発達障害の帰宅後の過ごし方の特徴と快適に過ごす方法4選【ADHD/ASD】

発達障害のある方にとっての「帰宅後の時間」とは

心身を労わり、快適に過ごすためのヒント

発達障害のある方にとって、日中の仕事は非常に大きなエネルギーを必要とします。それゆえに、帰宅後は「疲れて何もできない」「頭の中が仕事でいっぱいで気持ちが切り替えられない」「気がついたら深夜まで起きてしまっている」など、様々な悩みを抱えることがあります。

本記事では、発達障害のある方が帰宅後をどのように過ごしているのか、その特徴と課題を整理しながら、快適に過ごすための工夫をご紹介します。

帰宅後の過ごし方の特徴と課題

帰宅後の過ごし方の特徴と課題

1. 仕事を自宅に持ち帰ってしまう

発達障害、とくにADHD(注意欠如・多動症)傾向のある方は、タスク管理やスケジュール管理が苦手な傾向があります。仕事のペースが他の人よりもゆっくりであったり、作業に時間がかかることにより、定時内で業務が終わらず、やむなく自宅で続きの作業をしてしまうという方も少なくありません。

また、「ワーカホリック」と呼ばれる状態に陥りやすいのも特徴です。これは、仕事が好きで没頭しているというよりも、罪悪感や不安感を軽減するために仕事をやめられない状態を指します。ある研究では、ワーカホリックの約3割がADHDの診断基準を満たしていたと報告されており、依存的傾向と深い関係があることもわかっています。

2. 感情を引きずりやすい

発達障害の方は、頭の中で一日を振り返る時間が長く、「あの時ああ言えばよかった」「またミスをしてしまった」と自分自身を責めてしまうことがあります。結果として、気持ちの切り替えがうまくいかず、就寝時間になっても仕事のことで頭がいっぱいになってしまい、眠りにつけないという問題が生じます。

3. 夜更かし傾向と睡眠トラブル

日中に人一倍ストレスを抱えることが多い発達障害の方は、帰宅後に「リベンジ夜更かし」と呼ばれる行動に出やすいとされています。これは、仕事や人間関係で溜まったストレスを解消しようと、夜遅くまでゲームやSNS、動画鑑賞などに没頭してしまう状態です。

しかしこのような習慣は、かえって翌日のパフォーマンスを下げ、体調不良や遅刻の原因にもなりかねません。

4. 疲労で何もできない

職場で「周囲に合わせなければ」「空気を読まなければ」と常に緊張している方は、帰宅するとエネルギーが尽きてしまい、家事や趣味など自分のための時間を持てなくなります。単純な「疲れ」とは異なり、精神的な過負荷によるものも多く、「家では何もできない自分」に落ち込んでしまう悪循環に陥ることもあります。

快適に過ごすための工夫と提案

1. 仕事は家に持ち帰らない工夫を

1. 仕事は家に持ち帰らない工夫を

まず、仕事とプライベートをしっかり分ける意識を持つことが大切です。そのためには、自身の業務量を見直し、「どれくらいの作業に、どれくらいの時間がかかるのか」を把握することが必要です。タスクの優先順位を明確にし、見通しを立てた上で仕事を行うことで、残業や持ち帰り作業を減らすことが可能です。

自分ひとりで抱え込まず、上司や同僚に相談し、無理のない業務配分をしてもらうことも重要です。現在の業務が明らかにキャパシティを超えているようであれば、配置転換や転職といった選択肢を考えることも現実的な一手です。

2. 感情を切り替えるための「心の整理」

職場での不安や失敗を自宅まで引きずらないようにするには、「できごとを紙に書き出す」ことが効果的です。「何があって」「どう思ったか」「今の自分はどう感じているか」といったことを文字にすることで、感情が整理され、脳が安心を感じやすくなります。

また、ネガティブな出来事だけでなく、「今日頑張ったこと」「うまくやれたこと」にも意識を向けることが大切です。失敗の陰にも必ず努力の跡があります。自分を過小評価せず、認めることが、明日への力になります。

3. 帰宅後のルーティンを作る

3. 帰宅後のルーティンを作る

日々の生活に一定のリズムを持たせることで、気持ちも整いやすくなります。たとえば「ご飯→お風呂→自由時間→就寝」というような流れを定め、毎日繰り返すことが安心感につながります。

特に睡眠リズムは、生活全体に大きく影響します。できるだけ毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きるよう心がけましょう。夜に動画やゲームを楽しむ時間も、終わりのアラームを設定しておくと、過集中による夜更かしを防げます。

勤務時間が日替わりで変動する仕事(交代勤務など)は、生活リズムが乱れがちになります。そのような場合は、体調や精神面への影響も含めて、働き方を見直すことが必要かもしれません。

4. 自分のストレス源を理解し、環境を調整する

発達障害のある方にとって、仕事のどの部分が最もストレスとなっているのかを明確にすることは非常に重要です。時間の管理なのか、人間関係なのか、それとも業務内容の複雑さなのか。

たとえば「周囲の人と同じスピードで仕事をしようとすると疲れる」という方は、自分のペースで進められる業務を選ぶ必要があります。過集中になってしまう人は、一定時間ごとにアラームを鳴らして強制的に休憩を取るなどの工夫をすることで、心身の疲労を軽減できます。

おわりに

発達障害のある方にとって、帰宅後の時間は一日の疲れやストレスを癒し、自分自身をリセットするための大切な時間です。しかし、その時間がうまく過ごせないことで、疲労や不安が積み重なり、悪循環に陥ることもあります。

大切なのは、自分の特性を理解し、それに合った工夫を取り入れていくことです。完璧にやろうとするのではなく、「今日はこの部分だけできた」といった小さな達成感を積み重ねながら、少しずつ生活の質を向上させていく。その積み重ねが、自分自身を大切にする第一歩になるはずです。

もし一人で難しいと感じるときは、支援機関や専門職(カウンセラー、精神科医、就労支援員など)の助けを借りることも選択肢に加えてみてください。あなたの生活が、少しでも快適で心地よいものとなりますように。