発達障害(ADHDやASD)の方の中には、食事の偏りや栄養バランスの乱れにより、身体や心の調子を崩しやすい方が少なくありません。実際に、栄養状態の改善が症状の緩和につながったという報告もいくつかあります。
この記事では、発達障害の方が陥りやすい栄養不足の背景と、不足しがちな栄養素を補うためのサプリメントを4つご紹介します。もちろん、サプリメントは万能薬ではありませんが、適切に活用することで日常生活の困難を少しでも軽減する手助けとなるかもしれません。

自閉スペクトラム症(ASD)の方には、感覚過敏という特性をもつ方が多くいらっしゃいます。味覚、嗅覚、触覚といった感覚が非常に敏感で、特定の食べ物の味や匂い、食感が苦手であるということは少なくありません。
たとえば、「歯ごたえがあるものは食べられない」「においが強い食べ物は無理」「ヌルヌルした食感が苦手」といったように、日常的に食べられる食品の種類が限られてしまうことがあります。その結果、栄養が偏りやすくなり、特定のビタミンやミネラルが慢性的に不足するリスクが高まるのです。
注意欠如・多動症(ADHD)の方に関する研究では、特に鉄分や亜鉛が不足しているケースが多いとされています。これらのミネラルは、脳内の神経伝達物質、特にドーパミンの生成に関わっており、認知機能や感情の安定に大きな影響を与えます。
鉄や亜鉛が不足すると、以下のような症状が現れることがあります:
実際に、これらの栄養素を適切に補給することで、情緒が安定し、学業成績が向上したという報告もあります。
また、ビタミンB群(特にB2、B6、B9)の血中濃度が低いという報告もあり、これらの栄養素が不十分であることがADHDやASDの症状に関係している可能性も指摘されています。

ここからは、上記のような背景をふまえて、発達障害の方が摂取を検討できるサプリメントを4つご紹介します。サプリメントはあくまで補助的な役割ですが、用法・用量を守って適切に取り入れることで、体調や精神面に良い影響を与える可能性があります。
発達障害の方は、食事の好き嫌いが多かったり、食べるものが限られてしまったりするため、幅広い栄養素が不足していることが少なくありません。そのため、ビタミンやミネラルをまとめてバランス良く補える「マルチビタミン・マルチミネラル」は非常に有用です。
サプリメントを選ぶ際には、鉄・亜鉛・マグネシウム・ビタミンB群などがしっかり含まれているものを選ぶとよいでしょう。また、食品や食事内容からどの栄養素が足りていないかを把握することも大切です。
鉄はドーパミン合成に必要不可欠な栄養素であり、不足することで集中力の低下や疲労感、気分の落ち込みなどが起こることがあります。特にADHD傾向のある方は、鉄の血中濃度が低いことが多いと報告されており、補うことで以下のような改善が期待できます:
ただし、鉄分は過剰摂取にも注意が必要です。サプリメントを使用する際は、医師や薬剤師に相談のうえ、自分に適した量を守るようにしてください。
亜鉛は神経伝達物質の合成や調整に関わる重要なミネラルです。ADHDの症状、特に衝動性や不注意の改善に効果があるとする研究もあります。
また、亜鉛は免疫機能や皮膚の健康にも関与しているため、身体全体のコンディションを整える意味でも非常に重要です。気分のムラが激しい、情緒不安定が続いている、といった方にもおすすめできます。
ただし、亜鉛も過剰摂取すると銅不足を引き起こすなどの副作用があるため、マルチミネラルと併用するか、サプリメントの内容をよく確認して使いましょう。
マグネシウムは神経の興奮を抑える働きがあり、不安感、多動、落ち着きのなさといった症状の緩和に役立つ可能性があります。ADHDやASDの方がよく感じる「なんとなく落ち着かない」「いつも緊張している」といった状態に対し、リラックス作用が期待されます。
さらに、マグネシウムはビタミンB群と一緒に働くことで相乗効果を生み出すため、マルチビタミンと組み合わせて摂取するのもよいでしょう。
発達障害の症状を少しでも軽減したいと考えたとき、栄養面の見直しは大きなヒントになることがあります。特に偏食や感覚過敏がある方は、知らず知らずのうちに特定の栄養素が不足していることもあります。
今回ご紹介したサプリメントは、どれも研究や臨床経験からも一定の効果が期待されているものです。
これらをバランスよく取り入れることで、少しずつ生活のしづらさが和らぐ可能性があります。
ただし、サプリメントはあくまで「補助食品」です。過剰摂取には注意し、できれば医師や栄養士に相談したうえで取り入れるようにしましょう。身体と心の健康のために、食事・運動・睡眠とともに、栄養も見直していくことが大切です。