【危うい】うつ病の人は“◯◯ができない”という特徴的な行動があります

【危うい】うつ病の人は“◯◯ができない”という特徴的な行動があります

うつ病の方が「できなくなる」こと5選〜見えにくい苦しみに気づくために〜

うつ病というと、「気分が落ち込む」「やる気が出ない」といったイメージがよく知られています。しかし実際にうつ病を患った方の多くは、それだけでは語りつくせないさまざまな日常的な困難に直面しています。その中には、周囲の人から見れば「なぜそれができないの?」と思われてしまうような、ごく当たり前の行動すら、うつ病になると困難になってしまうことがあるのです。

今回は、うつ病の方が「できなくなる」行動の中から、特に身近で重要なものを5つ選び、それぞれの背景にある心理や症状について解説していきます。ご本人だけでなく、ご家族や職場の同僚など、うつ病の方と関わるすべての人がこの理解を深めていただけるよう、丁寧にご紹介します。

1.朝の「ゴミ捨て」ができなくなる理由

1.朝の「ゴミ捨て」ができなくなる理由

ゴミ捨ては、多くの人にとって「何気ない家事」の一つですが、うつ病の方にとっては大きなハードルになってしまいます。

まず、うつ病には「認知機能の低下」がみられることがあります。つまり、予定を覚えたり、それに従って行動したりする力が落ちてしまうのです。さらに、うつ病には「日内変動」という特徴があり、特に朝に症状が強く出やすい傾向があります。まさにゴミ捨てをしなければならない時間帯が、その「最もつらい時間」と重なってしまうのです。

加えて、燃えるゴミ・ペットボトル・不燃物といった分別を考えたり、袋をまとめたりする判断力や段取り力も落ちているため、普段なら無意識にできていたはずのことが、まるで難解なパズルのように感じられてしまうこともあります。

その結果、ゴミが溜まり、部屋が散らかってしまい、生活環境が悪化します。そして「自分はこんな簡単なこともできない」と自責の念にとらわれ、うつ病そのものも悪化してしまう――こうした悪循環に陥ることも少なくありません。

このような場合、ご家族や友人が代わりに手伝うことも大切ですが、必要であれば地域の支援機関に相談することも視野に入れましょう。ご本人が「助けを求めてよい存在である」と感じられること自体が、回復のきっかけになります。

2.歯磨きや身だしなみができなくなる

2.歯磨きや身だしなみができなくなる

うつ病の方にとって、「歯磨き」や「入浴」「服を選ぶ」「髭を剃る」といった、日常の身だしなみを整える行動が非常に難しくなることがあります。

これは単に「怠けている」のではありません。うつ病では「エネルギーが極端に低下する」ため、活動に必要な気力そのものが枯渇してしまいます。特に歯磨きや入浴のような行為は、手順が複数あり「段取り」を必要とします。うつ病ではこの「実行機能」が低下し、頭で理解はしていても、体がまったく動かないという状態に陥るのです。

また、アパシー(意欲喪失)と呼ばれる状態では、自分自身や周囲に関心が持てなくなり、身だしなみに気を配ること自体が困難になります。中には、仕事には行けていても歯磨きや入浴ができないという「アンバランス」な状態が見られる方もいますが、それも決して珍しいことではありません。

もし身だしなみが整えられなくなっていたとしても、それはうつ病の症状の一部であり、ご本人の性格や努力不足ではありません。責めるのではなく、「できなくて当然」「それでも大丈夫」という受け止め方が何より大切です。

3.「報連相」ができなくなる

3.「報連相」ができなくなる

うつ病の方は、職場や家庭において「報告・連絡・相談」、いわゆる「報連相」ができなくなることもよくあります。

まず、認知機能の低下によって、「何をどう伝えるか」「何から説明すればよいか」がうまく整理できず、思考が止まってしまいます。加えて、「連絡をしなければ」と思う一方で、うまく話せるか不安になったり、相手に迷惑ではないかと過剰に気を使ってしまったりすることで、行動に移せなくなるのです。

このような状態の方に対して「どうして連絡してこなかったの?」と責めることは、状況をさらに悪化させるだけです。むしろ「何かあったかな?」「気になることがあれば話してね」といった、寄り添いの姿勢が支援になります。

報連相が滞っている背景には、本人の中で「相談しても無駄だ」「どうせ分かってもらえない」という諦めも潜んでいることがあります。そんなときこそ、信頼関係を築くことが、うつ病への理解と支援に繋がっていきます。

4.「読書」ができなくなる

読書は一見静かな趣味ですが、実は非常に高度な脳の働きを必要とする活動です。文字を認識し、意味を理解し、文章を繋げ、内容を想像する——これらすべての認知機能がフル稼働して初めて、読書は成立します。

うつ病の方はこの一連の認知機能が著しく低下することがあり、文字が記号のようにしか見えなくなったり、一度読んだ文をすぐ忘れてしまって何度も読み返すことになったりします。これにより、以前は楽しんでいた読書が、ただ苦痛なだけの作業に変わってしまうのです。

特に文章を生業にしていた方や、読書が心の支えだった方にとっては、その「楽しみ」や「誇り」を失うことが大きな喪失体験となり、自己評価がさらに下がってしまいます。

しかし、これはあくまで一時的な「症状」です。回復とともに、再び文章を読み、楽しめるようになることがほとんどですので、「今は読めなくて当然」と自分を責めず、焦らず過ごすことが大切です。

5.「推し活」ができなくなる

今や多くの人にとって当たり前の趣味となった「推し活」ですが、うつ病の方にとってはこれもまた難しい行動の一つです。

うつ病では「興味・関心の喪失」という症状が見られ、物事への好奇心やときめき、自分以外の存在への愛着などがすっかり失われてしまうことがあります。好きだったアイドルやアニメがどうでもよく感じられたり、そもそも「好き」という感情自体が分からなくなったりすることすらあるのです。

それによって「自分にはもう何も残っていない」と感じ、孤独感や絶望感が強まることもあります。推し活ができるようになるのは、うつ病回復の後半段階であることが多く、それまでは無理に何かを「楽しもう」「応援しよう」と思わなくて大丈夫です。

大切なのは、「感情を失った自分」を責めないこと。そして、回復すれば必ず再び感動や喜びは戻ってくる、ということを信じていただきたいのです。

まとめ:できないことは、すべて「症状」

本記事では、うつ病の方が「しなくなる」あるいは「できなくなる」5つの行動について、背景にある心理や症状を詳しくご紹介してきました。

  • ゴミ捨てができない
  • 歯磨きなどの身だしなみが整えられない
  • 報連相ができない
  • 読書ができない
  • 推し活ができない

これらはすべて、本人の「怠け」や「努力不足」ではなく、うつ病という病気の「症状」です。そして、治療と回復の過程を経れば、少しずつまた「できるようになる」ことも、確かな事実です。

もし今、この記事にあるような症状がご自身や大切な人に当てはまっていたら、ぜひ一人で抱え込まず、医療機関や支援者に相談してください。適切な理解と支援があれば、必ず回復の道は開けていきます。