい場所でも、自分の名前など興味のある内容を選んで聞き取れる能力のことです。
選択的注意とは、自分に関係ある情報だけを選んで取り入れる力、すなわち情報を取捨選択する力を指します。
選択的注意がうまく働かない場合、目に入ったり耳に聞こえたりする情報をすべて受け取ってしまうため、情報過多に陥りやすくなります
これにより、ADHDや発達障害を持つ方は、特に人が多く騒がしい場所では非常に疲れやすくなります。
仕事の場面では、選択的注意の不足によって困難が生じることもあります。
たとえば、業務中に自分の名前が呼ばれても気づかず、上司に注意されたり、外でサイレンが鳴ると集中が途切れたりすることがあるのです。
また、電話中に周囲の話し声が気になり、相手の声が聞き取りにくくなるなどの困りごともあります。

4.持続的注意
持続的注意とは、ある対象に対して集中を保ち続ける力のことで、ADHDの方が最も苦手とされる注意力でもあります。
たとえば、会社の資料を読み続けられずに飛ばしてしまう、繰り返しのデータ入力でミスを頻発する、長時間の会議で集中力が途切れる、といったことが挙げられます。
持続的注意がうまく働かない場合、対象に対する注意が続かず、集中力が切れてしまいます。
特に、根気を必要とする作業や興味が持てない仕事ではさらに難しくなります。ADHDの方は周囲の人と比べ、こうした単調な作業に対して強い刺激を感じにくい特性があるため、注意が途切れやすいのです。
その結果、周りから「飽きっぽい」と見られることもありますが、実際は無意識に集中が切れてしまい、他のことに意識が移ってしまうのです。

大切なポイント

①過集中

①過集中
ADHDの方は注意をコントロールしづらい特性がある一方で、「興味のあることには過集中する」という特徴もあります。つまり、ADHDの方には集中力が全くないわけではなく、自分の好きな分野や趣味には驚くほどの集中力を発揮することがあり、没頭するあまり時間を忘れて取り組むこともあります。
これはADHDの注意力が凹凸のあるものであり、注意の持続や切り替えを自分でコントロールしにくい背景があるためです。
過集中は、ADHDの注意特性を理解する上で重要なポイントとなります。

②注意がコントロールしにくいのは気持ちややる気の問題ではない
人の脳には「側坐核」という、行動の原動力となる部分があり、ここではやる気ホルモンともいわれるドーパミンが分泌されます。
ADHDの方は、側坐核の活動が他の人より低いことがあり、ドーパミンが不足しがちです。
そのため、注意が刺激のある対象に向きやすく、集中力が続かない原因にもなっています。
このように、注意のコントロールがしづらいのは脳の特性に起因するもので、やる気や気持ちの問題ではありません。
本人もその自覚があるため、「頑張ってもどうにもならない」と感じ、生きづらさを抱える方も多いのです。

集中力・注意力への工夫

集中力・注意力への工夫

ADHDの方の集中力や注意力の向上には「運動」が効果的とされ、専門家の間でも注目されています。
ミシガン州立大学のアラン・スミス氏が行った実験では、幼稚園児から小学2年生の児童200人に12週間の有酸素運動を登校前に実施してもらった結果、参加した全ての子供の学力が向上しました。
その中でも特にADHDの児童は脳機能の改善が顕著でした。

また、スウェーデンの精神科医アンダース・ハンセン氏は、自身の著書で「運動がドーパミンの分泌量を増やし、注意力と報酬系システムがうまく調整されることで、集中力が高まる」と述べています。
運動により側坐核にドーパミンが行き届くと、脳が「今の行動は続ける価値がある」と判断するため、集中力が維持しやすくなるのです。

運動の効果的な時間や種類は人によって異なりますが、ご自身に合った方法を見つけて取り入れることが集中力・注意力の向上に役立ちます。