【発達障害の部下】会社での特徴と接し方を解説【ADHD・ASD】

発達障害の部下への理解と適切な接し方【ADHD・ASD】

現代の職場において、多様な個性や特性をもつ人材と協働することは、ますます重要になっています。中でも、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)といった発達障害のある部下と接する際には、特性に対する正しい理解と適切なコミュニケーションが求められます。発達障害は「能力の不足」ではなく、「情報処理のスタイルの違い」に過ぎません。この記事では、発達障害の部下によく見られる職場での特徴と、それに対する具体的な接し方について解説していきます。

発達障害の部下に見られる特徴

1. 指示の理解や実行に時間がかかる

1. 指示の理解や実行に時間がかかる

ASDの部下の場合、抽象的または曖昧な表現を理解することが難しいことがあります。「それ、いつも通りでいいよ」「早めに終わらせてね」といった曖昧な指示では、どう行動すればよいか分からず、業務が滞ることも少なくありません。

また、複数の指示を同時に出すと、混乱してしまうこともあります。これは理解力が劣っているわけではなく、脳の情報処理の特性によるものです。むしろ、適切な手順で情報を提示すれば、正確かつ丁寧に仕事を進める力を発揮する方も多くいます。口頭指示が苦手な方には、テキストやマニュアルなど視覚的な手段で情報を伝えることが効果的です。

2. 暗黙のルールや社会的な空気を理解するのが難しい

ASDの特性として、相手の感情や状況を直感的に把握することが難しいという傾向があります。職場に存在する“空気”や“察する力”といった暗黙の了解を読み取れず、「空気が読めない」と受け取られてしまうことも。

例えば、「会議では目上の人から先に話す」「ランチの誘いを断る時は遠回しに言う」といった、一般的には“なんとなく分かる”マナーや雰囲気を自然に理解できない場合があります。そのため、トラブルや誤解が生じることもあります。

3. 感覚過敏や環境変化への適応が苦手

3. 感覚過敏や環境変化への適応が苦手

発達障害の中でも特にASDの人に多いのが、感覚過敏の傾向です。五感が非常に鋭く、例えば照明の明るさ、他人の話し声、強いにおいなどが強いストレスになります。

その結果、集中力が低下したり、極度に疲れてしまったりすることがあります。これは本人の意思や努力ではどうにもできないことであり、職場環境そのものがパフォーマンスに大きな影響を与えているケースです。

4. 興味・能力に偏りがあり、特定の分野に強みを持つ

ASDの方に多く見られるのが、特定の分野に対して非常に強い興味や集中力を発揮することです。興味のある領域では驚くほどのパフォーマンスを見せることがあり、職場にとっても大きな戦力となりえます。

一方で、関心のない業務や苦手な仕事にはモチベーションが上がらず、集中力が低下しやすいという面もあります。得意不得意の差がはっきりしているため、業務内容の工夫が求められます。

発達障害の部下との接し方のポイント

発達障害の部下との接し方のポイント

1. 具体的かつ視覚的に伝える

曖昧な表現は避け、「○月○日の○時までにこの書類を提出してください」「Aの後にBを行い、最後にCを確認してください」といった、明確で具体的な言葉で指示を出すことが基本です。

さらに、口頭での情報処理が苦手な部下には、文書やマニュアル、チェックリストなど視覚情報での伝達が有効です。マニュアル化された手順があるだけで、作業効率が大きく改善されることもあります。

2. 職場ルールや行動基準を明文化する

「報告・連絡・相談はこまめに」という漠然とした指示ではなく、「業務に支障が出る可能性がある場合は、必ずその日のうちに報告する」など、具体的な基準を示しましょう。

また、「電話を取るときは3コール以内」「遅刻する場合は○分前までにチャットで連絡する」など、職場のルールを可視化して共有すると、相互理解が深まります。

3. 環境調整を柔軟に行う

感覚過敏への配慮として、本人のニーズに応じて簡単な工夫をすることが大切です。たとえば、「においが気になる」場合にはマスクの着用を許可したり、「音が気になる」場合にはノイズキャンセリングイヤホンの使用を認めたりすることで、集中力を高めることができます。

こうした配慮によって、仕事に向き合いやすい環境を整えることができ、本人の能力が最大限に発揮される可能性が高まります。

4. 特性に合った業務を任せる

発達障害のある部下は、定型発達の人とは違う強みや能力を持っていることがあります。たとえば、繰り返しのルーティン業務や細かい作業に集中力を発揮することが得意な場合や、データ処理や図表の読み取りなどに強いこだわりを持って取り組めるケースもあります。

一人ひとりの得意分野や苦手なことを把握し、適材適所の業務配置を行うことは、部下自身の働きやすさにもつながり、結果として職場全体の生産性向上にも寄与します。

おわりに

発達障害のある部下との関わりは、最初は戸惑うこともあるかもしれません。しかし、適切な配慮やコミュニケーション方法を理解し、実践することで、互いにストレスを減らし、信頼関係を築いていくことが可能です。

発達障害は「苦手がある」一方で、「突出した強み」を持つことも多く、その力を活かせる環境が整えば、企業や組織にとって大きな戦力となります。多様性を尊重し、共に成長できる職場づくりを目指していきましょう。