発達障害(ADHD・ASD)を持つ方が社会の中で生きていくうえで、周囲とのコミュニケーションは大きな課題の一つになります。特に定型発達(発達障害の診断がない人)の方々との関わりの中で、「無意識のうちに相手を不快にさせてしまっていた」と気づくことが少なくありません。
今回は、定型発達の人が「本音ではやめてほしい」と感じやすい発達障害の言動を4つ紹介し、それぞれの背景と改善に向けた対策も丁寧に解説していきます。
最も多く挙げられるのが「人の話を遮ってしまう」という言動です。これはADHDやASDの方、どちらにも共通して見られる傾向があります。
ADHDの場合
ADHD(注意欠如・多動症)の方は、思考が活発で、次々と頭に浮かんでくる考えをすぐに口に出したくなる「衝動性」の強さがあります。話を聞いている最中に、「これを今言わなきゃ!」という思いが強くなり、気づけば相手の言葉を遮って話してしまうということが起こります。
また、感情のコントロールが難しいことも重なり、「今これを伝えたい!」という気持ちが先立って、結果的に割り込みになってしまう場合もあります。
ASDの場合
ASD(自閉スペクトラム症)の方は、「相手の話が終わるまで待つ」「話の流れを読む」という曖昧なルールを理解・実践することが難しい傾向があります。話の主導権を取りたくて割り込んでいるのではなく、悪気はないまま、自然に割り込んでしまっているケースも多いのです。

会話の中で、聞かれてもいない細かい説明を延々と続けてしまうというのも、定型発達の人が困惑しやすいポイントです。
特にASDの方に多く見られるこの傾向は、「正確に伝えたい」という強い思いが背景にあります。情報の抜け漏れや誤解を防ごうとするあまり、相手が求めている以上の詳細を話してしまうことがあります。
また、話の構成や要点の絞り方が苦手なことも要因のひとつです。「自分の中ではすべてつながっている内容」でも、聞き手からすれば「話が長くて要点が分からない」と感じられてしまうことがあるのです。

「それ、普通は言わないよね?」と思われるような、無神経に聞こえてしまう発言をしてしまうことも、定型発達の人との関係において摩擦の原因になります。
このような言動は主にASDの人に見られやすく、以下のような背景が考えられます:
例えば、「それ太ったね」「結婚はまだなの?」といったプライバシーに踏み込む発言を、悪気なくしてしまうことがあります。本人にとっては日常会話の一部でも、相手には「デリカシーがない」と強く感じられてしまう場合があります。
複数人での会話の中で話題の流れをつかめず、突拍子もないことを言ってしまう。あるいは、自分の話したいことを無理やりねじ込んでしまう。このような場面でも、定型発達の人から「空気が読めない」と思われることがあります。
これはADHD・ASDどちらにも共通する困難です。
ADHDの人の場合
耳で聞いた情報を整理しながら理解する「聴覚的なワーキングメモリ」が苦手な人が多く、会話のスピードについていけないことがあります。
ASDの人の場合
自分の興味関心に強く集中する特性があるため、周囲が別の話題で盛り上がっていても、自分の好きな話題を突然持ち出してしまうことがあります。
どちらの場合も「会話の流れを読む」こと自体に難しさがあるため、本人が悪気なく話していても、周囲からは「自己中心的」「話を聞いていない」と受け取られてしまいがちです。

上記のような言動が全て「悪いこと」ではありませんが、周囲との関係を良好に保つためには、ある程度の配慮や対策が有効です。以下に具体的な方法を紹介します。
話している途中に思いついたことがあっても、すぐに口に出さずにメモを取る習慣をつけましょう。頭に浮かんだことを「話さないと忘れてしまう」という方にも、メモは非常に有効です。
また、「相手の話が終わるまで絶対に話さない」と強く意識するだけでも、割り込みを減らすことができます。
会議や報告の場では、事前に話す内容を紙に書いて整理しておくことで、要点を絞った伝え方がしやすくなります。「どのくらいの時間で話せばよいか」「どこまで説明すればよいか」を、上司や同僚に相談するのも有効です。
相手の理解やニーズを意識した話し方ができるようになると、信頼感も生まれやすくなります。
「これを言いたい!」という衝動が出た時、3秒だけ待つことを習慣にする「3秒ルール」も有効です。衝動性のピークは数秒といわれており、少しの間を置くことで冷静になれることがあります。
話したいことが浮かんだ瞬間に、まずは「今言うべきか?」と自問してみましょう。衝動に流される前に一呼吸置くことで、場を乱すことを防げるようになります。
発達障害を持つ方にとって、他人とのコミュニケーションは時に大きなストレスや誤解のもとになります。一方で、周囲の人も「なぜこの人はこういう言動をするのか」が分からないと、戸惑いや不満を抱いてしまうこともあります。
大切なのは、相手に配慮しつつ、自分の特性を理解したうえで「できる工夫」を積み重ねていくことです。そして、周囲の人にも特性への理解を広め、互いに歩み寄る環境があることで、生きづらさは大きく軽減されます。
自分の言動を責めすぎることなく、「よりよい関わり方」を探っていきましょう。