~日常の「うっかり」や「落ち着かなさ」、もしかすると発達特性かもしれません~
「集中力が続かない」「同じミスを何度も繰り返してしまう」「大事な予定を忘れてしまう」。こうした日常の些細な困りごとを、「自分がだらしないせいだ」と感じて責めてはいませんか?
実はこうした特徴の中には、「ADHD(注意欠如・多動症)」という発達特性が関係している可能性もあります。ADHDというと子どもの頃に診断されるイメージがありますが、大人になってから気づくケースも少なくありません。特に女性や成績が良かった方などは、見過ごされてきたまま大人になってしまうこともあります。
この記事では、大人のADHDの可能性を探るための簡易的なセルフチェック項目を7つご紹介します。該当する項目が多い方は、一度専門機関に相談してみることをおすすめします。
仕事での報告書やデータ入力など、集中力が必要な場面でミスが多くなってしまうことはありませんか?
一つの作業に集中していたつもりでも、いつの間にか別のことに気を取られたり、頭の中で全く関係ないことを考えていたり。こうした注意の移ろいやすさが、業務上の誤りにつながることがあります。
また、集中が切れたことでケアレスミスが増えたり、確認作業を怠ってしまったりすることもあり、本人としては「自分は不注意でだらしないのではないか」と落ち込んでしまうこともあります。
光熱費の支払い、携帯電話の料金振込、保険料の口座引き落としなど、生活に必要な支払いをうっかり忘れてしまうということはないでしょうか。
忘れたつもりはないのに、気づいたら督促状が届いていて青ざめる――という経験が繰り返される場合、記憶力や注意の維持に苦手さがある可能性があります。
ADHDの特性として、「ワーキングメモリ」と呼ばれる短期的な記憶力の弱さや、時間管理が苦手という傾向が見られることがあります。

電話の音、会話の声、コピー機の動作音、誰かがドアを開ける音……
こうした日常の環境音が気になってしまい、作業に集中できなくなることはありませんか?
多くの人が「多少気にはなるけど、気にせず続けられる」音でも、ADHDの方はそれらを脳がすぐに拾ってしまい、意識がそちらに向いてしまいます。音だけでなく、視覚的な刺激(誰かの動き、モニターの点滅など)にも過敏に反応してしまう方もいます。
会議中にソワソワしてしまったり、会議が始まる前に理由もなく席を立ってウロウロしてしまったり。こうした「身体の落ち着かなさ」は、大人のADHDにも見られる特徴です。
子どもの多動性とは違い、大人になると「じっとしているのに内心が落ち着かない」「焦りやすい」「予定が詰まっていないと不安」など、より内面的な落ち着きのなさとして現れることもあります。
こうした症状は、自分でも「おかしいな」「失礼だったかな」と気づきつつも、なかなか自分で制御することが難しいという特徴があります。
例えばドレスコードのあるレストランにTシャツとジーンズで行ってしまったり、取引先との打ち合わせに場違いな色柄の服で参加してしまったり。
TPOに合った服装を意識するのが苦手で、空気が読めないように見られてしまうこともあるかもしれません。
これは決して意識が低いわけではなく、「場の雰囲気を事前に想定して準備する」「服装に注意を向ける」などの実行機能(自分の行動をコントロールする力)の弱さが影響している場合があります。

会話の最中に、相手が話しているのに自分の意見を思わず口に出してしまうことはないでしょうか。
「最後まで聞こう」と思っていても、頭の中に思いついたことをそのまま我慢できずに言ってしまったり、相手の話を中断して話題を変えてしまったりすることがあります。
ADHDの特性として、衝動性(思いついたことをすぐに行動に移してしまう)という傾向があります。これは本人のマナーの問題というよりも、脳の機能的な特性として表れる行動の一つです。
鍵、財布、スマートフォン、社員証……
日常的に使う物を何度も失くしてしまう、置いた場所を忘れて探し回るといった経験はないでしょうか。
また、自分の部屋や職場の机の上が散らかっていて、必要な書類がすぐに見つからないということもよくあるかもしれません。
ADHDの方は、物の定位置を決めておいたり、整理整頓を習慣づけることが苦手な傾向があります。視界に入る情報が多すぎて、どこに何があるのかを把握しきれないという背景もあります。

いかがでしたか?
ここで紹介した7つの特徴は、誰しも一度は経験があるような「あるある」かもしれません。しかし、こうした傾向が日常生活や仕事に大きな支障を与えている場合、「性格の問題」ではなく発達特性によるものの可能性があります。
ADHDは病気ではなく、あくまで脳の働きの特性です。特性を理解し、自分に合った対処法を見つけることで、生活のしやすさは大きく変わっていきます。
困りごとが長く続いている方は、一度精神科や心療内科、発達障害外来などで相談してみてください。早めに相談することで、必要な支援や適切な診断を受けることができ、自分を責める日々から一歩踏み出すことができるかもしれません。